UNREAL
今日は連載の更新はお休みで、短編にお付き合いをよろしくお願いします。
大学時代の一コマ。
2910000のキリ番をゲットされた『tsun様』のリクエスト!
つかつくのベタベタ甘の妄想小説にキレるつくしをお願いします。司にはぜひSで。
tsun様お待たせしました♪
*幼稚舎から大学までの一貫校の英徳学園。
在籍しているのは日本でも有数のお金持ちの子弟が多いエリート校。
そこで君臨するF4。
相変わらずの特別扱いは大学になっても変わらない。
この四人が大学を卒業するまでに学校の一つや二つは建てられる寄付金を英徳に収めたのではなかろうか?
それとも私1000人分の授業料以上か?
高校が月10万だとして・・・
あほらしくなって途中で計算を止めた。
大学の2階中央の建物。
理事長室より目立つ位置にある特別ルーム。
重い扉を開けると飛び込むまばゆい白い大理石の床。
足を一歩踏み出すたびに滑るんじゃないかと気が気じゃない。
天井には豪華なシャンデリア。
20帖ほどの広さのリビングを通り抜けた先に見える4つに区切られた部屋の扉。
言わずと知れたF4各一人の分配されてるワンルーム。
選び抜かれた調度品、格別の豪華は言うまでもない。
この中に無断で入れるのはF4を除けば私だけだ。
呼び出しがなければ来ないけどね。
こそっと小さく開ける扉。
10㎝程度の隙間の視野で部屋の中を見渡す。
「まだ誰もいない・・・」
リビングの天井の真ん中で煌びやかな輝きを放つスワロフスキー。
電気つけっぱなしだよ。
節電は節約の一歩。
我が家は電灯3本のところを一本にしている小さな努力。
一日数円の節約に心を削る。
知るわけないよなぁ。
あっ・・・
ノートPCの電源もきっていない。
たくッ。
しょうがない。
道明寺のだ。
明るく光る画面。
中身を見るつもりではなく電源を切るためにマウスの上に右手に置いて覗き込む。
なに?これ?
四角い文字が並んでいる。
『UNREAL』
一回り大きく書かれた文字。
読むつもりはなかったのに「まきのつくし」って書かれた名前から目が離せなくなった。
私の行動報告書じゃないよね?
無防備とか警戒心が足らないとか・・・。
しまいには俺の婚約者だから狙われる恐れもあるってSpをつけられた前科も道明寺にはある。
また私の気が付かないところで許可なく何かやっていた!
ヤダって言っているのにッ。
でも・・・
アンリアルって非現実って意味だよね?
報告書でそんな題名をつけるのだろうか・・・。
文章を読み進めて固まった。
「吸って、吐いて、吸って。ゆっくりこれを飲んで」
つくしは目の前に出されたコップの中身を一瞬見つめて一気に流し込む。
「少しは落ち着いた?」
親友の心配そうな声にコクリとうなずいた。
「何があったの!」
つくしは頭を上げてもごもごと口を動かした。
声がなかなか出ない。
「落着けつくし」
「デートに誘われた」
必死に絞り出した声。
「誰に?」
「道明寺・・・・」
「道明寺って、あの・・・」
優紀も驚きを隠せないように絶句する。
「いきなり好きな人にデートに誘われたら誰だってびっくりするよね」
つくしの代わりにうっとりする表情を優紀が浮かべた。
「でしょうッ!」
「もう心臓が飛び出るかと思った」
息を吹き返した魚の様につくしの口からパクパクと言葉が飛び出した。
F4の中でも一番かっこよくって、人気があって、さわやかで、優しくてっていったい誰のことよ。
私が夢中で、ひとめぼれ?
