Happy life 13 (南の島の夏休み)

今回は久々に駿君サイドからのお話をお届けしたいと思います。

*

「テッ」

舞の足の裏が僕の頬に当たって痛さで目が覚めた。

こんな時の僕はいつもはかわいいはずの妹も憎らしく思ってしまう。

翼の足は運よく僕を外れて枕の上に落ちていた。

ここどこ?

白いシーツと見慣れない広い部屋。

ベットから降りてドアを開ける。

外から入り込んだ風は涼しくて海の匂いがした。

お母さんと一緒に、お父さんに会いに来たことを思い出す。

プールで泳いで僕の泳ぎを「うまい」って、お父さんが褒めてくれたんだ。

「喜ばないのか?」

「駿と舞は大丈夫だと思うけど、翼は雷の音にも震えて、ピーイピーイ泣くからね」

波のザザァーって音と一緒に聞こえるお父さんとお母さんの声。

「だらしねェな」

「子供ってヘンなもの怖がることあるのよね」

「風船の割れる音とか、駿なんて着ぐるみを見て泣くし、舞が一番度胸があるかもね」

バルコニーに並んでるお父さんとお母さんの背中が見えた。

お父さんもお母さんも楽しそうに笑ってる。

でも僕は笑えない。

もう着ぐるみを見ても泣かないからね!!!

たぶん・・・。

顔がでっかくて、目も大きくて、毛むくじゃらの手のひらが僕の頭に触れると、このまま押しつぶされそうな気がするんだもん。

あんなのがかわいいって思える舞がすごいって思う。

着ぐるみと仲良くなれなくったって僕は困らない。

「大人になっても子犬を見て震えてる人の遺伝じゃない?」

「あ~あ、子供たちは犬が飼いたいとか言ってるんだけど」

「誕生日のプレゼントにせがまれたらどうする?」

「パパが怖いからダメって教えてあげようかな」

お母さん、僕知ってるよ。

お父さんの苦手なもの。

動物は見るのも嫌で、小さなリスもウサギも触れないってこと。

それにお母さんに弱いってことも知っている。

今もお母さんの方がお父さんより勝っているって僕には見えてるもん。

「るせっ」

「バラしたら、それに代わるものをお前からもらわなきゃ、気持ちが収まらなくなる」

「キャッー」

お父さんがお母さんにキスをした。

仲がいいのは分かってるけど僕に見られたって気が付いてなよな?

お父さんとキスしてるのを僕らに見つかるとすぐにお母さんは僕等にキスをしたがるから気が付かなかったふりをしている。

お父さんとお母さんにキスされて喜ぶのはもう舞と翼だけだから。

「子供達そろそろ起きるわよ」

バルコニーから戻ってきたお母さんが僕を見つける。

「駿、目が覚めたんだ」

「うん」

「舞と翼は?」

「まだ寝てる」

舞は今度は翼を蹴って起こしてるかもしれないけど。

「今日は花火をお父さんが準備してくれるみたいよ」

お母さんは楽しそうにクスクスと笑ってる。

そのお母さんを見てお父さんは嬉しそうに笑うんだ。

「やった」

飛び上がった僕はそのままお父さんに抱き上げられた。

そのままお父さんの肩に乗っかる僕。

舞や翼がいないときに限る特等席。

「今日は楽しくなるぞ」

僕を肩車したままお父さんはくるくると回る。

僕よりお父さんが楽しいみたいに思えた。

「パン!ドン!」

「ひゅるひゅる~~~~~」

海の上の空で赤やオレンジ、黄色に青の色が広がる。

「ぎゃー」

翼が目をしかめて両手で耳を抑えて座り込んだ。

花火って・・・。

打ち上げ花火だったんだ・・・。

打ち上げ花火も好きだけど、手で持つ花火の方が楽しんだよね。

「きれいだな」

そうつぶやくお父さんは花火よりお母さんをずっとうれしそうな顔で見てる気がした。

拍手コメント返礼

らん**様

お久しぶりです♪

私も今年の夏は何もなくて~

道明寺一家の夏休みが羨ましい。

ほぼ願望。

オープンキャンパスも楽しそうですよね。

今から青春を謳歌するであろう子供たちが羨ましくなりますよね。

熱中症に気を付けてこの夏を乗り切りたいですね。

なおピン様

駿も気が付く司の愛情ただ漏れ。

見たいっ!

思ってしまうんですよね。

きっと触れたら感電するかもです。(笑)