僕らはそれを我慢する 2

結局新しいカテゴリーを追加しました。

あきら&葵の物語もゆっくりとUPしていこうと思います。

二人の子供が見たいってリクエストもいただいてるんですよね。

頑張ろう♪

今回は意外とリクエストが多いつくしと葵の二人だけのお話♪

「結婚式ではお世話になりました」

美作さんと葵さんの結婚式に出席したのはつい一週間前。

ぺこりと頭を下げて、クスッと思い出したように私の目の前で葵さんが笑った。

ウッ・・・

顔から火を噴きそうな醜態の私と道明寺が思い浮かぶ。

「私の方こそ変なとこ見せちゃって・・・」

大したことじゃない理由でケンカをはじめちゃった私たち二人。

みんな笑ってくれてたけど今考えても恥ずかしい。

なんでいつもああなっちゃんだろう。

それはきっと道明寺の横暴な性格のせいだ。

いつも自分中心じゃないと気が済まないんだから。

口答えする私も悪いんだって分かってるけど、どうしようもないんだよね。

「全然、すごく楽しかったから」

照れくさそうに笑みを浮かべる葵さん。

しっとりとした綺麗さと輝きって表現が今の葵さんにはぴったりだって思う。

その表情だけで幸せだってことが分かる。

帰ったら一緒にランチでもしようって約束はケーキバイキングに変わってしまった。

結構人気があって予約もなかなか取れないって噂のお店が運よく予約できたのは3日前。

「割引チケットもらったんです」

案内された席でテーブルの上に置いたのは職場で配れたケーキバイキングのチケット。

「甘いものはあんまりスキじゃないのよね」

玲子さんに言われれば私は行く相手は職場にはいなくなる。

甲斐さんなんてケーキに目がないくせにつくしちゃんと行ったら好物も喉を通らなくなるってしっかり道明寺からの防戦対策を取っている。

「つくしちゃん、このホテルって・・・道明寺の系列じゃなかったけ?」

ケーキバイキングの入るホテルの1階フロアー。

玄関入り口にはしっかり道明寺のネームが入ってる。

一般席に座ってるのが道明寺夫人と美作夫人ってバレタラ落ちついてケーキを食べるどころじゃなくなる。

それに道明寺の前でケーキバイキングに行きたいなんって言ったら屋敷の一室に一人じゃ食べきれないケーキバイキングの一角が出現するって思う。

自然な雰囲気で女友達とおしゃべりを楽しみながらお茶を飲む。

こんなありふれた時間がなかなか持てないんだから。

「可笑しいですか?」

「そんなつくしちゃんが好きなんだよね」

「きっとさ私たちの旦那様にはわかんないわよ。数百円の割引に大喜びする気持はね」

ウインク気味に片目をつぶってみせる葵さん。

「でもね、あきらって、そんなもんって言いながらさ、私の価値観を理解しようって態度を見せてくれるんだよね」

「今じゃさ、バーゲンだぞってアルマーニのスーツを着たあきらが値札を見てるのがなんだかおかしくて・・・」

「そんなところがかわいいっていうか、優しいって思うの」

ほんのりと頬を染めた葵さんがテレを隠す様にそそくさとケーキを一口、口に運んだ。

道明寺だったら「セコイ」の一言で終りそう。

「御馳走様です」

そんな葵さんを見て私も可愛って思う。

「おいしい~」

「人気の理由が分るね」

セレブつながりの付き合いは本当に肩が凝る。

その点、葵さんとは価値観も変わらなくて、気さくで話し安くてお姉さんみたいで会っていても楽しい。

ちょっとしたパーティーでも顔を合わせるとほっとする。

美作さんはいい人を選んでくれたって感謝したいくらいだ。

「どうです、新婚生活?」

好奇心のままに悪戯な気分をそのまま葵さんにぶつけてみた。

「今までも一緒に暮らしていたわけだからそんなに変わらないのよね」

憂いの帯びた横顔は「はー」と息を吐いた。

「何かあったんですか?」

美作さんが葵さんを悩ませることをするとは思えない。

「週刊誌見た?」

「極秘結婚ってやつですか?」

「極秘結婚ならまだいいけど、略奪とか、妊娠で迫ったとか。

事実無根もいいとこでしょ」

怒のこもった表情を浮かべる葵さんを初めて見た気がする。

「ほっておけ」

道明寺なら一言だろうな。

「つくしちゃんはいいわよ。平成のシンデレラだもん」

高校からの付き合い5年越しの純愛を貫いたなんて華々しく世間に噂されたのは1年以上前の話。

もうみんなとっくに忘れてるって思う。

美作さんと葵さんは今が旬の話題だ。

騒がしさはまだしばらく続くって思ったら葵さんの気分が暗くなるのもわかる気がした。

美作さんならしっかりフォローする気遣いを見せてくれると思うのは私だけじゃないはずだ。

道明寺みたいに全く私の感情は無視するタイプとは美作さんは違うもの。

「美作さんのことだから何か手を打ってくれてるんじゃないんですか?」

私の質問に一瞬で葵さんの表情は暗くなった。

「ほら、私たちあきらの両親に内緒で結婚式あげちゃったでしょ」

それは聞いている。

美作さんのお母さんのファンタジーたっぷりの趣味に双子の妹達に結婚式を乗っ取られそうだって美作さんは呻いてた。

そこから逃れるための極秘結婚の相談を受けて裏で着々と準備を進めていたのが道明寺に花沢類に西門さん。

「お母様達だけなら無視するから心配するなってあきらも言ってたんだけど・・・」

「ならいいじゃないですか」

「あきらのお爺様とかお父様まで拗ねていて、そっちに気を取られちゃってるから」

「それに煽られるように私の父も兄まであきらに詰め寄っちゃてるんだから!」

グサッと目の前のケーキが一つファークで串刺しにされた。

「大変なんですね・・・」

それしか言えない私。

「今日は食べよう!」

ケーキだけじゃ終わらないような気がしてきた。

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拍手コメント返礼

ちゃむ様

そうですよね。もう一回披露宴すればいいじゃん。

1日我慢すれば済むしね。

嫁姑に小姑の関係が崩れたらそれこそ被害が大きくなるぞ~

ドロドロは御昼の連ドラで十分。

おかゆ

価値観が同じ二人に価値観が違う旦那の操縦法を熱く語ってもらいたい(笑)

あきらの方が難しかったりして・・・。