ソラノカナタ (それからの話 2)

つくしサイドのお話も書かないとね。ということで続編です。

ソラノカナタ (それからの話 )と対峙させたお話になります

*

「きゅ~る」

口元じゃなく牧野の真ん中、中心から響く音。

「あっ・・・」

しまったとでも言いたげな落ち着きのなくなった視線と恥ずかしそうな声が漏れる。

「スゲー音」

こんな時はからかったほうが牧野は元気になる。

「だってしょうがないでしょッ。お昼も食べ損ねてるんだから」

俺のせいだと言いたげに膨らむ頬。

「お仕置きの前に食事だな」

自然と楽しげな声になる俺。

「だから、そのお仕置きって言わないでくれる」

「それに今食事したら夕食が入らなくなる」

昼食も食べてないのに夕食の心配するのは牧野らしい。

膨らませる顔を見つめながら腰を折ってその鼻の先に顔を近づけた。

「なななにッ」

焦って動揺する声。

ほんのりと赤く染まる頬は俺に見つめられたからだろう?

俺から逃れるように牧野が一歩足を引いた。

その動きを止めるようにつかまえた片腕。

「おまえさ、お仕置きの意味わかってる?」

息が触れあう距離で呟く。

キョドっとした顔はさっきよりも動揺しまくり。

まだたんねぇとか。

キスしろとか。

甘える声を聞かせろとか。

さんざんに責めてた昨日の夜。

狭いベッドの中で触れ合う温もりに絡み合う下肢。

これ以上に感じられないってくらいに牧野のすべてを感じてた。

きっと牧野も考えてることは俺と一緒。

「食事する時間なんてあると思うか?朝までお前を離すわけない」

朝までじゃ足りない情愛。

会うと抱きしめたくて離したくなくなる。

俺が感情をコントロールできなくなる唯一無二のただ一人の女。

このまますぐにでもベットに引きずりこみたい気持ちを抑えて行き先を屋敷から近場のホテルに変えた。

「・・・ホテル」

俺の横で耳まで真っ赤な牧野が固まってる。

「まずは腹ごしらえな」

途中で腹の虫が鳴ったら抱きしめる行為は中断させられる。

その危険性を回避する先手を打ってみた。

*

テーブルを挟んで道明寺と向かい合う。

なんとなく・・・

この後の展開を考えると食事の味もわからなくなる。

いまさら照れることもないし、初めてのわけじゃない。

いつも思うけど洗練されたマナー。

優雅に操るナイフにフォーク。

それはまるで音楽を操る指揮者のよう繊細で美しい。

その指先が、唇が私の身体すべてを知っている。

そう思うだけで体内の熱が私を包み込んでいく。

ワインのボトルを持った道明寺が私のクラスに赤い液体を注ぐ。

指先まで艶がこぼれる仕草。

ワインを口に含む前に道明寺に酔いそうだ。

「さっきから静かだな」

「食べることに専念してるから」

ガチャッと皿が音をたてた事は気にせずに料理を口の中に放り込んだ。

そして一気にワインを喉に流し込む。

道明寺がクスッって小さく笑うのがグラスに映って見えた。

「おい、大丈夫か?」

私の肩を抱く道明寺の声。

「ごめん、酔ったみたい」

揺れる身体はそのまま道明寺を頼り切ってしまってる。

考えたらここしばらく精神的に落着けなくて寝不足で・・・

この数日で一年分は泣いたと思う。

道明寺がいるってことが安心でうれしくてしょうがない。

「ごめん」

記憶が断片になる中でふわりと抱き抱えられた感触。

「たくっ・・・」

道明寺が不機嫌になるのはわかる。

こんなことになるって思わなかったんだけど・・・

「ごめん・・・」

呟いた声は小さくて道明寺に聞こえてるかどうかも確かめられないままに眠りに落ちてしまってた。

「んーっ」

よく寝た。

背を伸ばしてベットから半分身体を起き上がらせる。

私・・・

下着だけって・・・

スーツを自分で脱いだ記憶がない。

道明寺が寝返りをうった拍子にギシッとベッドがわずかに沈む。

シーツから見える裸体。

なんで道明寺が裸?

