大学の中心で卒業できないを叫ぶ 15 (完)

つくしちゃんどうなるんでしょう?

どうするのかな?

司は一気に結婚に持って行こうとするだろうけど(^_^;)

ここで椿お姉さまとか登場したら話が終らなくなりそうです。

このお話は今日で終わりです

御付き合いありがとうございました。

*

『わずか1分で判定するラクラク妊娠検査薬チェック。

99%以上の正確さ。

しかも判定結果がのこり、パートナーにそのまま結果を見せることができます』

妊娠検査薬の小箱をしっかりと両手で握りパッケージの外側に書かれた文字を読む。

黙読してるつもりが小さく聞こえる自分の声。

読み進めるうちに早口になってしまってる。

結果って道明寺にも見せるものなの?

「妊娠した」

妊娠した事実を付き付けるには十分すぎる。

「誰の?」

とは道明寺は言わないだろうし・・・。

言ったら・・・

殴る。

まだ結果は出てないって。

赤い線が浮き出たら妊娠なんだ。

箱から出した白いスティック。

これで人生が決まると思うとゴクンと喉が鳴る。

便器に座って覚悟を決めた。

「ここにいたのか」

淡いクリーム色の壁を背景にばっちりと決まったスーツ姿の道明寺がにっこりほほ笑んだ。

あっ・・・。

「ドアが開いてるぞ」

便器に座って下着を下げたまま右手には使ったばかりの妊娠検査薬のステックを握りしめたまま私の思考と動きが止まった。

声が出ないまま酸欠状態で口をパクパク動かしてるが呼吸音しか漏れてこなかった。

人間驚くと悲鳴も上がられないというのは本当らしい。

普通気づいたらさりげなくそっとドアを閉める。

そんな配慮ないのかッ!

「心配するな、おまえのなんて見慣れてるしいまさら恥ずかしがらなくても大丈夫だ」

左手でつかんだトイレットペーパーを道明寺の顔をめがけて投げる。

「あぶねェ」

道明寺には少しもかすりもせずに壁に当たってトイレットペーパーは床に転がった。

手当たり次第に投げたものはどんどん数を増やしていく。

「これなんだ?」

道明寺が顔の間で受け止めた白いスティック。

えっ?

ない?

右手にしっかり握っていたはずの妊娠検査薬がない。

まだ検査結果も確かめてない。

ほかの奴は全部避けて床に転がってるのでなんで検査薬だけキャッチしてるのよッ!

私より先にスティックを前後左右に持ち方を変えながら道明寺が眺めてる。

何かを見つけたように道明寺が床に膝をつく様に身体を屈めた。

わぁぁぁぁぁ

私の足元に転がる小箱をしなやかな指先が拾い上げる。

「妊娠・・・検査薬・・・」

箱とスティックを交互に見た顔は驚いたように私を見つめてる。

「牧野!」

あ?

へ?

