If 2

毎度のことなんですが新しい連載を始めると終わってないお話のピッチが遅くなるんです。

新連載を始める時は数話の話の構想が出来上がって書き始めるので早く吐き出したくなるのが理由なんですけど。

ドッカンに大中はまだ先が長いのに、ほかのお話の最終話が見えてくると新しいお話を考えてしまう私。

以前はしっかり終わらせて新連載という順序だったんですけどね。

読んでる方も話がとびとびで大変だろうなと思いつつお付き合いしてくださることに感謝申し上げます。

*

会議室からエレベータに乗り込むまでの社内の移動時間。

その時間も活用しない手はないという様に西田から目の前に差し出された書類に俺はペンを走らせる。

何時も当たり前みたいに繰り返される作業。

「代表、今日の予定はこれで終わりです」

「やっとお前の顔を見ずに済むわけだ」

俺の戯言が聞こえたのか聞こえてないのか西田は相変わらずの無反応ぶり。

「久しぶりにつくし様に会えますね」

「あいつはバイトだろ」

牧野に帰ると連絡を入れてなければ、あいつは働いてるに決まってる。

バイトなんてする必要はないだろうと俺がいっても聞きもしない頑固さ。

大学の授業料だけでも本当はやなんだからとか。

生活の面倒まで見てもらうのはおかしいとか。

普通の女なら当たり前って喜ぶことに膨れツラを見せる媚びないやつ。

「それじゃ、お前が喜ぶことってなに?」

この前の別れの時にそう聞いた俺。

「道明寺と一緒にいれればいい」

照れくさそうに見上げた潤んだ瞳。

「なに、ニヤついてるんですか?」

「ニヤついてねェよ」

時折西田が見せる柔らかい表情。

俺が牧野のことを考えてる時にだけ西田の表情が動く。

これが意外と照れくさいんだ。

「ねぇ、今日の新人歓迎会またここなの?」

「ごめん、ここ気に入ってんだよ」

「ばーか、気に入ってるのはここの女の子だろ」

「こいつ、ひとめぼれして週に3回は通ってるんだから付きあってやってよ」

廊下の角を曲がりかけたところで聞こえてきた声。

その声に吹かれて飛んで来たようにひらりと1枚の紙が足元に落ちた。

普段ならそのまま無視して通り過ぎるような出来事。

目に飛び込んできた文字に思わず俺らしくもなくその紙を拾い上げた。

総務部 新人歓迎会。

場所  居酒屋 ドッカン

この店って、牧野がバイトしてる店じゃねェの?

バイト先には絶対顔だすなって牧野に釘を刺されてる俺。

それを素直に守ってるわけじゃなく最近忙しくてそんな暇がないだけのことだ。

確認するようにちらりと西田に移した視線。

紙には興味がない素振りを見せても西田のことだ、しっかりと内容は読みとってるはずだ。

「部署の歓迎会にさ、代表が来てくれたら盛り上がるだろうね」

「キャー夢みたいなこと言わないでよね」

「そしたら代表の隣に座る席の争奪戦からすごいだろうね」

「げーーーッ、俺は緊張でビールも飲めなくなりそうだ」

このまま俺は曲がって顔を出してもいいものなのだろうか?

姿を現した瞬間に気軽な会話が沈黙に変わることは目に見えてる。

「代表・・・」

動きを止めたままの俺を気遣うようなそぶりを西田が見せる。

「俺はどっちでもいい。つくしちゃんに会えるだけで幸せなんだ」

つくし・・・

つくしって聞こえたぞ。

西田に確認するように真面目な顔を二度見してしまった。

西田の足が一歩後ろに引くのが見えた。

逃げんなよな。

良くある名前っだって思えねェから一瞬で聴覚の能力が犬並みに跳ね上がる。

ここから一言も聞き逃さないって緊張感。

「誰?そのつくしちゃんって?」

「こいつが気に入ってるその店の子」

「俺がさ、つくしちゃんを一つって注文すると「つくねですね」て、にっこり笑って返してくれるんだよな」

「バカだろこいつ」

聞こえる笑い声もムカついて来た。

つくしちゃん一つってどういう了見だ。

「西田、お前牧野のバイト把握してるよな」

俺が何を聞きたいのかわかってるって表情を浮かべる西田。

「仕事はもう終わりだったよな?」

「何をするつもりですか?」

「つくし様のバイトを邪魔しようなんて思ったら事がややこしくなるだけですよ」

落ち着きはらった西田の声。

SPは緊張感を漂わせて俺を見つめてる。

西田の合図で俺を拘束する目配せなんてする必要はねぇぞ。

感情のままに行動する無謀さは学生時代に置いてきた。

バイト先に乗り込んで牧野を連れ戻しても抵抗されるのはいつものことで、ケンカのまま会えなくなるパターンも良くあることだ。

久しぶりの再会を不機嫌な顔で睨んでも面白くないだけだろう。

「西田、社員が何を考えてるか親しく付き合うのも必要だとか説教してくれたよな」

まあ見てろと西田を振りかってフッと浮かぶ笑み。

コツコツとわざとらしく床を鳴らして突き当りを右に曲がる。

「落ちてたよ」

にっこりと女性社員の前に差し出した紙。

「えっ?」

「うそ」

笑っていた頬がほんのりと赤く染まるのが見えた。

「すいません」

深々と膝に頭がつく様なお辞儀姿が一瞬でならんだ。

「立ち聞きするつもりはなかったんだが、さっき俺が来てくれたらうれしいとか聞こえたんだけど?」

「すいません、無理だって分かってるんですが、希望!願望!夢!です」

テンションマックスで目の前で飛びあがる女子社員。

こんな機会は二度とないって逃がすかって迫力がある女子パワー

どうせなら仕事に活かせ!

「西田、今日はもう予定はなかったよな?」

坊ちゃんの考えが分りましたってため息交じりの口元がハイと返事をした。

「それじゃ、参加するよ」

「キャー、やった、号外回さなきゃ」

「だめ!これ以上参加人数増やしちゃ、総務部の奇跡!って後で皆に自慢するの」

「誰も信じないわよ!」

「すごいぞ今日の新人歓迎会」

盛り上がりを見せるのは女性だけかと思ったら男性社員もハイタッチを見せてる。

・・・で、牧野にちょっかいだそうとしてんのはどいつだッ!

つくしちゃんの不安な気持ちとは違うこちらの司はいつもの司。

この感情の行き違いから引きおこすトラブルって・・・(^_^;)

どうでしょうか?

ワクワクしてるのは私だけだったらどうしましょう。

ついてきてもらえると張り切ります。

よろしくお願いします♪

楽しみですの応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

ちゃむ様

司の反応につくしの反応気になりますよね。

想像する面白さをうまく文章にできるといいのですが・・・(^_^;)

kawachi1gou様

嵐の前の静けさですよねぇ~

ここから発展!!

させたくないでしょうけど、ご希望が多くて(笑)

つくしちゃんごめんと心の中で何時も謝っています。