FIGHT!! 40

このお話始まりは駿君の入園式で、ソコからこんなとこまで来てしまってます。

駿君が見たい!

と思う今日この頃。

時々短編でUpしようかな。(^_^;)

*

「やっぱり、仕事関係じゃないか?」

椅子から立ち上がってにこやかに握手を交わして離れる男女。

そこに男女の仲を感じるような雰囲気は確かにない。

阿賀野さんのご主人と一緒にいた女性の正体を突き止めるべく私と甲斐さんは彼女を追って外にでる。

完全に弁護士の仕事を逸脱中。

「待ち合わせならホテルのロビーが常套だ」

甲斐さんの分析は未だに続いてる。

「甲斐さん、経験ありそうな口ぶりですね」

「つくしちゃん、御宅みたいに初めてが何もかもただ一人の相手なんて思ってないよな?」

一息、足を止めて甲斐さんが私の顔をまじまじと眺めてニンマリと笑った。

「なななんですか!」

そりゃ、初めて付きあったのが司で、キスも・・・初体験も・・・って、路上で思い出させないで下さい。

「それなりの経験が俺と玲子さんにはあるの」

「あるって、甲斐さん不倫してたんですか!?」

甲斐さんの目が笑っているから私もそれなりの反撃。

「つくしちゃん、声大きいよ」

「修羅場の経験は遠慮したいからね。弁護士をしてればいろんな離婚調停に携わるから」

「それじゃ玲子さんにも聞いてみます」

人を尾行してる緊張感は薄い。

尾行が初体験の私にとって甲斐さんは頼りになるパートナーであることは間違いない。

傍から見たらきっと仲の良い男女くらいには見られる雰囲気を甲斐さんが作ってくれている。

こんな初体験でも司は自分じゃないと拗ねるだろうか?

「あっ、あそこのビルに入ったぞ」

クスッとなりかけた頬を甲斐さんの声が引き締めた。

クリスタル アベニュー。

看板に書かれた文字。

一階のガラス張りの壁。

そこに貼られてる色とりどりに華やかなポスター。

ドレス、式場、ハネムーンまでなんて文字が躍る。

「ここって・・・?」

「ウエディングコンサルタントだって」

入り口のドアに張り付けられた文字から甲斐さんが私に視線を移す。

ガラスの向こう側で若いカップルの相談を受けてる彼女の姿が見えた。

彼女が浮気相手じゃないことは分かった。

だからと言ってこれをどう解釈する。

阿賀野さんの思ってる通りに御主人には結婚したい相手がいるのッ!!!

「普通は離婚をしてからの結婚式ですよね?」

「ああ」と考えこむ素振りの甲斐さんの返事は上の空。

「既婚を隠して別な女性と結婚をするつもりとか?」

「重婚じゃないですか!」

「そうじゃなくて結婚詐欺・・・」

阿賀野さんも騙されて子供まで産んでしまった。

ご主人は二重の生活?

海外の仕事が多くてあんまり日本にはいないって言ってなかったか?

私にも阿賀野さんの妄想癖が移った気がしてきた。

そう難しく考え込むな!

阿賀野さんも騙されてるなんてそれはない!

英徳に通えるのはお金持ちのご令嬢に御子息。

両親そろって夫婦円満!たとえ表面上でもそれが原則のはずだ。

「なんだか、難しいことになってきてません?」

「君はいつも事件を難しくしてる気が俺はしてきた」

甲斐さん!

付きあうんじゃなかった見たいな表情をいまさらしないでください!!

「ご結婚のご相談ですか?」

いつの間にかドアの向こうから出てきた女性が私たちにこやかな営業用スマイルで声をかける。

「えっ?まあ・・・」

うやむやな引きつった笑み。

「いや、違います。すいません!!!」

甲斐さんが慌てたように私の襟をつかんで引きずる勢いでその場から遠ざかる。

「甲斐さん、焦り過ぎです!」

「つくしちゃん、君は分かっていない」

真剣な甲斐さんの瞳。

「冗談でもつくしちゃんと二人で結婚をするカップルのふりをしてウエディングコンサルタントで相談をしていたなんて知られたらやばい」

誰に知られたら困る?

玲子さん?

玲子さんなら大笑い間違いなし。

「それでなくても代表は未だに俺がつくしちゃんと一緒だといい顔しないんだから、嫌みの一つ二つじゃすまない気がする。俺は破滅だ!!」

いや・・・

それはちょっと大げさだと思う。

甲斐さんも玲子さんと結婚してるんだし、寛大って言葉は司の辞書にはないかもしれないけど司の度量もそこまで狭くないと思う。

「アラスカに飛ばされる!!!」

アラスカにうちの法律事務所の支所はありません!

「いくらなんでも、そこまで嫉妬しませんてば」

頭を抱え込む甲斐さんを覗きこんだ。

「冗談半分、本気半分」

クスッと悪戯な視線が目の前に迫る。

「ずいぶん慣らされたから」

「甲斐さんッ!」

責め気味に発した私の声も笑ってしまってる。

「それよりここからどうするかだよね?」

甲斐さんが珍しく真面目な精悍な顔つきに変わった。

拍手コメント返礼

なおピン様

どうして?って疑問を持ってもらえたら私としてはヒュ~♪ですよ。

この結末はいかに!

つくしちゃんにも私たちの代わりに一杯想像してもらいましょう!

甲斐さんが一番ドキドキでしょうね。

司の嫉妬深さはつくしより身近なものがよりよく知ってるだろうしね。

司なら確かに宇宙まで飛ばしてしまうかも♪