思い出は虹色に輝く10
九州地方梅雨入りしました。
洗濯が・・・。
え~このお話の設定はつくしちゃん大学1年生だぞ!
自分で確認しないとごちゃごちゃしています。
18歳 22歳 27歳の設定で書いてるから時々ぶれるんですよね。
つかつくもそれなりに成長してるはずだ!!!
早くどれか終らないかなぁ・・・。
*「あっ・・・ごめん」
牧野のカバンの中から出てきた色気のない角ばった文字の並ぶ本。
「これだけじゃレポート書けないや、一度家に戻らないと」
ようやく牧野を連れ込んだ俺の部屋。
テーブルの上に置かれた分厚い教科書の横で俺の手のひらがドンと音をたてる。
家に戻ってそのまま「お休み~」なんてことがなかったとは言わせない。
道明寺の屋敷に戻ってたら時間が足らないとか・・・。
今日はもう遅いから親の手前とか・・・。
親を持ち出されたらなんも言えねェ。
俺が嫌われたくないって思う相手が牧野以外にも増えている。
牧野!
ここで手放したら、お前はもどってこないだろうがぁぁぁぁぁぁ。
逃がすかッ!
「一緒にこい」
掴んだ牧野の右手首。
それをそのまま引っ張って部屋の端まで歩く。
「なななっ・・・なに」
ちらりと牧野が向けた右端にキングサイズのベッドが見える。
俺に引っ張られて伸びていた牧野の肘が抵抗するように曲げられた。
「そっちじゃねェよ」
「えっ?」
その「えっ?」は、ホッとしたのか、残念がってるのかどっちかわからない微妙な雰囲気。
数秒の無言の間で、牧野の視線とぶつかった。
クスッとしたおかしさが俺の胸の奥に浮かぶ。
カチャッとドアのノブを回して開けたドア。
俺の部屋から続く書斎。
壁の横のスイッチを入れて天井のシャンデリアが輝きだす。
牧野に入る様にと首を横に振る仕草を見せる。
「この部屋って前からあった?」
ゆっくりと部屋を見渡す様に牧野が首を動かす。
お化け屋敷にでもいるようにゆっくりと慎重気味に牧野は前に一歩、足を踏み入れた。
「作らせたんだよ」
自慢げな声が自然に零れる。
部屋の奥に並ぶ木調の本棚。
「すごっ・・・」
本棚の扉を開いて中の本を牧野が手にとってつぶやいた。
「うちよりそろってる・・・」
「これでお前の家に帰る必要はねェだろう」
本棚には大学の教科書以外にも法律の本がずらりと並ぶ。
大学で勉強するよりいい環境だ。
今日牧野がいた大学の図書館にも負けねェよ。
「もしかしなくても、これって、私が使うだけだよね」
信じられないって呆れた視線。
「あーっ!その先は言うな」
もったいないとか、必要ないとか絶対喜んでる反応は見せないって分かってる。
「お金が有り余ってるとこんな無駄なことするんだ」
小さく独り言のように牧野が呟く。
「無駄じゃねぇだろうッ!!!」
牧野の小声に反比例して大きくなる俺の声。
賞味期限があるわけでもない。
将来的にも邪魔になるものじゃないはずだ。
聞こえてた?って感じで俺の鼻先でキョドッとなった牧野。
「俺と結婚すれば牧野はここに住むんだよな?」
「まあ・・・そうだけど」
鼻先が触れあいそうな距離で牧野の声が俺の肌に触れる。
「弁護士になって働くお前にも書斎は必要なわけだ」
「道明寺の部屋のテーブルで十分なんだけど・・・」
片手を牧野の背中に回して抱き寄せる。
「ひゃっ」って耳もとで聞こえた声。
色気なし。
「一緒にいたら仕事にならない事もある。すぐに押し倒されたいんなら別だけどな」
俺の言葉に踊らされてばたつく手足。
「ちょっと!」
「ヤダ!」
「まて!」
全身で俺に抵抗中の牧野。
「暴れるな!いまここで押し倒すなんて思ってねェよ」
「だったら触るなッ」
ばたつかせてる牧野の手足を抑制するようにしょうがなく片方の手を牧野の腰に回してた俺。
すっぽりと俺の胸元に牧野を包み込んでしまってる。
牧野の口元から漏れる息が胸元をくすぐる。
服の上からも感じる牧野の柔らかい二つのふくらみは確実に俺の脳を刺激してる。
指先が覚えてる弾力のある感触。
やっぱ、ここで押し倒したいかも・・・。
二度目が床の上って・・・
必死で抵抗を受けそうな気がする。
「レポートが先だからねッ!」
少し潤んだ瞳が強気で俺を見つめる。
ウッ・・・
かわいい・・・。
こいつほどかわいいって思えるやつ、ほかにいない。
無意識に俺を煽ってるって分かんない無邪気さ。
罪だ。
抱きしめたいって思うのも、キスしたいって思うのも俺のせいじゃない!
落着け!俺!
これ以上牧野を見てたら我慢できなくなる。
牧野の表情を隠す様に両手に込める力。
手加減できずに強く牧野を抱きしめていた。
密着する身体、感じる牧野の体温。
甘い香りは嗅覚を刺激して好きな女を抱きたいって本能を思い起こさせる。
逆効果じゃねェかぁぁぁぁぁ。
どうする!俺!
牧野ーーーーーっ!
「えっ!!」
俺の体重に耐えきれず牧野がよろめく。
「お―――ッ」
体勢を立て直す間もなく床に倒れ込んだ俺の下で牧野が叫んだ。