DNA で苦悩する 9
なかなか道明寺邸にたどり着けそうもない駿君。
つくしちゃんはどうやってSPの件を司君に納得させたのか。
リクエストもいただいてますが、これがなかなか書けない。
連載分がいっぱい、いっぱいで~。
もうすぐ開設三周年も迎えるのでその企画もなんてこと考えちゃってます♪
時間が欲しい・・・(^_^;)
*「ただイッ!」
ただいまと言いかけた僕の声は母さんに抱きつかれて言葉を遮られた。
「おかえり~」
「また背が伸びたんじゃない?」
え・・・ッ
それより・・・
・・・離れてほしい。
母さんは背にして見えないだろうけど父さんが睨んでる・・・。
僕はお母さんの背に回そうとした腕の動きを止めてだらりと重力に従った。
鮎川と別れてタクシーに乗り込んだ僕は今2週間ぶりの我が家に戻る。
「ちょっ」
僕から無理やりベリッと焼けた肌を剥がすみたいに片手で母さんを剥ぐ。
非難的な視線を向ける母さんを父さんは一瞥しただけで黙らせた。
父さんが不機嫌な原因が自ら僕に抱きついたからって分った母さんは困った表情で僕を見た。
原因は分ってるんだから父さんの前では自重してほしい。
父さん以外の男性に母さんが抱きつくことがどれだけ危険か・・・
それは僕でも翼でも例外じゃないって分ってるでしょう!
僕らがそのことに気が付いたのは小学校に入学する前だったって思う。
その前に高校生になった息子に抱きつくなよな。
僕の方が恥ずかしんだから。
傍で見てる使用人が微笑ましいって顔を僕らに向けるたびに身の置き場がなくなるんだ。
それでも無碍にできない僕も母さんは大好きなんだ。
僕ってマザコンか?
違うッ!!!
「駿、SPを付けるの嫌なのか?」
僕にまで見せる父さんの嫉妬は封印するように話を逸らされた。
つーか、しっかり母さんが離れない様に片手は母さんの腰に回されてる。
その腕を母さんは嫌がる様に自分の腰と父さんの手のひらの間に指を入れて離そうと抵抗してる。
一本指が外れるたびに父さんの指先の力が強くなって母さんの腰のくびれに入り込んでいく。
無駄な抵抗・・・
好きだよな、母さん!
「嫌に決まってるでしょ」
「そこまで心配してもらうこともないから」
平凡な高校生で過ごしたい僕には無用な長物。
「子供を心配するのは親の特権だ」
感情を殺した淡白な声。
心配の度合いが常識に当てはまらないから困る。
僕にはSPを付ける必要性はゼロだから。
僕を想ってくれてるのは嬉しいけどね。
一般的な常識の中で頼みたい。
「自分の立場を忘れるな」
部下のプレゼンを切って捨てる容赦ない冷淡さがそこにある。
敏腕経営者TOPの表情そのままの威圧感。
それって、僕が一人では何もできないってことを自覚しろって事なのか。
それとも道明寺財閥の跡取りとしての自覚を持てって事なのか。
たぶん両方だ。
この帝王を納得させるだけの能力はまだ僕には備わってないことを痛感する。
「SPの件はさっき納得したんじゃなかったの!」
父さんの目の前に母さんが顔を付き出して長身の父さんを見上げて睨む。
こんな光景も道明寺邸では良く見かける光景。
クッスと漏れる声が数人の使用人から聞こえてる。
この反応にも慣れた。
父さんが結婚する前はピリッとした緊張感が屋敷内を覆っていたって昔からいる使用人はいう。
だけど、想像すらできない。
皆が母さんがいなければって涙を流すから昔は本当に大変だったんだなってうっすらと分かる。
「わかってるよね?」
「だから、もう駿担当のSPは外しただろうがぁ」
「今日だけじゃないからね。わかってるの」
「SPの件は分ったって言ってるだろう」
母さんは爪先立ちで父さんの顔に迫る。
「タクッ」
鼻先を赤くした父さんはしぶしぶな表情を浮かべて母さんを見る目を細めた。
帝王も母さんにはかたなしだね。
「駿、今笑ったろう!」
「笑ってない」
緩んできた頬をギュッと引き締める。
「ブッーーーーッ」
その後ろで遠慮ない声を舞があげた。
「おかえりなさい」
屈託ない笑顔。
場を和ませるのは申し分ないタイミング。
「ねぇ、高校の話を聞かせてよ。英徳より楽しい?」
「いいけど、翼は?」
「出かけてる。もうすぐ帰ってくると思うけど」
僕の腕にまとわりつく様に舞が自分の腕をからめる。
父さんと母さんはほっといたまま僕らはリビングに向う。
「今日は夜出かけるからな」
遠くで父さん声が僕らを追いかける。
「出かけるって・・・?」
「お兄ちゃんの嫌いなパーティ―」
舞が悪戯な笑みを浮かべて僕の腕にしがみついた。
聞いてたら帰ってこなかった。
いまさら遅いか・・・。
楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。
拍手コメント返礼
captain 様
浸れました?
おかゆ 様
久し振りの実家でつくしちゃんの手料理で家族団らん♪
というイメージがわかない道明寺邸。
単純にパーティー開催しちゃいました。
どうなる?かは、次回までお待ちくださいね。