DNA で苦悩する 5

駿君にどんなバイトをさせようかと思案中。

どのバイトでも目立ちそうですけどね。

今日は子供の部活の応援に行ってきます。

何とかUP出来た♪ 

*

「キャー 駿君!」

「道明寺君 頑張って!」

「そっち敵チームでしょ。邪魔」

見ない様にしても目にいる彼女たちの陣取り合戦。

ただいま体育の授業中。

紅白に分かれてのサッカーの試合。

応援されるのは悪い気分じゃないが君たちも授業中。

「こっち見た~」

・・・って、見てねぇし。

「今、わざとぶつかってなかった」

「いじめちゃやだーっ」

僕に身体ごとぶつかってきた蒼に非難が集まる。

「駿、これってサッカーの試合だよな」

「俺・・・女子に殺されそう」

腕を顔に当てて目をごしごしと擦る蒼。

泣いてねぇだろう。

僕の体育着を掴んだ蒼は僕の服で顔の汗を拭いてニンマリと笑った。

試合は同点のまま終了。

喉の渇きを潤す為に蛇口に口をつける。

ミネラルウォーターじゃなく水道水を飲むことも覚えた。

まあ、飲めなくはないって思う。

髪を濡らす為に蛇口の下に頭を入れる。

熱くなった身体の熱は汗と一緒に頬を伝う。

父さん譲りの天パもこの時ばかりはストレートになる。

英徳じゃ完備されたシャワー室も普通の高校にはないってことを知った。

水を切る様にブルッと頭を振る。

行儀が悪いって言われない自由さ。

「どうぞ」

目の前に差し出されたタオル。

扇上に差し出されたいくつもの腕。

こんな場合、どのタオルを受け取っても騒ぎになるのは経験済み。

「自分のがあるから」

そこから早く逃れたくて足早に歩いた。

「俺なら全部受け取っちゃうけどね」

俺の肩にのしかかる様に蒼が腕をまわす。

蒼ならきっと気負いもせず楽天的にありがとうって受け取る気がした。

僕には無理だよ。

近くなると親との関係が浮かんでくる。

簡単に親しくなるとソコからどう尾ひれを付けるかわかんない世界に最近まで身を置いてた。

10代で自分の人生決められたらぞっとするぞ。

「肩が重い」

「嫌がんなよ。駿君」

「愛想が悪いのもダメなんだぞ。折角のイケメンが台無しじゃん」

それは父親譲りってものだ。

父さんのような威圧感がまだないだけましだと思う。

「かわいい子もいたのに」

もったいないって表情の蒼は棒立ちの彼女らに、にこやかに手を振る。

愛嬌のあるに蒼は女子にも男子にも友達が多い。

「ある程度の距離を取りたいだけだ。騒がれるのは好きじゃない」

「贅沢な奴」

校舎の前で向かい合った蒼と僕は軽く冗談を言って笑いあう。

「いいこと思いついた」

なんとなく湧き上がった悪戯心。

「いいことって何?」

笑っていた蒼の顔が真顔になった。

「女子がどうしたら僕に近づかなくなるか・・・」

「そんなことできるのか?いまさら不細工になるなんて無理だろう」

そんなこと誰が考えるか。

変装はアリかもな。

ぼさぼさの髪にダサいガリ勉風の眼鏡とか?

いまさら遅い。

「蒼。お前も協力しろよ」

「へ?」

蒼の背中にガシッと腕をまわして抱き寄せた。

そして膝の上に蒼の背中を乗せるように倒した。

「わぁぁぁ、何する気だ」

蒼が不安定な身体を支えるように僕の両腕にしがみついた。

これが女の子ならって気持ちは僕にもある。

「キャー」

「代わりたい」

運動場でも響く声。

その反応は期待してなかった。

これをどうする?

「おい!駿!俺はそんな趣味はない!」

「バタバタするな。僕もそんな趣味はないから」

数センチで触れ合う距離の唇。

目と目があったままの蒼が視線を外せないのは動揺してるからに違いない。

だから本気じゃないから。

それでも角度を変えればキスしてるように見えるはず。

それらしく見えるようにシッカリと口元は首にかけてるタオルが隠してくれてる。

「ウソー」

「蒼君代わって~」

悲鳴より黄色い声が多いって予想外だ。

「ブーーーッ、駿!俺のファーストキス返せ~~~」

上半身を元に戻した蒼のわざとらしい叫び声。

ノリ過ぎだよ。

流石に僕も本気で蒼の唇を奪う気はない。

うげーっ。

「うっ・・気持ち悪い」

掌を口に当てて僕は吐く真似を見せる。

「駿、それ俺のセリフ!」

「これで俺らはホモ達か?」

「冗談だと笑われてるみたいだけど」

もっと見たいって声が聞こえるとは思わなかった。

失敗・・・。

それでも僕たちはケラケラと笑い合って校舎の中に入ろうと歩きした。

「君たちってそんな関係だったの?」

俺たちの行く手を阻むように真正面でそうつぶやいたのは鮎川。

僕たちの悪ふざけにも動じないクールな瞳。

静かに閉じたまつ毛が私には関係ないって冷たく僕を否定した様に思えた。

クルッと背中を向けた鮎川の長い黒髪が動きに合わせてなびいて肩を覆う。

頬に触れる髪を直す様に鮎川の指先が髪を後ろに掻き上げた。

「絵になるよな」

僕の方に肩肘をのせて蒼が鮎川に見惚れてるのが分った。

それに同調するよりムッとする感情。

その感情を持て余してる。

不機嫌だと気が付いた感情を蒼に知られたくないってその時の僕は思っていた。

蒼が自分の指で形を作ってファインダーをのぞきこむ仕草を見せる。

「なにやってるの?」

「カメラ持って来れば良かったとか思わないのか?」

答に詰まった僕を見透かした様に蒼は笑いを含んだため息を漏らした。

なんだよ!

その余裕!

「さっきの仕返し」

数歩歩いた蒼が僕に振り向いて両腕を腰に置いて高らかと笑っていた。

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拍手コメント返礼

Gods&Death 様

高校生活を満喫させたいと思ってる今日この頃。

駿君の彼女には目の肥えてる姑に小姑がたくさんいるのかぁ~~~~。

激しい目で厳選されて選び抜かれた彼女選び。

楓さんより厳しそうですね。