☆ソラノカナタ (それからの話)

*

「きゅ~る」

あっ・・・

「スゲー音」

お腹を慌てて押さえ込む私に道明寺がイジワルっぽく口角を上げる。

「だってしょうがないでしょッ。お昼も食べ損ねてるんだから」

アル王子との出来事に道明寺の秘書の真似までさせられて食事の時間も忘れてた。

「お仕置きの前に食事だな」

「だから、そのお仕置きって言わないでくれる」

「それに今食事したら夕食が入らなくなる」

ツンと鼻先に迫る道明寺の整った顔。

「なななにッ」

熱く私を見つめてる瞳の奥が柔らかく笑ってる。

その瞳から逃げるようにわずかに後ろに足を一歩引く。

「おまえさ、お仕置きの意味わかってる?」

それは今朝までも同じような状況で・・・。

まだたんねぇとか。

キスしろとか。

甘える声を聞かせろとか。

さんざん言いように煽られていた気がする。

頭に浮かべる状況は羞恥心をエネルギーに変えてブルッとふるって頭から追い出した。

ここで分かってるって返事をしたら道明寺はニンマリしそうだし・・・。

知らないって言ったら言ったで「嘘つけ」と私を責める気がするし・・・。

「食事する時間なんてあると思うか?朝までお前を離すわけない」

低めの声が耳元をかすめていく。

傍に誰もいない車の中っていっても、あからさまに言い過ぎだ。

羞恥心も遠慮も何もないんだからッ。

「・・・ホテル」

道明寺が行き先を変えると運転手の里井さんに伝えている。

ホテルだけがリアルに私の耳に残ってる。

「まずは腹ごしらえな」

途中でまた腹の虫が鳴ったら失せるって道明寺がからかう様に呟いた。

ヌルいですが大人な表現も混じってますので、そのような表現がお嫌いな方はお戻りくださますようお願いいたします。

*

普通寝るか?

