不機嫌なFACE 6

つくしの不機嫌は治まるのか!

司は邪魔者もいなくなって上機嫌でしょうけどね。

「代表 30分ですから」

西田さんが言ったこと忘れてなければいいんですけどね。

番外編「秘書西田の坊ちゃん観察日記 38」もお楽しみを♪

*

『大きく口を開けた巣穴。

引きずられるように連れ込まれていく獲物。

震える小さな白い毛並みのウサギの前で鋭い牙が怪しく光った・・・』

そんな緊迫した状況じゃないはずだ。

「離してっ」

動揺気味の表情はそのままで俺を見つめている。

肉食獣と獲物。

猛獣と猛獣使い。

猫にマタタビ

名人の域で使っている一人は西田。

この状態を作り出した手段は流石だよ。

そこに乗っかったおふくろも最近はつくしの扱いを間違えない。

俺が一番、下手かも。

つくしの取り扱い方法。

俺の知らないところで嫉妬を見せるつくしに半分舞い上がっている。

まだ不機嫌さを残す表情に嬉しさは絶え間なく喉の奥からムズッとした感覚を口元に送り込んでくる。

「嫉妬されるとは思わなかった」

「別に、嫉妬したわけじゃないわよ」

不機嫌なままの口元はそのままプイと横に向く。

「会社のTOPってだけじゃもったいないとか、芸能人でもないのにかっこよすぎだとか・・・」

「俺の人気は未だに健在なわけだ」

横に向けられた顔は反抗する視線で俺に向き直る。

「今の方が人気あるでしょッ。露出度も経済紙以外に派手になっているし」

浮気騒動がないだけましじゃないか。

言いかけた声を飲み込んだ。

新婚の頃一度はめられて取られたホテルの部屋の入り口での写真。

ここでつくしに自分の不利になることを思い出させる必要はない。

あぶねェッ。

「企業の戦略だ」

これは西田の受け売り。

今回のCM出演は西田に押し切られて撮影したものだ。

つくしが文句を言う相手は俺じゃなく西田だろう。

「このCM、エロくないって聞いてふくれたのか?」

「違うッ」

否定するたびに熱を帯びる声。

YESだってばらしている。

「いくら俺でも見ているだけじゃ妊娠させられないよな」

「それじゃなんのお楽しみも・・・ッ・・・」

途中でつくしの手のひらが声を遮られていた

つくしの手首を握ってゆっくりと口元からはがす。

つくしの腕が下がるたびに背伸びしていた踵もゆっくりと床に戻った。

下げた視線の先であらわになった表情。

はずかしいことをそれ以上言うなって、責めるような瞳が俺を見つめている。

「それって、里井さんから聞いたの?」

「ほかに誰がいるんだ」

「あはははッ・・・そうだよね・・・」

後悔している表情はそのまま大きく息を吐いて落ち込んだ。

「心配するな、つくしが俺に惚れきっていることを証明しているようなものだろうが」

「照明とかじゃなくて、恥ずかしいじゃない」

つくしは熱くなった頬を隠すように両手で挟みこんでいた。

「どうしよう!」

「お母様の耳に入るのも時間の問題だよね」

つくしの頭の中は俺よりおふくろッ!

面白くねェッ。

おふくろより俺の嫉妬の方が大事じゃないのか!

気にする次元じゃない。

心配するなッ、おふくろなら苦笑するだけだ。

「気にするな。西田がうまくやってるよ」

「それもどうかと、思うんだけど」

煮え切らないウジッとした声。

「西田なら慣れている」

「だから、それも恥ずかしいことには変わらないわよ」

復活した声が響く。

「いまさら、だろう?」

つくしの頬に触れる指先。

包み込んだままわずかに顔を上げるように腕を動かした。

戸惑った表情を浮かべるつくしは相変わらずの初心さで俺を誘う。

優越気味に余裕な感覚を全身で楽しんでいる。

こんな愉快な気分は久しぶりかもしれない。

近づける唇。

そこから逃げ出すように俺の手のひらからするりと目標は抜け落ちた。

つーか、逃げんな。

「そんな気分じゃない」

足を一歩踏み出した俺から後ずさりしたつくしの動きはデスクが止めた。

「お前に嫉妬される意味がわかんねェよ」

「俳優になれるんじゃないッ!」

「腰を抱いたり、笑いかけたりして楽しそうだったよね」

「嫌だっ。断る。出ないって言っていた人とと同一人物には思えませんけど」

拗ねる声。

完璧に八つ当たりだ。

演出だからしょうがない。

俺も好き好んでやったわけじゃねェ。

心の中で反論しながらもこの状況が気持ちいい。

責められることに覚える快感ッてあるものだ。

つくしの身体に自分を押し付けるように動いた体。

つくしの上半身を挟むように両腕はデスクの天板を抑え込む。

「CMで共演したタレントのことなんて何も記憶に残ってない」

「有名なモデルさんじゃない」

俺が腰を折るごとにつくしの背中は反っていく。

この状況にいつまでつくしは耐えられるのか・・・。

斜め45度で動きを止めてゆっくりとつくしを見下ろしている体勢。

つくしの強気な口元もわずかに震えている。

限界は近いよな?

「俺に演技なんてできるわけない」

「お前を相手にしているつもりでやったんだ」

CMに映し出されてる俺の表情も感情もすべてはおまえに向けたもの。

ほかの女を相手に注げるものじゃない。

ガタンと音をたててつくしの身体がデスクの上に落ちた。

一瞬驚いた瞳はキラキラと光って俺を見つめて照れくさそうに笑った。

「見るな」

顔を隠すように首に両手を俺につくしが巻きつける。

「おっ」

腕に加わったつくしの重みを支えるように腕に力が入る。

機嫌は直ったか?

だけど、このままじゃ、少し・・・物・・・足りない・・・。

右手で身体を支えながら、左の腕を曲げ腕時計の時間を確かめる。

袖で隠れて時計の針が見えなかった。

まだ数分しか経ってないはずだ。

西田!

まだ来るなよ!

拍手コメント返礼

ゆげ様

舞い上がるには早すぎですよね♪

舞い上がらせてるのは誰だ~~~~~。

変なことになったらつくしはお母様に会わずに逃げ出しそう♪

変なことって~なんだ~~~♪

その描写は連休が終わるまで無理っす。

この前の妄想は無事に抜けていきました。

もったいない気もしますけどね。

>小泉元総理だったら「それは大変だね~!何とかならないの?」って、秘書に言って、折衷案を出してくれそう…

リアルにこのやり取りが~引退した小泉元総理が映像化しちゃったじゃないですか(爆)

まさか花男から総理までつながるとは思いませんでしたよ。

楽しいなぁ~~~~~。。

なおピン様

鼻炎よかったですね。

私も3月に1週間くらい苦しんだんですよね。

ティッシュも潤いティッシュに変えて鼻をすすっていた記憶が~~~。

>司の余裕の嬉しさが伝わってきますね~~つくしの方が慌ててる感じはなかなかないですよ!

これは滅多にない展開ですけどね。

はっきりと大人の司を意識して書いてるとこうなるんです。

おバカな司が登場してるときはわたしの頭の中が大学生の司が遊んでいるんです。

実はこの切り替えでお話の中の司が変わってくるんですね。

やばい!司の性格が変わってきたって慌てることもあるんですよ。

疲れますよ~(笑)

デビ西田はきっかり30分で現れるのでしょうか~~~~~。