不機嫌なFACE 19

夫婦そろって無駄に誰かを惹きつける二人。

エネルギーの無駄使いですよ~。

心の中で叫びながら今日も無駄なお話な一つ♪

ずんずんと近づいてくる整い過ぎた顔立ち。

不機嫌に引きつる口元。

生まれつきの冷ややかさにブリザードまで背中に背負ってる。

「機嫌が悪くなってるのって私のせい?」

「嫉妬させるつもりが嫉妬してるんだからどうしようもありません」

西田さんは眉一つ動かさずつぶやく。

西田さんが司の不機嫌さで見せる表情はただ一つ。

しょうがないと言いたげな保護者の顔。

「嫉妬って・・・」

されるようなことって私は何かした?

私の周りには西田さんと司の部下の高野さん。

それも司の命令で私の傍にいるような二人。

嫉妬の対象にはならないと思う。

司の方こそべったりと共演のモデルに言い寄られていた。

嫉妬するなら私の方だぞ。

これなら素直に嫉妬した方が無難だったか。

「もう、いいの?」

目の前の司は遠目よりはっきりとした不機嫌さで現れた。

「隙を見せすぎッだろっ」

「何もしてないわよ」

「その無防備さが好まれるんだろうがぁ」

好まれるって・・なに?

「司が機嫌を損ねてる理由が見えないんだけど・・・」

「お前に言い寄ろうとした男を高野が途中で止めたんだよ」

不愉快だと言いたげに左に視線を投げた司。

その方向に目をやった私の先でくるりと背を向けた男性が逃げるように足早に姿を隠した。

「カン違いじゃないの?」

「あいつら、俺の好みとか言ってやらしい感じでお前を見てたんだよ」

鈍いやつだよなって見下した視線を向けられた。

そんなことわかるわけがない。

「子供を3人産んだなんて思われないよな」

それを言えば司だって結婚の匂いも生活感も感じさせないさわやかさがある。

無駄に魅力をまき散らしているのは自分の方じゃないかッ!

自慢じゃないが男性に言い寄られた経験はほとんど記憶がない。

私が付きあった男性は後にも先にも司一人。

司しか知らないだからッ。

結婚前も司が警戒丸出しの睨みで防衛線を張ってくれたおかげで大学時代は私と視線を合わせる男子学生はいなかった。

それは今の会社でも変わらない。

高野さんを見てれば鈍い私でもその影響はわかる。

入り口からザワつく声。

華やかなオーラ。

一般人とはやっぱり違うってファンの目で見てしまってる。

おっ!

1オクターブ上がりそうになった声を司のジロリとした視線が私の喉の奥に押し込んだ。

コンサートチケットももなかなか手に入らないんだから!

こんな近くで見れるのはすごい!

サイン!写真!

単純に感嘆出来る心境には程遠い。

でも気になる。

でも近づけない。

「お前、あいつら好きだったんだよな」

ここで『うん』と、うなずけるはずがない。

無言の圧力が半端なく司の背中から暗幕が立ち昇ってる。

「それほどでもないけど・・・」

「好きなの。カッコいいし、歌もうまいし、会いたかったって言ってたよな」

「イタっ」

この口が言ったって責めるみたいに司の親指と人差し指で頬をつままれた。

「だから、単なるファンってだけでしょう」

それも何気な好きって軽い気持でつぶやいただけ。

ファンクラブに入ってるとかCDを全部持ってるとか、追っかけてるような熱烈な応援をしてるわけじゃない。

メンバーの一人はちょっと司に似てるって思ってるから気に入ってるだけなのにッ。

「これも立派な浮気だからな」

「じゃ、自分はなんなのよ。共演の女性と楽しげだったじゃない」

「俺は仕事だ」

腕を組んだ司が私の鼻先に横柄な口元を近づける。

たくッ。

腹が立つほどの自分本位。

身勝手な言い分。

「浮気じゃないから」

歯ぎしりしそうな悔しさで声を出す。

絶対今日は負けないからねっ!

拍手コメント返礼

あさみ様

困ったもんだ。

一番思ってるのは西田さんだと・・・(^_^;)

西田さんのため息が聞こえてきそうです。

なおピン様

CM曲の方が気になったって(笑)

なおピン様らしいなぁ~。

頭の中で想像して楽しんでませんか?

私の頭の中ではしっかり遊んでますよ。

松潤と司の二人登場で贅沢な方向に♪

このままだとヘンな方向に流れそうです。