SP物語 14(ソラノカナタ スピンオフ物語 )

いよいよ舞台は日本へ!

このソラノカナタ スピンオフ物語もそろそろ終わりです。

次はどんなSP物語ができるかな♪

*

空港の到着ロビー。

14時間の飛行時間の窮屈さ、それでも熟睡気味だったのは今回の緊張感が半端じゃなかったからだと思っている。

ソラノ上、愛想よく代表の周りを行きかうキャビンアテンダント

代表は気が付かないというよりは完璧な無視。

1時間後は誰も近寄らなくなっていた。

ほとんど暗雲!雷雲!大雨警報が代表の周りを覆ったまま日本に到着。

代表を挟んで座っていた客のホッとした背中が忘れられない。

首を左右にコキコキと音を鳴らして腕を天井に伸ばして思いきり背伸びをした。

背中から感じる冷ややかな冷気。

振り返らなくても感じる不機嫌さ。

飛行機から降りた後の方がまだ不機嫌って、どうなんだよッ。

さっと一風の冷たい空気は俺を無視するように追い越していた。

「一平仕事に戻れ」

相葉先輩の口元はそう読み取れる。

人ごみの中の到着ロビー。

危険分子が紛れてもわからない状況。

いかにもSPの護衛をつけてVIP的な存在感を示している代表。

俺たちがいなくてもきっと代表のオーラは人の視線を集めている。

1歩足を進めるたびに空気が変わる。

不機嫌でも華やかなオーラは色あせることなく道明寺司を印象付けている。

こういう状況が一番危険だった。

飛行機を降りる前に緊張感を漂わせていた相葉先輩と俺の差を感じている。

代表にまた俺のマイナス要因をさらしてしまった。

これで俺は二度と代表のSPにつくことはないかもしれない。

一抹の寂しさ。

こんな緊迫感満載のSP体験でまだ代表をそばで見たいって思う俺はどうかしてないか?

魅せられてしまっている。

代表に?

彼女に?

やっぱり二人だよな。

彼女を見つめる代表が白い歯を見せて微笑んで瞳を細めて優しく見つめるまなざし。

弾ける様に笑って頬を染めて嬉しそうな表情で代表を見つめる彼女。

こっちまでむず痒くて、微笑ましくて甘い雰囲気に当てられる。

この瞬間が見たくて、見ている俺まで幸せで恋がしたいって気分にさせられる。

今回はその状況より彼女の悲痛な表情が印象的だった。

代表と彼女が抱きあう瞬間まで見届ける権利が俺にはあると勝手に思っている。

代表の乗った車の助手席に座る俺。

「気を抜いていた罰」

相葉先輩はそう言って俺を助手席に放り込んだ。

後部席に代表が座っていると思うと落着けない。

俺のことなんてこれっぽっちも気にしちゃいないだろうけど。

バックミラーに映る代表は腕組みをしたまま黙って何か考え込むようにまぶたを閉じている。

キリッとした眉。

すらりと伸びた鼻筋。

わずかに伸びた無精ひげも精悍さを色つけしている男前。

いいよな。

俺だったらきっとやつれているって思われそうだ。

「一度屋敷に戻って牧野の家に向かってくれ」

携帯で連絡を取った後に代表が運転手に指示をした。

道明寺邸到着後1時間後さっぱりとした代表を乗せて僕らは彼女の家へと向かった。

楽しい気持を乗せたままなんて感覚が毛頭あるわけがない。

気まずい雰囲気。

無言の重い空気が立ち込める高級車。

相葉先輩の言う様に結構つらい罰だ。

後ろについて来るセダンをサイドミラーで確認してため息を一つ。

センパイ!ずるいすよッ。

狭い路地を抜けて彼女の住むアパートの手前に静かに車は止まる。

俺が車から降りるより先にバタッ!ドタッ!と代表が飛びだして駆け出した。

SPの立場は完全無視!

保護者の後を追いかけるSP。

なんの役にも立ちません。

ピンポン!

ドン、バン!ボス!

俺たちが追いついて見たのは・・・

指を押し付けるように代表は呼び鈴を押す。

0.0001の速さで握りしめたドアノブ。

流石にそんなに早くドアが開かれるはずはない。

代表はドアに左足をついてドアノブを引っ張る状況。

ドアを壊しそうな勢い。

「おい、牧野ッ」

ドアを拳で叩きながらその音より響く低い声。

何事かって顔を見せる近隣住人を「大丈夫ですから」と整理するのは俺と相葉先輩。

カシャッ!

住人を押しとどめているその横で玄関の鍵が開いて少年がおどおどと顔を出す。

彼女の弟か?

バン!

待ちかねたようにドアを引きちぎりそうな勢いで代表がドアを全開に開いた。

ドア全壊にならずに良かった。

バシ!ドテッ!

開いたドアの先から弟が代表にタックルを受けたように見事に転がった。

ずんずんと家の中に進んでいく代表を見ながら開けっ放しのドアを俺はガチャリと閉めた。

どうなるか気になりますが、僕らはここで待機しています。

代表!頑張ってください!

俺に応援されても代表が喜ばないでしょうけど・・・。

背中でドアを押さえつける様に立っている俺の前にぬっと相葉先輩が対位して立つ。

「どうなるか、やっぱ気になるよな?」

少しおどけた調子で言った相葉先輩はニコリと笑う。

「心配するな、きっと大丈夫だ」

確信がある様に相葉先輩はポンと俺の肩に手を付いた。

拍手コメント返礼

ゆげ様

一平君・・・Mですよね(笑)

なぜか快感を感じていたらやばいかも♪

そうなんです♪

任務が終わった後の解放感な二人の会話は絶対書きたいんですよね。

なおピン様

おはようございます♪

こちらも最近寒いですよ。

今日も曇り空です。

不機嫌オーラ全開の司を見てもそれよりつかつくの甘ったるさに魅せられる相葉&一平。

実際的に男の人の感情ってどうなんだろう・

案外男性って女性よりロマンチックな人が多いような・・・。