ソラノカナタ 40

どっちを取る!

王子と司どっちをとるの?

答えはもちろん決まってますが、それじゃ少しも面白くないんですよね。

そう考えるからお話が終わらない。

早く終わらせたいんですけど・・・。

「楽しんでもらえればいいじゃない」VS「早く終わった方が楽になるぞ♪」

頭の中の天使と悪魔が闘争中です。

*

「どどどっちって・・・」

うまく出てこない言葉は私の動揺の表れだ。

王子の思い人に間違えられたままじゃ困るのは当たり前。

屋敷の前を取り囲むテレビカメラにリポーター。

この中をかいくぐるのはサル園の中に放り込まれるようなもの。

どこまでひっかき傷をつけられるのか・・・。

無傷でいられるはずがない。

高校卒業前の雪山遭難事件で救助された次の日の新聞はTOP扱い。

命を顧みず救助に向かった道明寺財閥御曹司。

現代のシンデレラストーリー。

新聞の切り抜きは我が家の神棚にいまだに祭られている。

王子とのことが報道されたら、同じような扱いの可能性あり。

ついでに我が家の神棚の御神体も変わってくる可能もある。

パパもママもついでに進もミハーで楽天的だ。

じゃなきゃ貧乏は楽しめない。

あの遭難事件よりすごい事になるとは想像がつく。

ただいまの注目ナンバーワンのイケメン王子。

王子というネームバリューにあこがれる若い女性も少なくない。

10代の頃の私もご多分に漏れず王子様にあこがれたもんなぁ。

花沢類・・・。

謎めいた独特の雰囲気。

他人を寄せ付けない孤独の殻。

そして、惹きつける整い過ぎた容姿。

アル王子も黙って微笑めば抜群の魅力を発揮しそうだ。

道明寺と一緒の方が傷は浅くて済みそう。

結婚を発表するのはそろそろだということは私も覚悟はしている。

派手にやらなくていいからって頼んだら抑えて公表してくれるかもしれない。

新聞の記事も小さく隅っこにうずまるくらいの扱いでお願いしたい。

所詮は財界の御曹司ってことだけだし、芸能人ほど派手な扱いをしなくていいはずだ。

芸能人じゃないんだからみんな興味ないはずだ。

道明寺の相手は何のとりえもない平凡な私なんだから。

「答えは決まっている」

静かな落ち着きのある声は絨毯を沿って上昇気流に乗る様に部屋の中に響き渡る。

道明寺と出ていきますと上げかけた腕をあわてて下ろした。

「振られるのは気分がいいものじゃない」

「冗談じゃねぇ」

アル王子ににじり寄る道明寺。

「機嫌よく私を帰国させた方が賢明だろう」

アル王子は道明寺を無視して西田さんに同意を求めるように微笑んだ。

その態度って完全に道明寺を煽っている。

「婚約者を奪われたままじゃ俺の股間にかかわる」

股間って・・・

それ沽券だから。

訂正する気も薄れていた。

その私の横で花沢類だけが軽くクスッと吹き出している。

「つくし、股間にかかわるって意味はなに?」

アル王子は眉を眉間に寄せて考え込んでいる。

「そんなことも知らないのか」

勝ち誇った顔で道明寺の鼻の穴が膨らんだ。

どう説明するのよッ!

胸を張るなッ!

「日本のことわざは難しいですから」

西田さんが2人の間を取る様につぶやいた。

そんなことわざはないはずです。

西田さん!外国人にウソを教えていいんですか!