道明寺は意地悪で、傲慢で、冷血で・・・。
他人を思いやる感情なんて持ち合わせていな嫌な奴で・・・。
最低最悪の第一印象しかなかったはずだぞ。
確かに『UNREAL』
いったいどこまで物語は進んでるのかが、気になった。
どうしようもないこと書いていた削除してやるッ。
司はつくしの髪留めを外して小さなつくしの悲鳴をキスで塞いだ。
「ごめん傷つけるつもりはなかったんだ」
「・・・・ただ驚いただけだから」
ほどけたやわらかいつくしの髪に司は両手を差し入れた。
つくしは身体を司に押し付けて目の前ある司の唇に自らの唇を押し当てる。
司の唇に歯を当てると彼はその唇を激しく貪った。
これ以上カーソルをスクロールさせて大丈夫か?
名前がつくしと司じゃなければ単なる連載小説で読める気がする。
見ないつもりでも指先はマウスを操作している。
ページ一枚分が新しく画面上に表示された。
ここまで10ページ以上は経過。
「俺をこんな気分にさせるのはお前だけだ」
「誰にでも言っているんでしょう」
このセリフを道明寺も私も言うはずがない。
言えるとしたら西門さんか美作さん。
そっちの方がリアリティーを増すぞ。
つくしは司の首筋に顔をうずめる。
「大胆だな」
「言わないで・・・」
司は返事をする代わりに熱い口づけを返した。
つくしは息をすることもまっすぐ立っていることもできずに司の肩を掴んだ。
やがてその手は司を求めるように引き締まった筋肉をなぞり始めた。
つくしは司のシャツのボタンを外して指先を胸元に滑り込ませていく。
これって・・・
私には無理だ。
そこまでできる経験はない。
もう・・・これ以上読めない。
なんでこんな小説が道明寺のPCの中にあるのッ。
つーかこんな話を道明寺はニヤつきながら読んでいたのか?
アホ!
バカ!
すけべっ!
色魔!
他にないか?
「欲求不満じゃねぇの」
「でもこの前、やっと牧野と大人の関係になったって喜んでいたよな?」
「牧野大丈夫?」
聞き覚えのある3つの声が背中越しに聞こえてきた。
ドクンとなった心臓に追い打ちをかけるように伸びてきた影は私の手元を暗くしている。
私の頭の上に右、左、3様のハンサムな顔が画面を覗き込んでいた。
どうやって私は顔を上げればいいんだろう。
「おっ来ていたか?」
能天気な声がパタンと開いた扉を閉めてやってきた。
この恥ずかしい怒りをぶつける相手が気楽そうな足取りで近づいてくる。
「司、気をつけろよ」
身体を起こした美作さんが苦笑気味につぶやいた。
「こんなのは一人で楽しむもんだろう」
西門さんの意味深な声。
なんとなく分かってるつもりの男性の性ってやつ。
アダルト的なものを隠して持っていてもそこは男だからって理由は分かる。
レンタル店の片隅のカーテン向こうに隠れて置いてあるアダルトDVD。
それだけで女性は立ち入りできない空間。
レンタルなんて言葉をこの人たちが知ってるはずはない。
持ってるのかな?
西門さんも美作さんも必要ないと思うほど女性の切れ目はなさそうだけど。
道明寺に花沢類は!
持ってる?
う~ん・・・ヤダ!
想像したくない!
見たくない!見つけても困る。
イメージが壊れる。
「牧野が驚いてるよ」
「へっ?」
花沢類の声に促されるように道明寺がきょとんと私を見た。
その顔が無性に憎たらしくて指先に触った用紙の束を道明寺の顔面に押し当てる。
くぐもった短音をわずかに道明寺が上げた。
そんな息苦しい声もかまっちゃいられるもんか。
「これなによ!」
「何って?」
イカツク声のままPCの画面を指さす。
無言のままPCを覗き込む道明寺。
「おっ♪」
なんとなく楽しげな声。
「これ、どうしたんだ?」
振り返った声は何気に嬉しそうだ。
道明寺は知らなかった?
