Happy life 14 (南の島の夏休み)
のんびりとした夏休みを1日でいいから過ごしてみたいと思う今日この頃。
ちょっと出来た時間なのに、今日も私はpcの前でキーをたたいています。
汗だく~~~~~。
*海に上がる花火は最期の大きな花を咲かせて静かになっていた。
耳を塞いで司の脚に張り付いていた翼は未だにこわばった不安げな表情をしている。
「実は、こんなのもあるぞ」
どこから取り出したのか司の手には花火セットを握ぎって翼の頭の上でユラユラと揺らして見せた。
スイカのイラストにタコの絵ってどんな組み合わせだ。
夏らしい季節感があるといえばあるのだろうか。
花火セットを取ろうとピョンピョン飛び上がる翼に、取られないように腕を上にヒョイと上げて阻止する司。
「あっ!」
不満げな声を上げる翼に司はニンマリとなってる。
子供相手に遊んで楽しげな雰囲気。
どっちが子供なんだか・・・。
何時もの司からは信じられない無邪気さを見せる。
普段の司を知ってる人が見たらどう思うのだろう。
その意外性に自分で自分の頬をつねっても信じられないって表情を見せると私は思う。
西田さんやタマ先輩に屋敷の使用人達なら今はもう慣れてると思うけど。
子供達をやさしげに見下ろす瞳は愛しさに溢れてる。
家族だけに見せる司のこんな一面を見られる私もしあわせだって思う。
「舞も~」
舞には取りやすいように司の方から花火セットを舞の腕の合間に挟みやすいように入れている。
翼と舞の扱いの差はここでも歴然。
男親ってどうしてこうも娘には甘いのか。
私のパパもわたしには甘かった気がする。
舞みたいにうまく甘えていた気はしないけどね。
何か強請るときはいつも司。
私の小さい頃って我慢の文字しか知らなかったんだから!
この経験からどうも私は人に甘えることが下手なんだと思う。
べったりと司に甘える舞を見てるとうらやましいって思うことがある。
「パパ~」
「司~」
舞の音程に合わせるように頭の中で想像してみた。
無理・・・。
「お兄ちゃん開けて」
自分でセットのビニールを開けられるはずなのにちゃっかりここでも駿に甘えることを忘れてない。
舞に頼られたまんざらでもない表情で駿はビニール袋から手持ち花火を取り出してテーブルの上に並べてる。
円柱の花火もいくつか並んでるんだけど・・・。
手持ち、吹出し、打ち上げまである。
「舞これがいい」
舞が手に取ったのはタコのキャラの頭の先から赤く花火が飛び出してる手持ち花火。
「ボク、こっち」
翼が手に持ったのは一番大きな円柱の打ち上げ花火。
「翼、これは手に持てないのッ!」
「ヤダ」
「この花火はさっきお空に上がった花火の赤ちゃんだよ」
翼が嫌がる様に投げた円柱はそのままプールの中に落ちた。
ローソクに火をつけて、5人でそれぞれの花火に火をつける。
足元をパチパチと照らす花火。
「キャッ、キャッ」と上がる子供達のはしゃいだ声。
「傍で見る小さな花火もいいもんだな」
目を細めて子供たちを見つめる瞳はこれ以上にない甘い顔をしている。
「浴衣を着てると夏らしくていいかもね」
「まだ夏は終わってねェだろう」
ゆっくりと近づいてきた唇は軽く私の頬にチュッと音をたててすぐに離れてた。
にっこりとほほ笑んだ司がやさしく私を見つめてる。
その瞳の中に吸い込まれてしまいそうになる。
「駿、舞、翼」
その思いから逃げ出す様に子供達の名前を呼んでいた。
「照れるな」
クスッとした司の声が背中越しに聞こえてきた。
手持ち花火をくるくる回して円を描く様に流れる花火。
「舞、気を付けてよ」
「大丈夫」
3人がそれぞれに距離を取って真似するように花火で円を描く。
「シュルシュル、パン!!」
子供達の足元で小さな破裂音がひびく。
3つの小さい体はピクッとなって回してた腕もピタッと止まった。
「悪い」
「こんなのがあんな音を出すとは思ってなかったから」
「あのチッコイのって動くんだな」
輪ゴムの大きさのねずみ花火に火をつけた司は感心したようにつぶやいてケラケラと笑ってる。
「わ~ん」
泣きだしたのは舞。
「怖い」
「ワー――ッ舞!」
後ろに下がった舞はそのままプールに落っこちる。
すぐさまプールに飛び込もうと動いた私の横を通り抜けた影はそのまま大きな水しぶきを上げた。
その後を追う様に体勢を止められなかった私もプールに落ちた。
プールの表面に顔を上げた私の傍で舞を抱き上げ司が「大丈夫か」と私に寄り添う。
舞はヒクヒクと喉を鳴らしながら私に抱き着いてきた。
「もう大丈夫だから」
プールから出て、ずぶぬれの状態に司と顔を見合わせる。
「予想外だな」
どちらからともなくクスと声が漏れた。
舞はこの事件以来手持ち花火を怖がるようになった。
打ち上げ花火は大丈夫なのに、不思議なものだ。
拍手コメント返礼
なおピン様
御疲れ様です♪
関西でそれなら宮崎は・・・
今日はTOREですね。
これは見れます(笑)
こどもってどこがトラウマになるかわからないところありますから~~。
>こういう現実味ある状況とかがさり気なく含まれてるから・・・・
読み込んでいってるとね、二次の世界っていうのを忘れてしまうんですよ。
これって、違和感あるお話の内容だったらきっとこうはならないですよね。
現実にこのファミリーが私の頭の中を駆け回っていますよ(笑)