秘書西田の坊ちゃん観察日記 45 (ドッカン 番外編)

坊ちゃん観察日記は思いつきで書いてるような感じなんですが、でも意外と多いのがリクエストなんですよね。

今回もお届け~~~~~。 

『ドッカン11』のちょっと前からのお話となります。

*

「何を企んでるんですか?」

「お前が喜ぶこと」

SPを配置してると説明した後の代表の自信げな態度。

その数分後。

「なぁ」

最上階総務室、革張りのスウィベルチェアに座りゆったりと身体をもたれかけて背中を向けるように床を邪魔くさそうに蹴る長い脚。

モデル並みの体形を別に私に見せつける必要はないと思います。

それを羨ましく思う若さは私にはありません。

私と視線を合わさない態度は難題を押し付けられる前兆と理解してます。

「なんでしょうか?」

無視してスケジュールを読み上げることが出来ればどれだけ楽かしれない。

「司法修習所・・・」

代表が考えるそぶりを見せたのは今日の予定じゃなくつくし様のことだったと察しがついた。

「それが?」

そして何も気が付いてない様子をわざと私は作る。

「視察とかねェよな?」

首をそらせて下から舐めるように見つめられた。

大好物のおやつでも強請るような甘えた子犬の視線。

どういうつもりで?

それは愚問。

「結婚してすぐ別居ってありえねェぞ」

「大体、公平って男はなんだ」

「俺と会えなくても全然淋しそうじゃないし」

独り言のようにつぶやく愚痴。

全て聞かされている。

週末はつくし様と過ごされた落ち着かれたと思ったのは甘すぎる期待だったか?

代表と結婚したことでつくし様に降りかかるはずの騒ぎを最小限にするために牧野つくしで司法修習を終らせることは納得された筈なのに、ご自分で結婚式のことを週刊誌にリークした事は承知してます。

それでつくし様に責められたことも・・・。

「道明寺はなにを考えてるんですか!」

つくし様の泣きそうな声。

それは・・・

あなたのことだと・・・。

携帯から聞こえた声に、そう言いたかった声はため息に変わった。

「西田さんだけが頼りなんですから」

私はつくし様が頼りなんです。

「視察ですか?」

難問を押し付けられた。

私が動かなけらば代表のことだ何かしらの理由を考えて正面から乗り込む。

修習を屋敷で受けられるように手配。

このくらいは簡単にやりそうだ。

どれもつくし様が希望する穏やか平凡な修習で弁護士を目指すことには支障が出る。

坊ちゃん半年の辛抱なんです。

辛抱・・・

代表には似合いませんでしたね。

辛抱はつくし様の方が似合う。

私の平等だった針が申し訳なくもつくし様の方に傾いた。

「代表が行けば少なからず騒ぎになると思いますが?」

「どこでも似たような騒ぎは起こるだろうが」

もう行く気になってるの分かる。

「司法修習所の視察の名目がありません」

「司法と司、名前つながりで視察てどうだ?」

道明寺系列の会社と同等に並べないでいただきたい。

「支援的な援助の申し出といったところで話を付けます」

名前つながりなどの子供の発想は早々に引っ込めてもらいたい。

「今日な」

「今日!」

流石に呆れる感情が声に出た。

椅子をまわして私に向き直った顔は久し振りに見た機嫌の良さ。

子犬が尾っぽまでくるくる回して。ハァハァと息を荒げて足にまとわりつかれてるような感覚。

苦笑するしかない。

分りましたと心の中で呟く声。

私も甘い。

予定したスケジュールを調整してつくし様のいる司法修習所に向ったのは昼前。

「代表、予定は2時間ですから」

「短くないか?」

「15分で視察を終ったこともあります」

あまり長く代表がいるとつくし様の負担が重くなりますとは言わない。

「もしかしてつくし様との関係をバラスつもりじゃないですよね」

「あいつ次第だろ」

支配者的な威圧感たっぷりの余裕の笑みが振り返る。

「いつもの言い合いはお二人の時だけにとどめていただきます」

ちょっとした誤解と感情のもつれあい。

嫉妬は代表の言葉の足らなさをそのままにつくし様に押し付ける。

根本ではわかりあってるから大事にいたらない痴話げんか。

大学時代から見てきて慣らされてしまってる。

馬鹿!

横暴!

我儘!

代表に遠慮なく向けられる罵詈雑言。

言って平穏でいられるのはつくし様だけですから。

それは代表の品位を落としかねない危険をはらんでいる。

私は好きなんですけどね。

コツコツと響く皮靴の音。

その周りを囲むSPが数名が司法修習所の玄関をくぐった。

その後は・・・

司法修習所を案内する教官を無視して代表が一角をめざす。

話し声のする部屋。

代表!

ここに来たのは初めてですよね。

「ここは?」

「今修習生が講義を受けてるところです」

慌てた教官がガラッとドアを開ける。

「どうぞこちらへ」

教官が声をかける前に一歩踏み出す代表。

ザワツキの中に混じる驚愕の声と感嘆の声。

見慣れた反応。

「今回は修習所の視察ということで来られてる」

「みんなも知ってると思うが道明寺フォールディングス代表の 道明寺司さんだ」

教官の声に静けさを取り戻す室内。

代表の視線の先で代表の姿をとらえて固まった人物が一人。

それは当たり前ですよねと少しばかりの同情。

迷いもなくつくし様にたどり着く代表のその嗅覚の良さはどれだけ発達してるのか。

感心してるもう一人に私がいた。

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拍手コメント返礼

b-moka

なんだかんだと言っても結局西田さんも坊ちゃんに甘い。

次回は心を鬼にする西田さん日記も書いてみようかしらと・・・。

この続きはどうなるんだろうかと西田さんが一番心配だったりして。

プンちゃんのママ様

仕事の合間のお茶のお供になってるでしょうか?

貴重な時間にいつもありがとうございます。

意外と司君西田さんの扱い方熟知してるのかもしれませんよ。

ひつじ 様

おねだりするのはつくしちゃんだけじゃなかったんだとこれを書いていて気が付きました。(笑)

おかゆ

こんな司を西田さんは可愛いって思ってるのでしょうか?(笑)