ソラノカナタ 50

何とか区切りのいいところで終わらせたい。

ということで記念すべき50話で終わりとします。

本当は51話なんですけどね。(^_^;)

しょっぱながパスワード付きという初の試みはいかがだったでしょうか?

え?もう忘れてる?

半年の長い時間のお付き合いありがとうございました。

この後もうしばらくはSP物語でお楽しみいただけたらと思います。

PW申請のご連絡。

本日12時まで申請いただいた方はすべ返信ております。

届いてない方はご連絡をお願いします。

基本PCからメール返信をしていますので、携帯の方は必ず受信拒否の設定をお確かめの上で申請をお願いします。

*

コンコンとノックする音。

静かに開いた扉からアル王子とジェームズさんが連れ立って現れた。

「忙しい中を無理に来なくても良かったんだ」

皮肉めいた口調で道明寺がつぶやく。

相手は一国の王子だぞ!

アル王子に聞こえて不愉快に思われたら国際問題。

「心配そうに眺めるな」

ジロリと私を見下ろした視線。

不敵な笑みを浮かべた口元。

たとえ相手が王子でも王様でも首相でも道明寺が相手に合わせて対応を変えるなんて態度をとるのは想像できないけど。

「会議には間に合わなくて申し訳ありませんでした」

ジェームズさんが道明寺に頭を軽く下げる。

その横でアル王子は悪びれない堂々とした態度を見せる。

嫌みじゃなく品のある立ち姿。

そこだけ空気が違うって気品。

微笑みを浮かべたこの人の受け入れを拒むことは一般人では無理だ。

「今後の計画などは部下が説明すると思いますので問題ないと思います」

私とメールのやり取りで上の空の道明寺だった顔とは違う落ち着いた横顔。

アル王子とジェームズさんとの間で明らかに態度が違う。

つーか不愉快そうに王子を睨み付けるって芸当は道明寺にしかできないって思う。

さっきから腰のあたりを置かれた道明寺の腕。

引きはがしてもすぐにウエストに戻ってくる。

「バタバタしいてる方が目立つぞ」

こそっと私に耳打ちする声に道明寺の指先にかけたままの私の指も動きを止めた。

道明寺の指はそのまま私の指を掴むように動いてる。

横から見たら私が道明寺の手を握って離さない状況に見えなくもない。

わざとだッ。

自分から離さないように私を囲い込んでしまった道明寺。

人前で密着する身体。

これ見よがしに『俺のだ』って王子たちに見せつけられてるような気がして頬が熱くなる。

その顔で見上げた道明寺の横顔は冷ややかに王子を見つめてる。

冷たい空気の流れに思わず背筋がキュッとなった。

「道明寺、落ち着いて」

落着けないのは私の方だ。

「お前が焦る必要ないだろう」

溜息と一緒に吐き捨てるような声が聞こえた。

「つくし」

私の前に近づいて影を作ったアル王子。

影が触れるのも嫌だとばかりに道明寺が私の身体ごと引き寄せて横にずらした。

「この後もう帰ることになった」

「あとしばらく君と過ごしたかったけど、残念だよ」

柔らかそうな金髪の前髪その下で少し色素の薄い青みがかった瞳が優しく微笑む。

吸い込まれそうになる瞳は花沢類に匹敵する。

差し出された握手。

その手は当たり前の様に私の目の前から道明寺が奪い取った。

「長い付き合いになりそうだ」

道明寺の態度をそのまま受け入れてるアル王子。

挑発的な笑みを浮かべるアル王子も道明寺に負けていない。

「仕事上の付き合いってだけだ」

これ以上に冷たい声って聴いた記憶がない。

「プライベートでも仲よくなってると思うけど」

茶目っ気たっぷりに王子は私にウインクを見せる。

「これ以上不必要な接点はもたせねぇよ」

苛立った道明寺の声。

「ほら!仲よくなるって大切なことでしょう!」

我ながらもっと別な言い様はないかと思案しながらとっさに出た言葉。

ピキッと道明寺の額に血管が浮き上がるのが見えた。

「本気で言ってるのか?」

「本気だけど・・・」

「俺以外の男と仲よくなりたいってこの期に及んで何考えてるんだ!」

