Happiness 12

さていよいよ結婚式と思いきや、独身最後の夜をどう過ごす?

類君と二人のバカンスを総ちゃんが不満に思わないはずはなく~という前置きをちょこっと挿入させていた私。

どうなるの~。

昼間はにぎやかだったプールサイドも月の光を水面に揺らしながら静かな時を刻む。

太陽が沈みかけた海を背景に一番騒いでたのは司に牧野。

相変らずの二人。

水着に着替えてきたはずの牧野はそれをタオルで隠す様に俺たちの前に現れた。

「なんだその色気のないタオルは?」

先にプールに降りていた司は不満げに呟く。

牧野に色気を求めるって無理だろう。

「だって、なによこれ!」

「こんなの水着じゃなくて、布きれよッ」

噴火寸前の牧野。

「恥ずかしがるな」

以前なら司が絶対ほかの男には見せたがらなかったはずの牧野の露出した肌が、タオルの隙間からチラリとのぞく。

どうやら司が選んだ水着はビキニだったらしい。

プールの中に牧野を引きずり込んだ司。

傍には牧野の肌から離れたタオルが、ユラユラと揺れて、浮いている。

「似合ってる」

嬉しそうに、幸せに微笑んで、牧野を愛しげに見つめる司。

牧野より見てる俺の方が、恥ずかしくなりそうだった。

俺らのこと忘れてるんじゃないだろうな。

じゃれるんなら自分たちのヴィラでやれッ。

苦笑気味の俺も、司と牧野の幸せを喜んでる。

それは類も総二郎も一緒だと思う。

久しぶりにみんなで囲む夕食のテーブルもこの調子。

落ちついたところで牧野と葵の女性二人と男4人がテーブルを挟んで別れてグラスを傾けた。

葵の薬指には婚約指輪が輝く。

「葵さん、指輪見せて」

はしゃいだ牧野の声。

そのまま葵の左手を牧野が眺めてる。

「こんな豪華じゃなくていいって言ったんだけど」

照れくさそうに微笑む葵。

「最初10カラットのダイアを見せられた時は本当に焦った」

「わかる。無くしたらどうしようって思うもんね」

普通なら大きな宝石を女性は喜ぶものだと思ってた。

貪欲さが透けて見えるような相手なら、司も俺もこれほど魅せられることなんてなかったはずだ。

それなのに贅沢させたいって思う感情。

どんなに強請られても甘ったるく感じるただ一人の相手。

俺と一緒にいることがすごくわがままで贅沢って言い切る葵を愛せないはずがない。

「豪華すぎるのもついて行けないわよね」

「0.5カラットでも十分だって言ったら、俺が贈るんだぞって言われたの」

「一般男性の経済力からいったらそれでも大変だよね」

一般の言葉が一番似合わない相手を掴んだのは牧野!お前だろ。

生涯経済力を心配する必要がないはずだ。

「結婚した後、指輪のローンが残っていたって話も聞いたことある」

俺の贈った指輪を見ながらよくそんな話題で盛り上がれるものだ。

「こじんまりとしたものでいいって言ったらケンカになっちゃた」

「美作さんもケンカするの!?」

意外そうな表情を浮かべる牧野。

俺の着飾らない感情をそのまま出せる相手は葵だけ。

ケンカもするし愚痴るし拗ねる。

葵以外はそんな姿の俺は誰も想像できないって思う。

つーか、司の前じゃ絶対無理だ。

内緒で牧野の問いかけに答えるように葵が牧野の耳元に口を寄せる。

俺に視線を向けた牧野が「さすがだわ」って呟いた。

司と牧野みたいに派手な言い合いはしてない。

ただ、牧野と葵の価値観は似てるって理解してたはずの俺の誤算。

生涯で一度しか贈らない婚約指輪まで安物がいい言われて俺も引けなかっただけ。

ケンカの翌朝から葵のデスクにチョコレートの入った箱とバラを一輪置いた。

次の日はキャンデー、そしてその次はクッキー。

3日目で「ごめん、そして有難う」と葵が折れた。

葵の指に輝く婚約指輪は5カラットのダイヤと、その周りを彩るアメシストとホワイトオパール

2月生まれの俺と10月生まれの葵の誕生石。

「そんなに熱く見つめてると溶けるぞ」

総二郎がニンマリと俺の耳元に顔を寄せる。

「司だけじゃなくあきらまで骨抜きにされるとは思わなかった」

「俺とあきらを一緒にするな」

不機嫌な声を俺より先に司が上げる。

司に言われちゃおしまいだ。

「一緒に遊べるやつがとうとういなくなる」

わざとらしく目頭をぬぐう仕草を見せる総二郎。

高校時代から総二郎とつるんでいたのは確か。

「誤解されるようなこと言うなッ。俺はもう遊んでねぇだろう」

葵に聞かれてないかと焦った俺の目には牧野と楽しげに笑い合ってる姿が飛び込んできた。

「露骨にホッとしてるんじゃねェよ」

「それより独身最後の夜を楽しもう」

総二郎がニヤリと持っていたグラスを俺のグラスに当ててカチャと音を鳴らす。

「今日朝まで一緒にあきらに付きあうのは彼女じゃなくて総二郎になりそうだね」

類がそう言って乾杯する仕草を見せて軽く上げたグラスを口に運んだ。

それなら司も巻き込んでやるよ。

拍手コメント返礼

なおピン様

クリス~~~~~~(^_^;)

結果は!!!

今からアクセス解析をチエックしてきます♪

どうなってるかしら。

どこまで二人の邪魔をするのでしょうね。

ドS倶楽部の方々と動きが活発にならなきゃいいんですけど(笑)

ゆげ様

司がどんなビキニを選んだのか?

きっとつくしちゃんが選ばないようなやつ♪

気になるのがそこってゆげ様~~~~~。

軽く流したのに~(笑)

どんな夜になるのかなぁ。

ちょこっとしたお遊び的なお話を考えてま~す。