満面の笑みで頬をほころばせた道明寺が私を押し倒す勢いで抱き着いてきた。

幸い便器のふたのおかげで後ろに倒れることは免れてる。

「早く言えよ」

言えって言われてもまだ言える段階じゃなかったし。

「すげ~、子供か」

道明寺のこんなうれしげな声を聞いたのは久しぶりだ。

ギュッと私を抱きしめた道明寺がズバッと立ち上がった。

「早くしないとな」

早くって・・・。

トイレから飛び出した道明寺が携帯をかけてるのが見える。

「西田」

聞こえた声。

「ちょっと待って」

「なんだよ」

「なにする気?」

「結婚を早める必要あるだろ」

はしゃぐ声に動揺する私。

「待った!」

「邪魔すんな」

「こんな時お前が動揺するのは分るけど、なんの心配もお前はしなくていいから、俺まかせろ」

まかせたらどこまで付き進むかわからない。

まずは二人でよく話し合ってそれから親に相談してって手順があるはず。

どっちみち妊娠してたら産む覚悟はできている。

私の親は大喜びで万歳だろしな。

それでも1日くらいの執行猶予はあっても問題はないはずだ。

すぐにお腹が膨れて妊娠だとすぐに分るわけはないのだから。

それより私はまだ結果みてないつーの。

まずは自分の目で確かめるのが先だ。

「冷静になるのは道明寺ッ!」

「あぁッ」

なんで俺がと澄ました表情が私を見下ろした。

「みみみ見た?」

「見たって、何を?」

「結果」

「結果ってなんの?」

「だから妊娠検査薬の結果に決まってるでしょう」

「おまえが確認したんじゃないのか?」

「確認する前の道明寺に投げたのよ」

まだ道明寺が手で握りしめていたスティックを二人で食い入るように見つめる。

赤い線が浮かんでいたら妊娠。

丸い中には何の変化もなくて・・・

「妊娠・・・大丈夫みたい」

ガクッと道明寺の肩が力なく落ちた。

あからさまな落ち込みの表情。

この気まずさはなんだ。

「・・・西田、なんでもねぇ」

きれた携帯をポケットに押し込む怠慢な動き。

「そんなに落ち込まなくても・・・」

「牧野、お前はなんだかほっとしてね?」

確かに妊娠してなかったことはホッとしてる。

「俺の子供を妊娠するのそんなに嫌なのかよ」

えっ・・・

お―――――ッ。

迫ってくる道明寺から思わず後ずさる。

ソファーの肘かけにガクンと膝が当たって折れて天井を向いたまま身体が倒れてしまった。

「そんなわけじゃなく、今はまだ早いって思っただけ!」

「大学卒業して結婚してそれから妊娠でしょ」

「気に食わねェ」

へ?

グイと鼻先に迫るスッッと鼻筋の通った顔。

額に下ろしたくせ毛がわずかに私のおでこに触れた。

互いの鼻先がわずかに触れあう。

目のやり場に困る。

「今からでも遅くはないよな」

かすかに尖らせた唇は官能的。

「昨日もお預けだたしな」

熱を帯びた視線は魅力的でハンサムよりゴージャスと表現したくなるような色気を帯びる。

「それは妊娠してるって思ってたし」

「今は問題ないわけだ」

逃げるために浮かび上がらせた身体のすきをつく様に腰の下にするりと滑り込む腕。

道明寺の温かな舌が唇をなぞる。

誘惑に屈して開いた唇から道明寺が舌を差し入れた。

熱いキスと脚に触れる道明寺のこわばりを感じる。

「一人で悩むなよな」

温かい息が耳元をかすめる。

うっすらと瞼を開いた先で和らいだ道明寺の表情が見えた。

「うん」

自分でも驚くような素直な声。

抱きしめた道明寺はすごく温かくって、安心できて、幸せで、愛しい。

頭の中の理性は道明寺のキスで指先で触れられるたびにはぎ取られていく。

本当にこのままじゃ大学を卒業できるかどうかヤバイ!

そんな叫びは靄の中に溶け込んで消えてしまった。

結局妊娠してない結果で終ってます。

椿お姉さまも出てこなかったしなぁ。

最期が~~~

という不満の声はお許しを~~~~~~~。

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

captain様

期せぬことが起きると誰だって焦っちゃいますよね。

司はないかなぁ・・・。

やっと土日が~

昨日は中々更新できなくて(^_^;)

焦りました。(笑)

プンちゃんのママ様

いえいえこちらこそ最後までお付き合いいただき有り難うございます。

ほとんど家のことはおろそかでして(^_^;)

まあ作品を書くのは約2時間と決めて書き上げてます。

寝てるときに大体の話の流れは浮かんでいて、後はPCの前で文章をつなげながら話を作っていきます。

これが一番大変なんですよね。

状況を浮かながらいろいろ考えこんでので、ニヤついてるはずの表情は誰にも見せられません(笑)

トイレのカギのかけ忘れ。

花沢類にも見られてましたよね。

あの類の反応はらしいといえばらしいし、名場面だと思ってます。

司君帰ってきて必死につくしをさがしていてトイレで見っけの状態だったはずの場面の一コマなんです。

牧野が居なかったらどうしようなんてハラハラしてる司君サイドの話も書きたかったんです。