不機嫌なFACE 9
さてここからどうするか。
今回は今のところ大人な余裕のある司君ですけどね・・・。
*「確かに駿の方が行儀は良さそうだ」
私から離れた唇がニンマリと笑ったと思ったら、もう一度覆いかぶさるようなキスをした。
「んんっ!」
抵抗する声にならない声。
驚いてとっさに逃げようと上げた手首はそのまま司につかまれて押し戻される。
見開いて大きく開けた視野一杯に近すぎてぼやけた司の顔。
ぼやけていても整っているってわかる顔立ちは嫌になる。
言いたいことはたくさんあるのに強引すぎるキスに飲み込まれていく。
二つの唇は同じ体温になって熱を生み、重なり合う熱はまた別な熱を生む。
頭の芯が甘くしびれて、気が付くと自分から舌を差し出していた。
唇から頬を伝って首筋を伝う甘い感覚。
そのまま胸元のボタンを一つ、司が口の中に含むように動いた。
さっき慌てて留めたブラウスのボタンが司の唇で外されるのに抗うすべをなくしている。
挑発するように動く指先に翻弄されてく。
電流に似た刺激はそのまま尾てい骨まで響くようだ。
そしてそれは次の刺激を生む波になって身体に寄せてくる。
離れなきゃダメだって頭の隅ではわかっているのにその考えは蕩けて消えていく。
「ずれてるぞ」
ボタンを咥えたまま下から私を見上げた視線はイタズラっぽくて、優越的に見えた。
「ボタン、かけちがえている」
司の唇で外された2番目のボタン。
その下のボタンはぎこちなく2番目のボタン穴と繋がっていた。
導火線を伝っていた小さな炎はゆらゆらと揺れてバンと足に踏みつけられて消沈。
「駿のほうが上手に着替えられるよな」
厭味ったらしい声を聴きながら慌ててブラウスのボタンをはめ直してる自分が歯がゆい。
「いじわるッ」
「本当にそう思うか?」
「いじわるじゃなきゃなんなのよッ」
拗ね気味の声はボタンのことだけじゃなく、身体に取り残された熱に対する不満のような気もした。
「本当に俺がお前をいじめたいんならボタンの掛け違えを教えてねぇよ」
「このまま部屋を出ていったら俺たちがなにをしていたか誰でもわかる」
あーーーーーーッ
もういい!
これ以上しゃべらせたらその口はこれ以上の恥ずかしいことを言いそうだ。
「今度おねだりするときはベッドの中でしてくれ」
途中で押し黙った私の顔を覗き込んだ余裕の笑み。
いつもの傲慢ささえ甘く感じる。
「な・・・っ!」
おねだりって!
キスしてきったのはそっちだ!
真っ赤になって絶叫したいのに声が出てこない。
目の前の涼しい顔はそのままデスクの上の書類を手に取って、何にもなかったみたいに指先でピラピラとページめくっている。
その速さでしっかり内容は把握しているのか疑問。
この状態で仕事をするふりを作られるのはムッとする。
おかげでスッカリさっきのこもっていた甘い熱は怒りの熱に置きえられていた。
触れられたら反応するのは仕方ない。
肌に触れる指先が、重なり合った温もりが、どう動けば私を捉えることができるのか知り尽くされてしまってる。
司に馴らされてしまっていることは否定しようがない。
キスすれば的確に感じるところを攻めてくる。
厚手の防御服でもなきゃ守ることなんて無理。
後は理性と気力で身を守るしかない。
最近すぐに脱がされるんだよなぁ。
これ以上フェロモン放出地帯に近づくのは危険だ。
「俺から離れようなんて考えていんじゃねェよ」
「なんでわかった!」
ギクッとなった表情をそのまま貼り付ける私は学習能力なしだ。
「このままじゃ、仕事にならねェし」
デスクから1歩離れて近づく足音がこつんと一つ響く。
「心配なく、わたしならそのまま帰るから」
一歩後ろに後退気味に足を移動させる私。
「素直じゃねえ奴」
離れたはずの二人の距離は確実に縮まっている。
歩幅の差は埋めようがなかった。
「お前をその気にさせるのは簡単だってさっき証明したはずだ」
カタッ。
背中に触れる硬い壁。
片側の壁に自分の身体を支えるように司は左手を付く。
私を見下ろす瞳は楽しげで・・・
優しくて・・・
わずかに閉じた瞼の奥の瞳は潤んだ熱を宿している。
別に逃げる必要はない!
口説かれているわけでもない。
ここは会社だ!
これ以上のことは司もするはずはないだろうし・・・。
ただこの濃厚な艶にいまだに慣れない。
空気までピンクに変わる気がする。
CMを見て、『見つめられるだけ妊娠しそう』だと感じた女性の気持ちもわかる気がしてきた。
拍手コメント返礼
b-moka様
最後まで大人な司は面白くない!
私も同意見です(笑)
ワンちゃん再発しないようにが大事ですよね。
なおピン様
書き込みができないのはどうなんでしょうね。PCだけじゃなくブログの方も考えられるし・・・。
PCならツールのインターネットオプションの変更で軽くなる可能性はありますけどね。
松潤の髪形思い切りましたね。
ねねね。花沢類もできそうでしょう。
あのミステリアスな演技を旬君じゃなく松潤がやったらどうなってたんだろう・・・。
ゆげ様
二択の行先を決めたのは楓さんというのは意外でした(笑)
確かにスケジュール調整までしてつくしに双子を取られたら秘書さん泣きそうですもんね。
>つくしちゃんのジェラシーに気分上々の司に邪魔が入るという設定も捨てがたいよ。
私も捨てがいたんです。(爆)