私の横に寝てることには驚かなくても裸に驚いてしまってる。

均整のとれた引き締まった肉体、無駄のない筋肉。

デスクワークでどうしたらこんな体が保てるの不思議でならない。

まさか下もすっぽんぽん?

シーツをめくって確かめたいのは見たいわけじゃないから!

「良かった・・・はいてる」

寝てる間、知らないうちに何かされたとか・・・。

普通いくら私でも何かされたら気が付くよなぁ。

胸に手を置いてホッと息を吐く。

えっ・・・

これって・・・

指の合間から見える赤い痕。

思わずブラを指で広げて膨らみの中を確かめて固まった。

一つだけじゃない!

それも下着を取らなきゃ絶対つけられない場所に残る痕。

下着をつけてるからって安心してた気持ちはぶっ飛んだ。

夢だと思ってたんだけど・・・。

道明寺の指先が優しく私に触れてしびれるような甘い感覚は唇から頬を伝って胸元に感じてた。

つかさって思わず零れた声。

あの時は名前を呼べって道明寺から言われて・・・

どこまでが夢で現実なのか。

分からないよ――――ッ。

ベッド下に落ちていた道明寺のシャツを拾い上げて下着の上から羽織った。

まずはここから退避。

寝落ちした私に道明寺が機嫌よくおはようなんて笑いかけるのは幻だ。

ベッドの端に足を降ろして腰を上げかけた私の腕を掴まれた。

「どこいく?」

「あっ・・・起きたんだ?」

道明寺を振り返ることなくつぶやく。

「逃げんなよ」

そのまま簡単に道明寺の腕に抱き寄せられてしまってた。

シャツの胸元から入り込んだ手はそのまま遠慮なくすっぽりと私の胸のふくらみを包み込んでいる。

耳朶にかかる道明寺の息。

「俺のシャツ着てるのって結構そそられる」

「そんなつもりじゃなくて!そばに私の着てるものなかったし」

「脱がせてやってハンガーにかけたぞ。俺に世話をやかせるのってお前くらいだ」

思ったより甘ったるい声が聞こえる。

「それより、昨日私に何かした?」

聞かなくてもキスされたってことは分かる。

なにかしたって聞いて「した」って言われたらどう反応すればいいのか。

どこまでされたか動揺するのは私だ。

怒る!

怒鳴る!

ぶんなぐる!

これはどう考えても道明寺の方が似合う。

責めたって「お前が悪い!」って開き直られるのがオチだ。

まさか知らないうちに最後まで!

されたら分かるような気がするけど・・・。

酔っぱらっての爆睡なら感覚も鈍くなるものだろうか。

「心配するな最後まではやってねェから」

「意識がないとつまんねェし」

不機嫌さに意地悪さが混ざった顔が迫る。

「キャッ」

そのまま押し倒された身体。

両手は万歳状態で道明寺に抑え込まれてしまってる。

馬乗りのままの道明寺が上から私を見つめてる。

「続き・・・して欲しいか?」

道明寺の唇は首筋に触れたまま、笑を含んだ声で言った。

「続きって、覚えてないんだから」

反論したい感情は肌をくすぐる熱い息に震えてる。

「思い出させてやるよ」

無造作にあらわになったままの太ももから道明寺の長い指が延びてきて下着の縁をゆっくりとなぞる。

「やっ・・・」

煽るような指の動き。

すぐに声を塞ぐようにキスで唇をふさがれる。

私の身体から邪魔だとばかりにシャツが剥がされてしまってた。

おまけのお話は3話で終わる予定です。

(あくまでも予定んなだよなぁ・・・)

拍手コメント返礼

なおピン様

いつもならって~♪

大人な司を制止させるものってなんでしょうね。

今回は接戦なんですよね。

今日までのプチ経過で決めようと思ってます。