昼間のアルコールは酔いやすいっていうけどワイン1杯しか飲んでねぇだろうがぁぁぁ。

牧野を抱き上げてホテルの部屋のキーを開けた。

無意識に牧野から回された腕は抱き着くように俺の首に巻きついている。

挑発してんじゃねェよ。

襟首に触れる柔らかい唇。

息をするたびに生暖かい感触を肌が感じてる。

「たっく、手のかかる奴」

お仕置きをされてるのは俺じゃねェか。

ベットに牧野を横たえて、そのはしに腰を下ろしてタイを緩めた。

子どものようにあどけない顔はすうすうと小さな寝息を立てている。

寝不足って言えば寝不足だよな。

おまえも俺も。

そう考えても拭いきれない恨めしさがある。

普段ならワイン1杯で酔わねェだろう。

無防備に投げ出された肢体。

寝返りをうった拍子に動いた下肢は自然とスカートをずらして白い太ももを露出してる。

目に毒。

乱れた髪は呼吸をするたびに流れて鎖骨をなぞる。

上下する胸元で土星のペンダントと髪が絡み合う様に揺れている。

ほのかにピンク色に熱を潤ませる肌。

わずかに開いた唇が「ど・・みょ・・」と小さく動いた。

寝言で俺の名を呼ぶ牧野。

小さな舌先が唇からのぞいてる。

一瞬見えた赤が艶めかしくて艶やかに映った。

誘われるように親指が牧野の唇をなぞる。

口内に差し込む指先。

牧野の舌が指先をなぞって嫌がる様に首を横に向けた。

喉の奥から熱くなる感覚。

それとともに俺の体内の熱も高まっているのが分かる。

感情と欲望に身体を支配される感覚に抗えようがない。

「たまにはいいかもな」

またがる様に牧野の身体に覆いかぶさった俺。

なにも知らない牧野は相変わらずのあどけない表情を覗かせている。

「んっ・・・」

自由の利かない抑制を嫌がる様に、か細い声が聞こえた。

牧野の横に横たえた身体。

指の腹で頬から首筋、鎖骨をなぞりブラウスのボタンを一つ一つ外していく。

あらわになる胸元。

掌で覆う様に触れる。

牧野の肌がかすかに震えてしっとりと汗ばんでるのが分かる。

目覚める気配のない牧野。

寝息に混じる吐息から甘い声も聞こえてきそうな艶めかしさ。

無垢なものを犯す様な奇妙な罪悪感と甘くしびれるような高揚が俺を刺激している。

牧野の意識はないはずなのに確実に身体の熱は俺の指先から広がりを見せている。

乳房の形が変化するのを確かめながらその膨らみに唇を押し当てた。

雪の中に足あとを残す様に白い肌を吸って痕を残す。

淡い光に浮かび上がるみだらな朱。

仕置きというには遠い今夜の悪戯の証。

「・・んっ」

ピクンと反応して身じろぎを牧野が見せる。

俺だけが知ってる反応。

肌の柔らかい感触、熱がそのまま俺を突き動かしてる。

いつもなら俺に聞かせたくないって、こらえてる声も今は自然と牧野の口元から漏れている。

「起きろよ」

小さくつぶやいてわざと濡れた音をたてて牧野の口元から唇を離した。

夢の中の牧野にこの音は聞こえただろうか?

自分でも本気で牧野を起こしたいのかどうか・・・

このままで・・・

分からなくなってるままに下半身に指を這わせてた。

微熱を帯びた息が俺からも牧野の唇からも零れている。

やだとでも言う様に牧野が眉間に寄せる眉。

それさえも艶めかしい。

そして喘ぐように唇から紡ぎだされた音。

「つ・・かさ・・」

こんな時に俺の名前を呼ぶな。

自分の喉がごくりと音を鳴らしたのが分かった。

突き上げる衝動に抗えないまま俺だけに許された牧野の秘部に触れる。

指に絡みつく彼女の熱情。

されるがままの牧野は夢の中でも俺を呼ぶ。

無意識でも俺を欲する牧野が愛しい。

「つくし」

口から出た声がのどに張り付くように熱を持つのが分かる。

それがいっそう俺の身体を煽り高ぶらせる。

このままじゃ俺の余裕もなくなる。

悪戯だけじゃすまなくなりそうだ。

「あっ・・・」

息が止まるような高い声。

弓なりになる牧野の身体。

シーツを掴んだままの指先から力抜けて牧野の全身がベットに沈む。

これ以上はやばい。

ゆっくりと牧野の身体から離れてベットから起き上がった俺は大きく息を吐く。

ギシとベットがきしむ音がして、それに気が付いたように牧野がうっすらと目を開けた。

「道明寺・・・?」

「寝てろよ」

いままでなら絶対そのまま抱きしめてる。

意識のない牧野が俺に見せた反応に満足しながら一瞥の罪悪感を感じてる。

牧野の額に触れた手は慈しむように前髪をなでた。

牧野が静かに眠りに落ちるのを確かめながら、抱けなかった不満と一緒に汗で張り付いたシャツを脱ぎすてて床に投げつけていた。

けして強がってるわけじゃない。

意識のない牧野を本能のままに抱くことなんて出来るわけなかった。

湿った前髪を掻き上げながら浴室へと向かう。

火照ったままの身体に冷たい水が流れ落ちる。

高ぶった熱が消えるまではもうしばらくはかかりそうだ。

目覚めた牧野のとろりとした瞳を思い出してドクンと心音がはねる。

仕置きされてるのは俺じゃねか・・・。

それがまんざら悪くないって思えるように唇から小さく笑みがこぼれた。

今回はオトナな司。

頭の中は完全な映像化をしておりました。

絶対ドS的発想ではありませんから~~~~~。

こんな司もたまにはありでしょう!

そう思ってるのは私だけじゃないことを願っております。

拍手コメント返礼

Gods&Death様

朝から本当に(^_^;)

つくしはどんな夢を?

そして朝起きた時の反応・・・

どうなんでしょうね。

なおピン様

御疲れ様です♪

今回の司は今までと違う感じですが最初にこのお話を考えた時に序章と最後はこんな感じにしたいって相対してる司を考えてたんです。

最初の司がいるからこんな司もありかという設定です。

成長させてみました。(笑)

Acchan 様

ありがとうございます。

未読部分がまだあるとのこと。

結構読まれてるって思うとドキドキする部分もあって(^_^;)

これからもよろしくお付き合いを♪