FIGHT!! 37
今回でお話をまとめます。
さて問題です。
阿賀野さんの勘違いを解くのはいったい誰?
つくし?司?類?総二郎?あきら?玲子さん?
クイズの答えは続きから!
答えに正解された方の中から抽選で1名様に豪華景品が当たる!
冗談です。
*「阿賀野さん!違う!」
手足をばたつかせて逃げる抵抗をつくしが見せるのはどうやら俺だけじゃないらしい。
「えっ・・・でも・・・」
「口も悪くて、態度もでかいけど、殴られたことはないですからッ!」
阿賀野から逃れたつくしはハアハアと肩で息をしながら一度俺に視線を移して叫んだ。
お前は俺を殴るけどな。
凶暴なのはつくしの方だ。
口も悪くて態度もでかいってもっと言いようあるだろう。
俺の後ろで聞きなれた声がブッって吹き出してる。
「見た目はあんなだけど私にはやさしい人だから」
見た目があんなってどんな見た目だ!
見た目で非難されたことなんてねェぞ!
「司が優しいのは牧野限定だけどね」
呟く類はクスッとした笑みを口元に浮かべた。
「牧野がいなくなれば俺たちが一番被害を被る」
渋めの表情をあきらが作る。
「牧野それを忘れるな」
「分かってるわよ」
総二郎の声につくしが少し照れたようにつぶやいた。
「・・・表」
「代表!」
わっ!びっくりした。
数度呼ばれて振り返った目の前に無表情すぎる見慣れたやつ。
「なんで、お前がいるんだ!」
今日はもう仕事は残ってねぇだろうッ!
「最上階から代表が騒いでるのが見えましたから」
「老眼になりかけのお前の目で見えるわけないだろう」
俺でも見えねェぞ。
上から見下ろす地上はミニチュアの車が判別できる程度のもの。
人間が歩いているかどうかなんて望遠鏡でもないと無理だ。
もしかして・・・・・
西田のデスクの引き出しの中にあるのか?
西田ならあり得る。
普段は望遠鏡をなんに使う気なのだろうか・・・。
覗き・・・。
西田ッ、それ犯罪。
あぶねェ・・・。
「老眼は手元のものが見えにくくなる現象です」
頬を緩ませることなくつぶやいた唇はそのまま上唇と下唇をピタリと合わせる。
次に西田のその唇が開いたときも俺をイラッとさせる言葉しか出てこない気がした。
「冗談です」
冗談って・・・感情の読み取れない表情で言うなッ!
そこは軽めににっこりほほ笑んで言うもんだろうがぁ。
西田には無理か・・・。
「つくし様の同僚の甲斐玲子さんが知らせてくれたんですよ」
「代表だけかと持ったらご友人の方々も来てるので、騒ぎになるんじゃないかって心配したようです」
それならそうと早く言えッ!
勿体付けた説明の仕方は西田の癖だ。
「西田さん助かりました」
いきなりつくしの表情が明るくなった。
「西田さんって・・・マネージャー?」
相変わらずの勘違いのままに女がつぶやく。
「マネージャーではなく秘書です」
西田の言うことを疑うやつはいないって律儀な真面目な雰囲気があたりを包み込む。
西田が内ポケットからカン違い女に差し出した名刺。
道明寺ホールディングス秘書課室長の肩書が印字されているはずだ。
「あっ・・・」
ようやく気が付いたように道明寺本社ビルの壁に刻まれた文字と名刺を見比べている。
「え?もしかして・・・」
「もしかしなくても司はこのビルの経営者」
笑を残したまま総二郎が説明する。
「道明寺って・・・道明寺財閥?」
驚いたままの顔は食い入るようにつくしを見つめてる。
「私ったらどこでこんなカン違いしたのかしら!」
見る間に赤くなった顔を隠す様に両手が包み込む仕草でその場に座り込んだ。
「私が最初にしっかり説明しなかったから、阿賀野さんごめんなさい」
つくしが頭を下げる理由が俺には理解できない。
それがこいつの優しさでつくしの利点。
俺には最期まで頑固に楯突くけどな。
俺にもそのくらい素直な態度を見せろよ。
「英徳で道明寺を知らない人物がいるとは思わないもんな」
「なぜそんなカン違いが生まれたのかそこが俺は気になる」
おれもまだ詳しくは知らない。
どこがどうなってこうなったかてんで理解に苦しんでる。
「相変わらずの庶民感覚がつくしから抜けだしてないからこうなるんだよ」
吐き出す様に声を出した。
「俺らも特売の紙オムツ持たされたことあったよな」
「トイレットペーパーもあったぞ」
「俺は卵」
「それをリムジンに乗せて帰るんだもんなぁ」
お前らは1度か2度だからいいよ。
双子が生まれてまた紙オムツを俺はもたされたぞ。
折角の貴重な休み。
俺とつくしの2人の時間は特売ってチラシの文字に負けるんだぞ。
「節約術と言ってよね」
膨れた顔をつくしが俺に向ける。
「そんな必要ねえだろうが!」
「無駄をなくすことは必要でしょう」
「それなりの生活をしないから今回の様なカン違いを生むんだろうが」
「こんなこと初めてでしょう!頻繁にあるような言い方しないでくれる」
「俺に迷惑をかけるのは初めてじゃねえだろうがぁ」
「私のこと迷惑って思ってるんだ」
「思ってねェよ」
「ウソッ」
「思ってねえよ。お前に迷惑かけられるの嫌じゃねェし」
「仕事以外ならお前の事しか考えてないから」
言い合いで近付いた距離。
そのまま腕を背中に伸ばして抱き寄せる。
「それが一番迷惑です」
西田の声に慌てたようにつくしが俺の胸を両手で思い切り押した。
「私が心配する必要なかったみたいですね・・・」
阿賀野までつくしに負けないくらいに赤く頬を染めている。
「阿賀野さん、私の事よりあなたの相談事ですよね。ご主人とよく話し合った方がいいと・・・わっ!」
つくしの言葉を途中で切る様にガシッと両手を阿賀野に握られてしまってる。
「そうですよね。それがあるんでした!」
「どうしたらいいと思います!!!」
「弁護士より先に御主人と話し合うべきだと」
「一人じゃ無理です」
哀願気味の表情がつくしに迫る。
またなんか巻き込まれていく予感・・・
これ以上必要がないことに巻き込まれるな!
無理だよなぁ・・・。
拍手コメント返礼
b-moka様
誤解は解けましたが、ここからなんですよね。
誤解の事件はちょっとした横道というかおまけでした。(笑)
そうそう。阿賀野さんの旦那さんも気になるところですよね。
答えは西田さんでした♪
西田さんの投下を予想してくれた方はいたのか!
それが気になるところ♪
楓さんはことが大きくなりそうですもの(笑)
すべてのことに置いて『FIGHT』的なことが怒りそうな感じが・・・(^_^;)
なおピン様
こちらは今日は雨で肌寒いですよ。
6月としては確かに気温が低いかな。
類が飄々と誤解を解いたら司が拗ねそうな気が・・・(^_^;)
もうちょっとしたらご主人も登場させます♪