「誰もそんなこと言ってないでしょう!仲よくの意味が違う!」

「どう違うんだよ」

「違うって・・・全然違うでしょ」

「違わねェよ。この浮気女」

完全に一人勝手な容赦ない言いよう。

「浮気って・・・浮気をしたのは自分じゃない!」

思い出したくもないものを道明寺が私から勝手に引っ張り出してくる。

「それは違うって納得したことをまた引き戻すな」

思わず文句を言うとすかさず道明寺に言い返される。

「しそうになったくせに」

「してねェだろう」

「おまえじゃねェと立たねぇって何度言わせんだ」

タタタタタ・・・

恥ずかしすぎて声が出なくなった。

人前で!それも王子だぞ!貴賓客!

立つってナニが立つかなんて意味の理解ができないことを願う。

「ブハハッハ」

私たちの口論はアル王子の笑い声で中断された。

「ジェームズ、挨拶は終わったから帰るか」

瞬きもせずに眺めてたジェームズさんの表情。

それがふんわりとした微笑みを浮かべてる。

「お邪魔なようですからね」

そんな笑顔で言われるような状況じゃなかった。

道明寺といつもの私。

きっとこんな激しい言い合いは見たことないよね。

 

「新婚旅行はどうぞ我が国へ」

腰を折って丁寧な会釈をジェームズさんが見せる。

もう・・・

まともにジェームズさんと視線を合わせる度胸はない。

「つくし、道明寺から逃げたくなったらしっかり匿ってやるからな」

今回付き合ってくれた礼はするからって楽しげなアル王子の声。

本気じゃないって分かってるけど私の横で苛立つ道明寺から今は離れたい。

足の裏を床から離した瞬間に「逃げるな」と道明寺に腕を掴まれた。

逃げたく思うことは確かにあるけど・・・

すぐに会いたくなるのも本音。

だから牙をむくなって言いたくなる。

「その時はよろしくお願いします」

冗談ぽく言ったアル王子に冗談ぽく笑って返す。

道明寺に凄まれて甲羅に首と手足をひっ込める私じゃない。

・・・。

やり過ぎたか?

一人笑ってない道明寺が眉をひそめてるのがちらりと見えた。

アル王子を見送ってホッとした息が漏れる。

「その時はよろしくってなんだ」

背中から近付いた低めの声。

まだ道明寺の機嫌は直ってないらしい。

「道明寺が横暴過ぎたら本当に王子に助けを求めるかも」

「そんなこと思ってるのか?」

冷ややかに冷たい声が耳元をかすめる。

「逃げようって冗談でも言えないくらいにたっぷりなお仕置きが必要だよな」

イジワルな響きとともに道明寺の唇が耳朶に触れて軽く噛む。

「ヒャッ」

身体がピクンと反応した私に満足したように道明寺が小さく笑った。

そして私から離れる道明寺。

道明寺の熱が離れたことにホッとしたような残念なような気持ちが交差する。

「西田、今からの予定は全部キャンセルしろ」

遠くで機嫌のいい道明寺の声が聞こえてきた。

                                END

お仕置きってどんなお仕置きだーーーーーッ。

書いた後に気になる私。

拍手コメント返礼

joylove様

拍手コメントありがとうございます。

このお話は終わってしまいましたがここからつながるお話も準備中です♪

しばしは番外編でお楽しみいただけると思います。

けい様

テンプレートを変えたらコメント欄が分かりにくいことに私も気が付きました。

(CO)をクリックしないと表示されないんですね。

コメントもコメントリストをクリックしないと見れないみたいですもの。

コメントが普通のよりオープンになってない感じは好きなんですけど(^_^;)

なおピン様

そうなんです。初めがパスワード付き♪

オリキャラが王子なん少し視線を変えればハーレクインばりのお話も作れそうでした。(笑)

つかつくも大富豪と庶民の設定は似た設定があるんですけどね。

最初はどうなるんだろう的な展開で進めて結局はいつものつかつくでしか終わらないお約束♪

オリキャラ人気度一度確認してみたいですね。(笑)

見事1位になった人を主人公にして物語を書くの特典でやってみようかな~。