「すげ~積極的だぞ」
初めて見たって驚きの表情。
それでもやっぱりニヤつきそうな表情は気に食わない。
「司、刺激がほしいって言っていただろう?」
「ちょっとしたプレゼント」
だから文章に西門さんと美作さんの感じが入っていたのか?
これを書いたのはどちらだ?
疑問と興味の混じった感情のままに二人を眺める。
「牧野、俺たちもこんなの作っている暇はない」
真面目に重なる二つの声。
「これくらいの依頼は簡単だ」
「案外多いんだカップルの恋愛を小説にする代行」
「まあ、結婚式のプレゼント用って言うのが多らしいけどね」
だからってこんなに現実とかけ離れた話を見せられてもうれしくない。
「司の願望を入れてもらっただけだから」
そんな気遣いはいらないツーの。
「牧野が押し倒したら司は止まんなくなるんじゃないか?」
「司が押し倒さなきゃ無理だろ」
「牧野だからなぁ」
完全に遊ばれている。
道明寺を怒る理由も無くなった。
「牧野に先にみられるのは予想外だったけど」
その楽しんでいる表情は私に先に見せる計画だったのが分かり過ぎだ。
「帰るッ」
「しばらく会わないからッ」
PCの電源をコンセントごと引き抜いた。
「牧野ッ!俺は何もやってないぞ!」
「ニヤついてたでしょッ!」
追いかけて来る道明寺を引きつれたまま部屋の入り口の扉を開ける。
閉めかけた扉の隙間から笑い声が聞こえてきた。
「悪いのはあいつらだからなッ」
あきらめきれないように聞こえた道明寺の切羽詰まった声。
必死過ぎる道明寺の顔がおかしくて、私の頑なな心も解けかけていた。
このリクエストは結構難しかったです。
以前あきらと葵とお話で会社中で流れてる話を書いたことがりましたが、つかつくの大学時代の二人でどの流れで作るか。
そしてつくしが見ることのできる環境はどんな環境か?
そこに司にSでの注文。
何とか書き上げた私はホッとしてますが、tsun様こんなもんでお許しを~。
拍手コメント返礼
Gods&Death様
ようやくのんびりと更新出来るようになりました。
確かにいつもと違う感じで仕上がりましたね。
中に書かれてる小説をもっとどぎつく♪
そうするとお星さまが飛んじゃいますので~~~。
軽めに書かせていただきました。
ご要望がれば中の小説も☆付きで完成をさせましょ♪
あっ・・・でもいつものつくしじゃなく積極的な大人なつくしを書かないといけなくなるのねェ(^_^;)
tsun様
いえいえこちらこそリクエストありがとうございました。
お待たせしましたぼちぼちと書いていたんです。
リクエストは未知への挑戦で楽しませてもらいました。
頭の活性化に大変役立ちました。
ここまでに没にした設定は新しいお話の土台とさせていただきます♪
類のリク・・・。
どんな類君の設定がお望みでしょうか?
こうなりゃ、tsun様の妄想についていきます(やけくそじゃないですから~)
怒り沸騰のつくしを慰める類君とかだとひと波乱ありそうですよね。
このお話は短編・・・短編・・・。
数話なら続きもありか・・・。
これ以上自分で作品を増やしてどうするッ←「メッ!」
ゆげ様
道明寺賞・・・
確かに密かに楽しんでいそうですね。
>現実とのギャップに、何で実際は、こんな感じにならないんだ?!って、考え込む司を想像してしまいました(笑)。
「おい、どうすればこんな積極的なうまいシュチュになる?」
「・・・」
「牧野だろ?」
「牧野じゃな・・・」
「相手は司だし・・・」
「俺たちなら何とか相手が牧野でも行けるかもしれないけどな」
ブチッ!!!
ボクッ!
こんな感じの場面を脳内変換しちゃいましたよ~。
つくしちゃんの行動報告書確かに西田さんなら作っていそうですね。
ぼっちゃんの操作対策裏情報♪