訂正できない雰囲気は分かるけどね。

「あっ・・・」

テレビ画面を見つめているエイミ―王女。

アル王子の母国での観光事業に道明寺ホールディングスが参入。

仲よく握手を交わしている道明寺とアル王子。

目の前の二人とは違い過ぎる。

「これで代表が王子といても不思議だとは世間は思わないはずです」

はっきりとした声は正確に響く。

「西田、これはお前が?」

画面から視線を外した道明寺の低い声。

「代表がこちらに向かわれる調整を行った時にニュースを流させました」

「用意がいいよな」

横柄に道明寺の口元がわずかに微笑んだ。

西田さんには感心させられる。

流石だ。

「司と牧野が出て行ったとして、王子の思い人は道明寺司の恋人」

「三角関係とか騒がれたら、牧野は大変だよね?」

「事実無根のことで騒がれなければいいけど」

カーテンの隙間から外を覗いていた花沢類が顔の向きを私に変えた。

高校と大学で私に向けられた妬みと嫉妬の鋭い視線。

「どこがいいの?」

「どうやって取り入ったのかしら」

「貧乏人が珍しいだけじゃないの?」

道明寺が私にプロポーズしたことは英徳では知らない人はいないから面と向かって言われることはなくなった。

アル王子とのことがうわさになったら・・・。

道明寺をフッた!

御曹司から王子に乗り換えた!

なに様!

どれだけの罵詈雑言が飛んでくるのだろう。

道明寺だけで十分だ。

「私が何とかします」

無表情のままの西田さん。

「それじゃ、つまらないわよ」

「確かに」

エイミ―王女にアル王子が相槌を打つ。

アル王子はさっきまで爆弾発言をしたエイミ―王女に怒っていなかったか?

これは冗談で済まされる問題じゃない。

道明寺が登場してから何か悪い方向に向かっている気がした。

拍手コメント返礼

なおピン様

回復されたようで安心しました。

>アル王子とエイミー王女!面白くないって・・・何する気~~??あまり司を苦しめないで~~!!

いじめてませんテバッ(笑)

Gods&Death様

>このお話って、私の記憶では確か最初の紹介ではシリアスっぽくなかったですか?

私のッ記憶でもシリアスのはずでした(笑)

落ち込んだつくしをアル君が自分の国に連れて行っていなくなったつくしを司が追いかけて~

という話のはずだったのです。

ところがどっこい!

どこで変わったのだろうといまだに不思議な気持ちが・・・。

「仲直りさせて~」って要望に負けた私。

家事の分担ってきっかけですよね。

お嫁さんから「手伝います」って言ってくれたら楽なんでしょうけどね。

うちの場合は旦那の実家では料理は運ぶだけのお手伝い。

作るのは最近娘が手伝うので私は邪魔なんですよ(笑)

片付けは全部私がやってるって感じでしょうか。

実家じゃいまだに上げ膳下げ膳で母に甘えてますけどね。

手伝わさせるなら最初からですよ!

させなきゃしなくていいって思っちゃいますから。

それに仕事場で新人指導していた時に思ったのですが、自分で考えて行動を起こせる子って貴重です。

言われるのを待ってるて子の多いこと。

3日目で仕事を休んだと思ったら、「やめます」と連絡を入れてきたのは親でした。

この子の将来が見えた気がして怒る気にもなれなかった記憶があります。

ひつじ様

どっちを取る?

間を取って類王子!

それは私も考えました。

司が暴れそうですけどね。(^_^;)

ゆげ様

そうなんですね。

「はぴまり」は絶対お勧めです。

数年ぶりにコミックを買っちゃっいましたから。

最近映画、ドラマの原作になるものが多いでしょう。

「ぼくらがいた」映画になるらしい「カノジョは嘘を愛しすぎてる」なんて主人公が若い話ばかりですけど、

久々に大人の恋愛の面白コミックを見つけたって感じだったのではまりました。

ドラマ希望!なんですけどね。

ならないかなぁ~~~~~と切望中。

股間・・・

以前何処かで書いたような気もするんですが・・・。

アル王子が聴いたらどう感じるんだろうと思って、アル王子の反応のひねりがもう一つ欲しいところでした。

「何とかします」

何とかしなくてもいいよ~と悪魔のささやきが~(笑)

このお話はシリアスなはずだったんだすけど路線が変わってます。