大学の中心で卒業できないを叫ぶ 10

ここからお話は次の段階へ!

From one's heart 』をご記憶の方はいらっしゃるでしょうか?

今回はそのお話と相対する内容となります。

*

「はぁ~」

自分では気が付かないままに漏れるため息がガラスのテーブルを白く染める。

「牧野、大丈夫?」

「あっ・・・花沢類・・・」

当たり前の様に私の真向かいに腰を下ろしてにっこりとほほ笑みを浮かべる。

「俺が牧野に気が付いて声をかける間にため息3回」

「そんなに?」

見透かされそうな心の内を誤魔化す様に笑顔を作る。

こんな作り笑いをしても花沢類が誤魔化されるわけはないのに。

「心ここにあらずって感じだね。司のことでも考えてた?」

「それは全然ない!」

力いっぱい否定した私に、司が気の毒だって花沢類はクスッと笑みを漏らす。

道明寺と一緒に夜を過ごして、そのまま日本を飛び出て行ったあいつ。

3週間も会っていない。

携帯のやり取りだけじゃ埋められない寂しさ。

やさしいキスと私を温かく包み込む胸の中を知ってからその思いは強くなる。

会いたいって言えずに頑張ってとつなぐ声。

少し間をおいて「おまえもな」って耳元に流れる低く穏やかな落ちついた声。

声を聞けば会いたい思いが増すって思ってるのは私だけなのだろうかと無性にさびしくなる。

この1週間は私たちをつないでるはずの携帯も一音も鳴らないただの箱と化している。

溜息の一つも付きたくなる。

「はぁ・・・」

「ほらまた」

吸い込まれそうな花沢類の瞳。

いまだにこの瞳には弱い。

こんな私を見て道明寺がふて腐れるのもわかっているがほとんど条件反射。

今は頬を染めてる場合じゃなっいつーの。

この溜息が別のものに変わったのは3日前からだ。

滅多に狂わない生理が遅れていた。

あの時確か道明寺しっかりと対策は取っていてくれたはずで・・・。

でも100%ってわけじゃないし・・・。

ここで花沢類に相談したら速攻道明寺が帰国しそうだ。

そして間をおかず有無を言わせずに結婚式を強行。

あいつのはしゃいだ顔が目に浮かぶ。

だったら、もし妊娠していてもなんの問題もないはずで・・・

悩む必要もないはずだ。

今すぐ結婚で悩む私は外野から見れば呆れられるに違いない。

妊娠!出産!結婚!

この過程で私の未来の予定は最低1年は変わってくる。

大学休学、弁護士の夢は遠くなる。

大学在学で司法試験に合格。

その実績は道明寺ホールディングス代表の道明寺に一歩近づけたという私には自信となるはずだった。

予定外の妊娠が私に与える影響は甚大。

妊娠を盾に道明寺様に結婚を迫ったなんて陰口が大学中を駆け巡るのは容易に想像できる。

婚約してるんだから!

これはほとんどいまだに冗談だと思われてるから、道明寺の睨みがなきゃ何の足しにもならない。

「何か、悩んでる?」

「えっ?」

「牧野の悩みってほとんど司がらみだよね」

穏やかに見つめる瞳は素直に私の心を開きかける。

うっ・・・

ダメ。

これに飲み込まれたら・・・。

頭の中の靄がガシッと晴れてその中に不機嫌を通り越して爆発寸前の顔が現れた。

「俺より先になんで類が妊娠のこと知ってるんだ!!!」

絶対責められる。

それにまだ妊娠と決まったわけじゃないからッ。

「しばらくなんの連絡もしてこないいんだもの」

「それで悩んでたの?」

違うでしょって感情が読み取れる瞳が私を見つめてる。

「司は帰ってきてるはずだよ」

「えっ!!」

それはうれしい言葉のはずなのに、今の私には強い衝撃。

心の準備がまだできてない。

花沢類の言葉が途切れたすぐ後で椅子から立ち上がってあたりをキョロキョロ見渡す。

こういう時に限って都合よすぎるくらいに道明寺は現れるんだから!

今のところは大丈夫そう・・・。

ホッと息をついたその横で花沢類がクッと笑っていた。

拍手コメント返礼

なおピン様

続き気になります?

本当に妊娠してるのか、してないのか?

駿君早く生まれちゃうのかな~

子供を抱っこして大学生活というのも新鮮な展開ですが・・・(^_^;)

司と一緒でつくしも勘違いってこともありますしね。

なんだか楽しみが増えませんか?

それとも妄想が暴走?

どんどん暴走ネタを提供していただけると助かります。(笑)