秘書西田の坊ちゃん観察日記 43(不機嫌なFACE 番外編)

久々の坊ちゃん観察日記。

間が空くと西田さん日記を待ってますのリクが♪

どれだけ我が家の西田さんには隠れファンがいるのでしょう。

お待たせいたしました。

『不機嫌なFACE 24』の番外編となります。

それでは続きからお楽しみください。

*

「代表・・・」

言いたいことは分かってるとウザそうに見られた。

そんなことで萎縮する私ではありませんけどね。

「暇だよな、毎日飽きもあせず連絡を入れてくるなんて」

お前の処理能力も落ちたもんだと皮肉を言われた。

「約束をしたのは代表です!」

「俺は約束をした覚えはない」

この一回のやり取りで私はあきらめた。

「ない」と、代表が言い出したらないことになるのはいまに始まったことじゃない。

黒も白と言い続けられる権力+性格。

これは性格が災いしてる事の方が多いと今は思っている。

人気モデルとの食事の約束。

「デートのOKをしてもらったんです」

本人からの再三のお連絡はいつの間にか芸能事務所を通しての連絡に変わった。

一度代表と食事をしたら相手もあきらめます。

つくし様がそばにいない代表は不機嫌そのもの。

仕事なら我慢できますが、代表と二人きりの食事は私も避けたい。

世間の男性なら有頂天に下心付きで食事をOKしそうな美女。

代表の興味を引く基準は、つくし様ですから相手もしない。

「お前は俺につくしを裏切れというのか」

「食事だけなら裏切ることにはならないと思います」

不愉快かもしれませんが、仕事なら仕方ないと割り切ってもらえるはずです。

つくし様は代表と違って我慢という言葉を知ってらっしゃいます。

「俺はつくしが悲しむことはしたくない」

「仕事じゃなくプライベートで誘ってくるんだぞ」

デスクの上に置かれていた届いたばかりの写真集。

それを開きもせずに代表はごみ箱の中に投げ入れた。

「付きあえば、その攻撃も終わりますよ」

「西田、二人っきりじゃごめんだ、お前も付きあえ」

「私がですか?」

代表の考えは私が傍で控えて居れば仕事の延長。

「何でも妥協が大事だよな」

ぼっちゃん・・・

あなたから妥協という言葉を聞くことができるとは・・・

おそばにいた甲斐がありました。

と・・・

素直にその言葉を鵜呑みにして感激するほど私は馬鹿じゃありません。

その裏に隠れた真実。

食事の席で私を残して姿をくらます工作が容易に想像できる自分が悲しい。

「わかりました」

坊ちゃんの尻拭いは昔から慣れてます。

最近は減っていたのに・・・

いまだに私は代表に甘い。

数日後の静かな離れの個室。

食事を運ぶウェーター以外の入室を禁止された空間。

代表と向かい合う美女。

その間の席に座らせてしまった。

3人の線をつなげば正三角形が出来上がる。

なんでいるの?

一瞬私に見せた彼女の表情はすぐに笑顔に変わる。

計算された態度。

代表の方は冷ややかな表情。

ピクリとも動かない口元。

温かみのない表情も世間ではクールでカッコいいと評価になる。

見とれてうれしげに笑みを浮かべるモデル。

もう、そばにいる私も眼中にないらしかった。

一方的に話しかけるモデル。

「ああ」、とか「いや」とか返事をするのはまだまし。

時折フッと浮かべる笑は失笑。

モデルは気に入られたいと必死に艶を作る。

無駄な努力と思いながら私を食事を進める。

「これで約束は果たしたからな」

デザートを半分残した代表はこれで十分だという態度で席を立つ。

「西田、後は任せた」

やっぱり私を残していくのですね。

彼女は信じられないと驚きの表情を浮かべて代表から私に視線を移す。

今まで男性にちやほやされてもこれだけ冷たくあしらわれた経験はないであろう人気モデル。

唖然としたままの彼女と予測していた私を残して代表は姿を消した。

パタンと冷たく音をたてて閉まるドア。

「あの・・・」

「なんですか?」

「私の興味を引くために冷たい態度を取ってるんですよね?」

こと、恋愛に関しては駆け引きをしてる代表は想像できません。

いつも率直で自分の感情を相手に伝える・・・。

いや、あれは押し付けると言った方が的確だ。

彼女を傷をつけずに代表との縁がないことをわからせるのが私の仕事。

「代表の好みのタイプは、色っぽい美人より無邪気なかわいいタイプが好みと言うことです」

「奥様みたいな?」

「そうなりますね」

「変わってるのね」

そう不満げに答えたのは彼女の残された自尊心だろう。

「撮影の時は愛されてるように思えたんだけど」

それは明らかに錯覚です。

代表はあなたじゃなくて、つくし様を相手にしてるつもりだったからです。

「代表に演技の素質があることを私も初めて知りました」

本当のことを言えるはずがなく障りのない言葉を彼女に返す。

「はぁ」

頬杖をついたままの彼女は諦めたようにため息をついた。

拍手コメント返礼

M**様

司が動くのはつくしがらみ♪

そこはしっかり押さえてる西田さん。

司がかなう日が来るのでしょうか?

なおピン様

この二人・・・。

漫才をやらせたら静かな突っ込みと激しいボケでいいコンビが誕生するかもしれませんね(笑)

見たいかも~♪

kayoko様

SP物語ももしかして隠れファンですか?

スッカリ更新がとどこってしまってます。

申し訳ないです(^_^;)