ＤＮＡで苦悩する　7 - hanadanlove’s diary

おはようございます。

こちらは秋晴れの穏やかな天気。

そろそろ衣替えもやらなきゃ。

布団を干して洗濯ものを太陽の光に当ててと思いつつＰＣの前にいる私。

不健康だな。

これが終ったら家事に専念します。

*

「ドン!!」

「バタン!!」

乱暴に開け離れたドアから乱入気味に表れた長身。

乱れた息を整えるように大きく息を吐いた。

千葉さんに見つかった。

「そういうことされると危ないって分ってますか？」

顔を歪める千葉さんは僕を見つけてほっと溜息をついてそうつぶやいた。

「単に歩道を歩いて危ないも何もないって思うけど」

「何かあってからでは遅いんです」

喉の奥から絞るような千葉さんの声。

父さんほどの凄みはない。

見つめられる視線に気が付いて振り向いた先には何事かって表情が張り付いた鮎川。

それに僕の心臓がドクンと波打つ。

僕と千葉さんの関係ってどう考えても普通じゃない。

すーっと鮎川がカウンターの隅っこに移動して水道の蛇口をひねり流しの中の洗い物を始めた。

ステンに落ちる蛇口からの水の音が僕たちの話は聞かないからって伝えてる。

「僕をつけてるのバレバレなんですけど」

「護衛してるって言ってもらえませんか？」

「必要ないでしょう。僕はここでは普通の高校生なんだから」

「それでも道明寺財閥の御曹司には変わりありませんよ」

それじゃわざわざ英徳を飛び出した意味がない。

これまでに危険な思いなんてこれっぽッちも経験がない僕にどれほどの警戒が必要なのだろう。

父さんの様に刺されそうになったとか、知らない女性に抱きつかれたとか一切ない。

至って日本は平和だって思ってる。

嵐を作りたくない僕も意外と平和主義なんだ。

「千葉さんが僕を守るのは母さん？父さん？どっちの指示？」

母さんの訳はない。

僕の気持ちは一番理解してくれてるはずだから。

「父さんだよね」

何も答えない千葉さんに代わって僕がつぶやく。

僕の目の前に座る千葉さんは周りに緊張する視線を張り巡らしてる。

その姿は意外と頼りになるＳＰそのもの。

誰も近づかないって。

Ｇパンのポケットから携帯を取り出して電話をかけた。

父さんに僕が直談判しても取り合ってもらえない計算の方が高い。

こんな時は奥から責めるのが僕らの兄弟の中では常識。

僕らだけじゃないか・・・。

西田さんにタマさんには普通で、類パパ、あきパパ、総パパ達には当たり前。

はたまた楓おばあ様まで母さんに頼りきってる。

「駿、どうしたの？今日帰るんだよね？」

携帯からの声は明るくて穏やかで懐かしい。

声を聞いただけで会いたくなるって感情を母さんで感じる僕はまだ親離れできてないのだろうか。

って！そんな感情に浸りたいわけじゃない。

「母さん、僕の目の前に千葉さんがいるんだけど・・・」

これだけで僕の言いたいことは母さんには伝わるはずだ。

「司！」

携帯から聞こえた強気な声。

気合の入った声で父さんを呼び捨てにするのは母さんしか僕は知らない。

せめて携帯をきってから父さんに立ち向かってほしい。

きっと母さんは僕と携帯でつながってるのは忘れたまま片手に携帯を握りしめてて父さんに詰め寄ってるんだと思う。

「千葉さんが駿の横にいるってどういうこと！」

「千葉の奴またヘマしたのか！」

「千葉さんの問題じゃないでしょう！」

携帯から聞こえる声に千葉さんの顔色がなくなってる。

僕は千葉さんが好きだからね！

これってフォローになるのか？

「大体普通の高校生にはＳＰなんてつける必要ないから」

「駿は俺の息子だぞ！」

「司みたいに強引でも凶暴でもないから駿が恨まれることはないわよ」

「お前、俺をどれだけ悪者にするつもりだ」

ガチャン！！！

床に落ちて跳ね上がる金属音が耳元で響く。

どうやら母さんの手から携帯が落ちたらしい。

普通の子供なら両親の大ケンカって慌てるはずだけど我が家は違う。

どうせこの後は仲直りシテルンダカラ。

子供が見たらいけないって遠慮する雰囲気を作れる親ってそうはいない。

それに気が付いたのはいくつの時だろう。

いまだに恋愛気分が抜け切れてない親を持つと子供は苦労する。

「千葉さん・・・僕は家に帰る時間を延ばすよ」

「はぁ・・・」

千葉さんも何かに気が付いたように眼球が落ち着かず動揺してる。

父さんたちが大学の頃から知っている千葉さんだから気が付いてるはずだ。

千葉さんたちも被害者かもね。

目のやり場に困ったことって数えきれないくらいあるんじゃないのだろか？

ふと、千葉さんに同情してる自分に気が付いた。

子供に気を使わせる親って・・・。

母さん！シッカリ千葉さんの件は片付けておいてよ！

はぁ・・・。