ホワイトデーにまつわる etc 4

ホワイトディーの最後を飾るのは司君サイドのお話です♪

*

広い邸内、俺を出迎えたのは使用人達。

つくしの出迎えがないのは仕事で帰ってないか、子供たちの相手をしてる時。

今日は予定より早く帰ってきたしなッ。

つくしの出迎えがない不満を自分なりの解釈で誤魔化してる。

予想外に俺が早く仕事を切り上げて帰ってくると嬉しそうにつくしは微笑んで俺を振り返る。

「おかえり」って、言いながらゆっくりと動く指先は俺のタイを解く。

この瞬間に道明寺代表の重圧が解放されて道明寺司に戻る。

そのままスーツの上着をつくしが俺の腕から抜き取って・・・。

「着替えはそこっ」って俺のそばから離れていく。

触れ合いたい感情はやっぱ俺だけ?

そんな気分を味合わせるニクイやつ。

何年たっても変わらない。

つくしは厨房だと教えられて行き先を変える俺。

にぎやかな、明るい声がわずかに開いた扉から漏れている。

俺以外の家族全員が集まる厨房。

作業台の上には小さく飾りつけられたクッキ。

今日はホワイトディー。

駿や翼のバレンタインのお返し用につくしがつくったのだろうか?

ここ数年バレンタインだけじゃなくホワイトディーも手作りにこだわっているのは知っている。

こだわるのは俺に贈るチョコにクッキーだけで十分だって思うのが本音。

いまだにどんな高級なお菓子よりつくしの作ったものが俺の口に最高に合う。

たいしてうまくもねェんだけど、忘れられない味ってやつだ。

「何やってんだ」

そんな自分に少し呆れてる。

「おかえり、早かったね」

つくしは翼を背中から両手の中に閉じ込めたまま楽しそうな声を上げる。

つくしより頭一つ小さい翼は気まずそうな顔を俺に向ける。

翼、嫌がってねェか?

それなら俺が変わってやるぞ。

つーか、抱き付くなら俺にしとけっ。

機嫌を悪くしないでねって苦笑気味の駿。

子供相手に向けるほどほどの嫉妬。

無理やり奪い取る様な大人げないことはやらねぇぞ。

最近急に大人びた表情を見せる駿が一番扱いにくい。

駿の手のひらに置かれたクッキーの包み。

指2本でつまみ上げた。

「誰にやるんだ」

知らないやつに食わせるのは勿体ない。

「今日はバレンタインじゃないからね」

慌て気味の翼が聞こえた。

今年のバレンタイン!

思い出したくもねェッ。

自然と集まったあいつら。類に!総二郎に!あきら!

お前らも暇じゃねェだろう!

喚いても何かの行事にかこつけて集まるあいつら。

つくしと舞が一緒に作ったってチョコクッキー。

舞が作ったなんてはじめてで、最初に味見をするのはどう考えても俺様の特権。

目の前で先に類に食べられた。

「あっ!食べるの許してねぇぞ」

「俺がもらったんだから司に断る必要はないでしょ、ねっ牧野」

何でもないような表情でつくしに微笑にかける類。

相変わらずポッと染まる頬。

この反応は高校の頃から変わらない。

舞までほんのり赤くなってる!

親子で類に同じ反応するなッ!

舞まで類にとられそうな気がした。

あーーーーーッ。

思い出してきた!

