DNA で苦悩する 51
おはようございます。
台風4号の影響はいかがでしょうか?
私のところは曇り空で少し風が強い程度かな。
もしかして明日は、学校が休校とか・・・
それが一番怖かったりして(^_^;)
「どこに行くんですか?」
シルバーの眼鏡の奥にきらりと光る眼差し。
定規を背中に入れたような垂直な姿勢。
親指と人指し指が右側の眼鏡のフーレムを摘まんで眼鏡の位置を戻す。
「いわなくてもわかるでしょ」
「あぁ・・・ご両親ですか?」
何事もないようにつぶやく声は冷静沈着、感情が見えない。
「なんで止めてくれなかったの?」
「誰をですか?」
誰って・・・
分ってるはずなのに僕を焦らす西田さん。
父さんが僕くらいの頃から秘書をしてるっていうから家族の信頼も厚い。
「時間が空いてる状況で、つくし様が近くに居ると分かれば・・・」
西田さんの言おうとしてる事はすぐに分った。
「西田行くぞ」楽しげな声で、頬を緩めて、西田さんが止める間もなく母さんの後を追って飛び出したんだろうな・・・。
周りを圧倒する威厳と魔王の尊大さは母さんの前じゃ影を潜めてる。
予定が空いた父さんの機嫌を損ねることは西田さんはしないって解かる。
もういいって言う様に腕を上げて西田さんの言葉を止めた。
スタジオの入るビルの屋上から高層の道明寺本社ビルは良く見える。
車で30分の距離。
暇なら来るよな・・・。
ここに母さんが来たのが一番悪いんだ。
仕事が忙しくてなかなか会えない分、空いた時間は有効に利用する。
その有効な時間の使い方が父さんの場合母さんに変わる。
「新婚の頃は暇ができるとつくし様を追いかけまわしてましたからね。
今はずいぶんと落ち着いた方です」
冷静な表情が僕に告げるのをなんどとなく耳にしてきた。
それを言われる子供の身としては、両親が仲がいいことを素直に喜べた時期は過ぎた。
気恥ずかしさが身体をむず痒くさせる。
「ここまで、来る必要あるの?」
母さんを呼び戻すほうがもっと時間を有効に使えるのではないだろうか?
「駿坊ちゃんの事も心配されてるんですよ」
西田さんにしては珍しく穏やかな感情が声に出る。
のわりには・・・
美作のおじさんが母さんに近すぎだとか文句を言ってる不機嫌な父さんが見える。
葵さんにべたぼれの美作のおじさんに嫉妬してなんになるのだろう。
僕の心配より母さんに会いたかっただけなんだって思う。
たくっ・・・
この夫婦は・・・。
ため息交じりに両親を見つめる僕の横で西田さんの口角がわずかに上に動くのが見えた。
西田さん・・・笑った?
僕の視線に気が付いたように父さんが視線を僕に向けてにこっと笑った。
それに気が付いた母さんは満面の笑みを浮かべて手を振って僕を呼ぶ仕草を見せる。
「西田さん・・・僕が、あの中に入ったらどうなるか解かるよね?」
「駿坊ちゃんと代表が並んだら一瞬でしょうね」
この状況でも見比べられたらやばいって思う。
クルクルの髪に、そっくりな目鼻立ち。
隠しようもないDNAのつながりがそこにはある。
「よくにてるなぁ~」
その感想だけで終れる保証は有るのか?
「西田さん・・・僕、もう撮影は終ったんだよね。このまま帰りたいんだけど、ダメかな」
「あとは引き受けますよ」
フッとゆるんだ西田さんの口元。
ヤッパリ西田さん笑ってるんじゃないか。
「それと、ビルの前に鮎川さんてお嬢さんが待ってましたよ」
鮎川って・・・
「中々の美人ですね」
褒めるにしては音程のない声。
元の西田さんに戻ってしまってる。
鮎川・・・。
父さんがなにを言っても無視してとか。
すぐ終わるから大丈夫とか。
駿君なら大丈夫だとか。
僕を励ましながら、それでいて、興味ないとか言ってたのに来てくれてたんだ。
「分った、ありがと」
綻びそうになる頬を引き締めて出口に向けて走り出す。
身体がやけに軽く感じて飛べそうな気分。
あっ・・・
でも・・・
西田さんがなんで鮎川のこと知ってるんだろう?
まあ、いいか。
拍手コメント返礼
あずきまめ 様
そうか、駿君は西田さんにとっては孫かぁ・・・
司より可愛いかもしれませんよね。
今日は9時登校で子供は出て行きました。
昼で帰宅するそうです。
あ~~~~時間がないぞ。
やなぎ様
西田さん定年まじか?
西田さんに変わる秘書は見つからないだろうなぁ。
次は無理にでもつくしが秘書になるとかあるかも~。
ことり様
学校は休校にはなりませんでした。(*^_^*)
パパ同士のバトル。
楽しみたいという気持ちは有りますね。
確かに怖いものもあるかなぁ。
おかゆ 様
西田さんのことだからしっかり駿君の身辺もしっかり調査してる事でしょう。
久々に西田さんを登場させると楽しくなるのはなぜだろう・・・。
アーティーチョーク 様
親から離しちゃいました。
あきら君も西田さんもいるから大丈夫でしょ。
このあとは大人たちの攻防をお届けします♪