SP物語 17(ソラノカナタ スピンオフ物語 )

今日はどれにしようかな(^_^;)

迷いながら相葉君と千葉君にさせていただきました。

『ソラノカナタ 37』以降のお話となります。

本朝8時までPW申請された方は返信終了してます。

*

「先輩・・・代表の機嫌が直ってませんか?」

道明寺ホールディングス本社前。

ずらり左右に並ぶ社員の前を堂々と歩いて進む代表。

この状況にも左右に、前後と神経を研ぎ澄ますのが俺たちの仕事だ。

車の乗り降りが一番緊張する瞬間。

それよりこの大名行列にはいまだに慣れない俺。

目の前の代表の肩がわずかに揺れて笑ったように見えた。

「お前らも大変だったよな」

代表執務室の扉を開けて待つ俺の肩をポンと一つ叩いて浮かべる笑顔。

わぁぁぁぁ。

心の奥は動揺を隠せない。

あの代表が俺に気遣った?

NYでも今朝も殺されそうな視線を俺に送った相手とは到底思えない変貌。

クールな表情が柔らかさを加えると男から見ても絵になる美形が出来上がる。

ドクンと心臓が音をたてた。

俺・・・その気あるのか?

違う!

これは美しい物を美しいと思う一般的な感情。

抱きしめたいとか、キスしたいとかは考えられない!!。

想像を脳が完璧に拒否した。

一つ大きく息を吸って自分を落ち着ける。

そのまま代表の背中を見送った。

「先輩・・・彼女は来てませんよね!!」

相葉先輩の胸元をギシッと掴んで迫る。

代表の機嫌が左右されるのには必ず彼女が絡むのは今回のことで嫌というほど経験済みだ。

彼女がそばにいるなら俺も納得がいく。

「迫んな」

俺から警戒するように離れた先輩。

「俺は女性の方が好きです」

さっき浮かんだ想像がまた浮かんできて叫んでた。

その声に慌てて周りを見渡す。

誰もいなくて助かった。

「一平、心配するな」

ニンマリとした口元はそのままケラケラと音をたてる。

「さっきから赤くなったり青くなったり面白いよな」

「まだ慣れてないんです」

あと10日も代表と彼女についていたら慣れそうな気がする。

これ以上に驚くことがあるのだろうか。

「まあ・・・つくし様が絡んでることは間違いなとは思うけどな?」

彼女がいなくても代表の機嫌はよくなるのか?

どんな手法?

そんな奥の手があったんなら早く教えてください!

竜宮城で乙姫にもらった玉手箱みたいに貴重。

俺たちでも代表を上機嫌にさせることができるなら、それは玉手箱よりお宝だ。

玉手箱を開けたら中からは出てきたのは白い煙だったってオチはいりませんからッ。

「昨夜のことを思い出してるとか・・・今日もつくし様のとのデートの約束ができてるとか・・・」

「そんなとこだろう」

「その辺は秘書の西田さんの腕にかかってる」

確かに代表の乗り込んだ車の中には西田さんがいるのが見えた。

あの人なら何か手を打ってる気はする。

今回の事件の黒幕も西田さんだからって相葉先輩に詳しく説明されたのはNYからの帰りの飛行機の中だった。

玉手箱の正体はどうやら彼女・・・牧野つくしの使用法ってところか。

「あの人の言うとおりに動いてたら違いない」

「敵に回すなよ」

俺にそんな技量はないのは知ってる相葉先輩のからかう口調。

その前に敵になる可能性は低いと思いますけど。

あの人ほど代表を優先してる社員はいないと思う。

西田さんの坊ちゃんと呼ぶときの眼鏡の中の瞳は子どもに向ける優しい眼差しに変わるのを見たことは心にとどめてる。

無表情で感情が読み取れない無口なタイプだと思った俺の印象は少し書き換えられていた。

2時間ほど経過したときに耳もとのイヤホンに声が届く。

「代表が出かけます」

いつもの落ち着きのある西田さんの声が耳元に響く。

襟についた小型マイクを口元に近付けて「了解」とだけ答えた。

扉を開く前に勢いよく開くドア。

え・・・っ。

執務室に入った時と別人の様な代表。

見た目は今の代表も普段の代表も変わらない。

ちょっとした表情の違いなんてちらりと垣間見る社員に見分けられるわけはない。

クールすぎる冷たい表情に少し吊り上った眉。

引きしまった薄い唇。

瞳だけがギラリとした熱を持つ。

クールさと不機嫌の違いがこの数日で見分けがつくようになってしまってる。

これは今からも外せない重要な分析力だと思える。

だからって対処で来るかどうかは別問題だ。

代表の機嫌に流されてる。

「何かあったな」

「そうですね・・・」

耳もとで呟く相葉先輩に力なく相槌を打っていた。

拍手コメント返礼

なおピン様

SPが女性だったら・・・

つくし付は女性を配備してそうですよね。

そんな話も機会があれば書いて見ます。