ドッカン !! 19

真央ちゃんのドラマ「トッカン」は終わってしまいましたが、こちらのお話はまだまだ序の口で♪

『100万回』とは趣向を変えてと思ってたのになかなか路線が変えられない。

ただいまの悩みどころです。

計画がうまく進んでるとき気分は最高潮に達する。

それは無謀とも思える計画を立て、相手を意のままに操ったり、拒む厚い壁を打ち破って迎える結末へと導く高揚感。

獲物はもうすぐ目の前に現れるはずだ。

無謀とも思える計画。

企業を意のままに操る。

官僚の厚い壁を打ち破って相手を跪かせるのが俺の日常。

それ以上の達成感を感じてる相手が自分の嫁さんだってことは誰にも言えねェ。

クルッと床を足でけって革張りの椅子を正面から地上を見下ろせる窓側に向けた。

ニヤついてる表情を引き締めても肩が震えてるのが自分でも分かる。

3か月の別居生活も終わって今日からはあいつと一緒に住める期待感。

それに来週からは仕事場も一緒のビル。

何時でも気の向いた時にあいつの笑顔が見れる。

これでやっと結婚したって実感が味合えるというものだ。

温もりを感じながら眠りにつく夜。

朝起きたらいつも俺の腕の中であいつが目覚める。

そんな当たり前の日常を経験したいって、この俺が切望してる。

「コツコツ」

ドアをノックする音にもう一度表情を引き締める。

「入れ」

「つくし様をお連れしました」

ドアを開いた西田の横を通り抜けて近づいて大きくなるつくしの顔。

不機嫌そうに眉間に寄せた眉。

「ドンッ」

部屋中に響く音がつくしの手のひらでデスクに音をたてた。

「私はなんでいまここにいるの?」

鼻先に突き出された口もとが気迫で迫る。

「里井が連れてきたんだろ」

「その里井さんに指示を出したのは道明寺でしょう!」

ふて腐れて、俺に楯突くこいつが無性に楽しくて仕方ない。

「・・・・なに、じっと見てるのよ」

つくしのキョドッなった瞳とほんのりと染まる頬。

わずかに逃げるように身体がうしろに動く。

逃げないようにデスクの上に付いたままの腕を掴むように俺は腕を伸ばす。

掴んだ手首がピクッと反射的に動いたのが分かった。

ククッとこぼれそうになる声を俺は必死で我慢してる。

今日のつくしは全く余裕がない。

「会いたくなかったのか?」

「えっ?」

「俺は一秒でも早く会いたかっただけだ」

「だからって、会社じゃなくてもいいじゃない」

俺を責めていた口調は柔らかくなって俺の指先から逃げようと抵抗を見せてた手首の動きも止まった。

「行くぞ」

椅子から立ち上がった俺はつくしの手を握ったまま入り口を目指して歩く。

「行くって、どこに?」

全く何もわかっていない焦った表情。

「案内してやるよ」

「案内って?」

「お前は執務室しか来たことないだろう。月曜日はそんな時間はないから」

驚いたままのこわばった表情。

「ギャー、ダメ」

「騒ぎになる」

想像できる範囲の反応。

素直すぎ。

終業1時間前のビル内。

直通エレベーターで1階エントランスに降り立つ。

各フロアー内はまだせわしく社員が行きかってる時間帯だ。

「ちょっ、ダメだってば」

「手を放せ」

壁に刺さった矢を両脚で踏ん張って抜くような抵抗をつくしが見せる。

それに構わずずるずるとつくしを引っ張って歩く。

キャンキャン良く吠える躾のなってない子犬を散歩させてる気分だ。

「テッ」

立ち止まった拍子につくしの鼻が俺の背中に激突した。

「キャッー」

「代表!!」

「誰?」

「手をつないでる!!」

遠巻きで見ていた社員のザワツキ。

「抵抗する方が騒ぎになるぞ」

鼻を擦すりながらもつくしがおとなしくなった。

手首を放した腕は抱き寄せるようにつくしの腰に回す。

「わざとやってるでしょう」

つくしに集まる好奇と羨望の視線に落ち着かない様に俺に密着したつくしの体の線が揺れる。

つくしの身体から伝わる微妙な刺激。

緩やかな刺激は愛欲の呼び水になるってつくしが気が付いてるはずがない。

「まだ、あんまし刺激するなよな。帰るまで待て」

少し頭を下げて唇がつくしの耳朶を触れながら呟く。

耳朶まで見る間に色を染めた。

執務室でしばらくこいつを味わってればよかった。

「そそそれより実務修習が道明寺の顧問弁護士事務所ってどいうこと」

俺の顔を遠ざけるようにつくしの手のひらが俺の頬を抑える。

だから!抵抗するなって!

動けない様にガシッと胸元に密着させてつくしの両手を片手で軽く抑え込む。

「素直に言うこと聞け」

「答えになってない!」

どうせなら、甘えるように尻尾を振る子犬の方がかわいげがある。

キャンキャンうるさい。

「お前との時間を取り戻したいだけだ。職場が一緒だと何かと便利だろう」

「道明寺が何をしでかすか予測できなくて怖い」

それはお互い様だ。

「邪魔しないでよ」

眉をしかめたままの顔がわずかに緩んで俺を見つめる。

「代表・・・」

何時の間に来たのか俺とつくしの傍で高揚のない表情が呟いた。

脅かすな! 西田!

もう少しで声を上げるとこだった。

「つくし様の社員証です」

道明寺 つくしの印字のある社員証を西田からつくしが受け取る。

「道明寺つくしって、やっぱりまだ慣れない」

自分の社員証を俺にも見せながら照れて、嬉しそうに微笑むつくし。

その表情に俺までムズッときてる。

結婚式で嬉しそうに愛しそうに結婚指輪を見つめていたその表情と重なる。

「道明寺と一緒のビルで働くのも悪くないかも」

ようやくつくしが満面の笑みを浮かべた。

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