思い出は虹色に輝く14
このお話もそろそろ終わりが見えてきました。
あと数話のお付き合いをよろしくお願いします♪
*分りやすいやつ。
牧野には迫り過ぎてもダメだって習得した。
照れくささから逃げるように凶暴になる。
焦って真っ赤になった顔は頬を膨らませて俺から逃れようと必死でもがく。
逃がさないように強制的に抱きしめただけじゃダメだって気が付いた。
抱きしめたくて、離したくなくって自分の感情をコントロールできなくなることは確かにある。
それでも今は俺の方が牧野より余裕。
牧野を無視する俺をチラリと気にする視線。
愉悦な想いは俺を優位に立たせてくれる。
実際眺めてる雑誌の文字なんて頭には入っちゃいない。
「ねぇ」
しびれを切らした牧野の声。
強請ってるような音色に喜んでる心を押し殺す。
「なんだ」
何時もより低めに気のない声が出た。
「何か喋ってよ」
「何を?」
「昨日までなにしてたとか?」
「仕事に決まってるだろう」
「そうじゃなくて!!!」
気を抜いたらフッと緩みそうな頬の筋肉。
牧野に視線を向けたら一発であいつにばれそう。
仕事じゃ緊張だけの駆け引きも牧野とならすげ~楽しめる。
結果が俺の望むとおりになるかどうかはまだ分からないけど。
俺の傍に牧野がいる。
視線が、視覚が、嗅覚が牧野を感じられる歓び。
牧野と一緒にいられる時間を俺は結構楽しんでる。
「邪魔されたくないんだろ」
笑を押さえようとすればするほど不機嫌な声になる。
「話をするくらいなら邪魔にはならないでしょう」
本気でムッとしてるのは牧野の方。
「NYで何食べた?」
「結局食い物かよ」
閉じた雑誌をテーブルの上に投げた俺。
もう限界。
牧野を無視するふりはこれ以上無理。
立ち上がった瞬間に牧野は俺から慌てて目をそらす。
牧野が今の俺を見たらきっと俺の機嫌のよさが分かったはずだ。
「いったい、どうすればいいわけ」
牧野の座る椅子の後ろに回り込んだ俺。
そのまま背もたれごと牧野を抱きしめたい感情。
強引さを隠す様に伸ばした腕は牧野の両肩を追い越して肘掛けに掌を付いた。
「無視されるのは気分悪い」
膨れたままの声が漏れる。
「邪魔するなって言ったのはそっちだろう」
デスクの上に置かれた牧野の手のひらの上に指先を移動させて包み込む。
一瞬ピクリと動いた指先はそのまま素直におれの手のひらの中に収まった。
「我儘な奴だな」
「我儘って!道明寺には負けるわよ」
牧野を覗きこむ様に見下ろした俺の目の前に勢いよく首を後ろにそらした牧野。
コツンと触れあった額。
つながった肌の温もりはそのまま直に愛しさに変わる。
「お前をすぐに抱きたくなると困るから距離を取ってんだぞ」
隠しようもない本音。
すぐにでも抱きあいたい思いはそのままあふれてる。
「テッ」
椅子から逃げ出そうとした牧野の頭頂部が俺の顎を直撃。
衝撃は俺の頭上から痛みとともに欲情まで跳ね飛ばしてしまった。
「このっ!石頭!」
顎を手で抑え込んで恨みったらしい声が漏れる。
「ごめん!大丈夫?」
潤んだ瞳が心配そうに俺を見つめてる。
牧野の吐く息がわずかに口元に触れる。
「萎えた」
呟いたのは誤算。
このままの流れで牧野を押し倒すことに躊躇してしまてた。
「バカッ!」
予測できたはずの牧野の行動。
牧野に胸を押された拍子に床に転がってしまった。
「乱暴なやつ」
言葉が意味するほどの衝撃はない。
起き上がって牧野の前に立つ。
「道明寺がヘンなこというから・・・」
ぶつぶつと言いながら表情はシマッタって後悔しているのが丸見え。
「やっぱ無理だわ」
「おまえも集中できなさそうだしな」
俺の目の前で閉じかけたままの唇は俺の言葉に戸惑いを浮かべてる。
軽く触れたキス。
それに抵抗するようにキュッと牧野が唇を閉じた。
わずかばかりの抵抗もかわいく感じて俺を煽る。
そんなこと理解できない初心さは相変わらずだ。
「キャッ、なななに?」
腰を折って牧野の下肢に回した腕。
そのまま抱き上げて歩く。
「最初から素直に行動した方が俺らしい」
「えっ?」
「我慢は、俺らしくねェって事」
ベッドの上に牧野の身体を寝かせながらそのまま俺も倒れ込んだ。
拍手コメント返礼
joylove様
駆け引きは覚えても結局はいつもの司。
そうじゃなくっちゃ♪
って思っちゃいます。
b-moka様
観念しなきゃ♪
司をなぜか応援したくなります。
Gods&Death様
モストフェイバリット♪
うれしいですね。
『ないしょ~』も結構人気がありますからそれを追い越してって言ってもらえると私のテンションも上がります。
なおピン様
大分はたいへんそうですね。
水害は本当に後が大変ですから。
我儘な坊ちゃんもつくしに対してだけは大人っ♪
いつまでもつか(^_^;)