腰と腕の合間に差し込まれた温もり。

ゆっくりと俺の左腕に絡まるつくしの腕。

落とした視線の先で拗ねるなって瞳が見つめてる。

ふんわりと漂うバニラの甘い香り。

「舞!来年はクッキー作るなッ!」

強気な声も最大限の威力からはわずかに弱い。

「僕たちより舞の方が大変かもな」

舞を真ん中に並ぶ駿と翼。

「えっ?何が?」

「舞がBFなんて連れてきたら父さん・・・牙むき出しで追い返すぞ」

息子の声に苦笑いの俺。

それをうれしげにつくしに見られた。

「なんだ」

ほんのりと声に赤い色がにじんでるのが自分でもわかる。

つくしから隠すように外した視線。

「仕事、終わったの?」

わかってるんだからって表情のままにさらりと話題を変えるつくし。

このあたりの心遣いはニクイ演出。

「家族で過ごそうって早く切り上げさせた」

照れくささを引きずらずに自然な会話へと流れ込む。

「西田さんに無理言ってないよね」

責める口調で甘えるような視線。

「西田の心配せずに素直に喜ばないのか」

ノセられるようにいつもの強気な不満げな声を取り戻してる。

「それはうれしいんだけど、昨日まで帰ってくるの遅かったから・・・」

俺のツボをくすぐるには十分なテレをにじませた表情。

小さくなる声はしっかり俺に甘えてる。

「埋め合わせはするから・・・」

耳朶にかるく唇が触れる距離でつぶやいた。

『ホワイトディーのお返しは俺』

結婚する前はこれでつくしに迫ったもんだ。

「お返しになってない」って拗ねた顔も艶を帯びてほんのりと赤く色づいて甘い吐息に変わる。

結婚してからも、子供が生まれてからも、たいして変わんない俺の行動パターン。

毎年って、芸がないよな俺も。

厨房を出て部屋に戻る途中で見えた三つの見慣れたシルエット。

両手には大きな花束とプレゼントの箱を抱えてる。

どう考えてもバレンタインのお返しだよな。

「なんだ、お前ら来てたのか」

此奴らが来るのは想定済みだ。

「これは舞に」

ピンクのチューリップの花束を総二郎が舞に渡す。

ありがとうって声がはしゃいでる。

「俺はこれな」

あきらはケーキの箱に小さな長方形の箱を舞に渡す。

有名ブランドのネックレスってわかる。

まだ早いぞ。

箱を開けて喜ぶ顔は大人びた表情。

俺の横で良かったねってつくしは微笑んでる。

舞のそんな顔は見たくねぇ。

やっぱ早いぞっ!

「ハイ、牧野に」

青バラの花束を類がつくしに渡す。

「ありがと」

舞に花束を渡されても気に食わないが

類だけつくしに花束って・・・。

ムカつく。

「食べ物のほうが良かった?」

「どれだけ私が大食いだと思ってるわけ」

「牧野は食べてるときは幸せって顔してるから」

俺には見向きもせずににこやかに続くつくしと類との会話。

「もうっ」て、拗ねたつくしの表情はやけにうれしそうに映る。

我慢の限界!

「類!つくしが一番幸せそうにしてるのは俺がいるときだろうがぁ」

感情のまま怒鳴る俺。

類から引き離すようにつくしの腰を抱き寄せる。

つくしの胸元に右手を巻きつけて左手は腹から腰にギュッと巻きつけて、絶対離さない体勢。

「サルが好物を取られないように警戒するみてぇ」

ククッと漏れそうになる声を必死に隠してる総二郎。

「相変わらずだよね」

小さく口元を緩める類。

「とらねぇよ」

あきらがニンマリと表情を作った。

拍手コメント返礼

美優様

司にとってはいつまでもつくしが1番じゃなきゃ~。

そうすると舞が2番。

でも気になるだろうな~年頃の舞。

道明寺家のイベントはやっぱり司中心かな?

なおピン様

この家族育ってますよね。

小さい駿君と10代の駿君。

その成長過程を比べると案外いろんなお話ができそうな感じもします。

しかしまだ恋バナまでいくには時間がかかりそう。

ドラマ視聴率上がったみたいですね。

作り方から見ると続きとかに期待させるような脚本だったような気がします。

配役はばっちりなのであとは脚本ですよね。

欲を言えばいろんなつくり方ができるドラマだったのにもったいないって思うんですよね。

二次ならいろんな活躍を駿太郎にさせられるんだけどなぁ~。