大学の中心で卒業できないを叫ぶ 14

設定では if と大差ない年齢の設定になるんですが対照的なお話になると思ってます。

どちらが司君は喜ぶのだろう・・・(^_^;)

*

「ウソッ! 一緒に暮らしてるの!」

ストローから勢い良く吐き出した優紀の息は、そのままジュースを波立たせてテーブルを濡らした。

「シィーーー」

口もとに人差し指を当てて周りを気にしながら呟く。

平凡な私と優紀に視線を向ける人なんているわけない。

半端なくそこにいるだけで人目を惹きつける道明寺と付きあって身に付いた悲しい習性。

「てっことは言ったの?」

「まだ言ってないわよ。確かめてもいないし・・・」

生理が遅れていることはまだ優紀しか言ってない。

遅れてまだ5日目。

このくらいでも妊娠検査薬で調べられるのだろうか・・・

直接産婦人科は敷居が高すぎる。

「即結婚式だよね」

優紀だけじゃなくきっと花沢類も西門さんも美作さんも同じ反応を見せると思う。

「いまどきできちゃった婚は珍しくないし、道明寺さんなら絶対喜ぶだろうし悩む必要ないと思うけど」

「まだ、決まってないから」

動揺を隠す様にジュースのストローからジュースを吸い込んだ。

「ハイ」

優紀が私の目の前に小さい紙袋を置く。

「なに、これ?」

紙袋の中には長方形の小さな箱。

「妊娠検査薬」

現物を見たのは初めて、ゴクンと唾を飲み込んだ。

宝くじの当選番号を確かめるような緊張感。

この箱を開けて妊娠検査薬を使う時は当選が分ってるのを再度確かめるような気分になりそうだ。

「一週間、待って始まらなかったら確認する」

「その前につわりが始まったら確実だよね?」

「つわりってそんなに早く始まるの?」

「私に経験あるわけない」

優紀とこんな話をするとは思ってなかった。

西門さんを見た。目があった。会った。喋った。

いまだに西門さんに夢中な優紀とのたわいない会話は完全に息をひそめてる。

「ねっ、一緒に住んでるってことはすぐにばれるんじゃないの?」

「気が付かないと思うけどな」

「道明寺さんてさ、つくしの変化には異常に敏感だと思うけど」

「そうかな?」

「つくしが気が付かないだけじゃないの」

もしかして・・・

今朝の慣れない食事の準備とか優しかったことと関係ある?

わざわざ遠回りになるのに大学に私を送ってそのまま仕事に行った道明寺。

確かに何時もの横柄さがなかった気がしてきた。

そんな回りくどいことをするタイプじゃない。

妊娠に気がついたらストレートで「妊娠したのか?」って聞いてきそうだもん。

それにあいつは昨日私と一緒に寝るつもりだったみたいだし。

妊娠してるって疑ってたらそれはないよね。

「昨日私を押し倒してきそうだったからそれは大丈夫だと思う」

何気ない私の一言に優紀が驚く表情を浮かべる。

「道明寺さんを拒んだの?」

「うん」

「一緒に住んだ一日目で?」

「うん」

「会ったの3週間ぶりって言ってなかった?」

「うん」

問い詰めるように私がウンと答えるたびに優希がテーブルの上に身を乗り出して詰め寄ってくる。

「かわいそう」

そのかわいそうは私じゃないよね・・・

優紀の同情的な表情は道明寺に向けられたものだって分る。

「ほら、妊娠してたらやばいでしょう」

こんな必死の言い訳を道明寺じゃなくて優紀にしてるなんてなんだかおかしくないか?

「でもこれから一緒に住むんだよね?」

「うん」

「これからも道明寺さんお預けのままなの?」

「無理かな・・・」

「出来ると思う?」

「無理だよね・・・」

「素直に妊娠してるかもって言った方が楽だと思うけど」

目の前30cmで瞬きせずに優紀と見つめあったまま動けなくなった。

道明寺が帰って来る前に検査薬使ってみよう。

覚悟するのはそれからだとグッと身体に力を入れた。

このお話は大した騒ぎはなく簡単に終わる予定です。

妊娠で騒動してるのはつくしだけって気がするんです。

類だけが何とも言えない気分になるのかしら?

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

captain様

一気読みありがとうございます。

たいへんな労力を消費いただいて感謝の言葉もございません。

本当にうれしいです。

実生活のときめき・・・

随分記憶にないです(^_^;)

ジュンコ様

折角なので妊娠してたバージョンのお話に!

キャーーー

ずいぶん違うお話がいっぱい出来上がりそうです。

しずか様

お久しぶりのコメントうれしいです♪

お元気でしたか?

忙しい夏休みも終わってほっとしてるところです。

つくしが妊娠していたら?

司君の反応。

先走らないかとそれだけが心配で(^_^;)