ドッカン !! 25

*

遊ばれてる・・・

そんな、気がした。

エントランスで聞こえた甲高い悲鳴に近い声はまだ耳の中に残ってる。

「キャー」とか・・・

「ワー」とか・・・

感嘆符の付いた黄色い声は慣れてるけど、結婚してからは初めてだよな?

結婚してからの方がヤダって思えるのはなぜだろう。

そんな自分の心の変化に気が付いてしまった。

女性の視線が道明寺に釘付けで・・・

注がれる熱い視線。

代表が結婚しても関係ないって熱い意気込みを周りから感じる。

私が見上げた先には必要以上に優しく笑った瞳が私を見下ろす。

口もとに浮かぶ温かな微笑。

滅多に見せない豊かな表情に引き寄せられて目撃者からはため息まで漏れてる。

この状況で好きだとか言われたら対応に困る。

困る私を見て涼しい顔を道明寺は浮かべてる。

その性格直せ!

無理かぁ・・・。

「そっちでしょ!」

「俺に指図するな」

普段なら乗りもしない鈍行各駅停車エレベーターの前。

隣の最上階直通エレベーターの前には道明寺に指示されてSPが護衛者から離れて並ぶ。

私のオフィスまでは道明寺と2人きりってことだ。

私がエレベーターを降りた後は一人で最上階まで向かうんだよなぁ。

扉が開いて、いるはずのない道明寺が中にいたら社員はぶっ飛ぶんじゃないんだろうか。

おーーーっ。

しょうもないことを考えてるときに突然身体が揺れた。

背中を押し付けていたエレベーターのドアが開いてバランスを崩す。

「今日2度目」

道明寺の腕がガシッっと私をささえて、ククッと喉をならす。

社交ダンスで最後の締めに背中を反った女性を男性が腕で支えるのとはわけが違う。

さっきから私たちに集中する注目度は下がることなく増えてる気がした。

失態・・・。

しりもちをついたのと同等の恥ずかしさだ。

エレベーターには先客がいなかったのがせめてもの救い。

そのまま腰を道明寺に抱えられたままエレベーターの中に連れ込まれた。

「そんなんで仕事出来るのか?」

コツンと私を床に降ろした道明寺はエレベーターのボタンの横で、壁にもたれて腕を組む。

完全な上から目線。

誰のせいだッ!!

・・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

道明寺が私を見下ろしたまま過ぎる時間。

エレベーターが動いてない!

この男は、なんで閉のボタン押してんのよッ!

ぬっと突き出したきた顔。

扉にまた背中が突き当たる。

ここでOPENのボタンを押されたらギャグじゃすまない。

「ななっなに」

心の動揺のままに舌を噛みそうになった。

「キスしたくなった・・・」

数秒の沈黙の後、道明寺の息が私の頬をかすめる。

「誰か来たら困る」

ガシッと瞼に力を入れて視界から道明寺を追い出した。

「こねェよ」

道明寺からこぼれる息がさっきより唇に近い。

「俺がしたくなったらどこでも受けろ」

「誰にも文句は言わせない」

受けろって・・・・

そりゃ、だれも道明寺を非難する人は、いないだろうけど・・・

私が困る。

新婚で浮かれてるなんて噂が立ったらどうすんのッ。

掌でガバッと自分の口もとをカバー。

唇から漏れる甘い息遣いが消えて荒い鼻息に変わった。

フンって・・・

目を開けると道明寺は元の私を見下ろした位置に戻ってる。

鼻で笑ってボタンを抑えていた指を外した。

上昇するエレベーター。

「なんも、しねぇよ」

道明寺の目が密かに笑ってる。

うっ・・・

ヤッパリ遊ばれてる。

なんの仕返しだッ!

朝、道明寺が起きるのを待ってなかったからとか?

だったら・・・。

明日からどうすればいいのだろう。

つ・・・疲れる。

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拍手コメント返礼

Gods&Death 様

キスくらい司君が満足するまでやってやればいいのよ~~~

・・・と私も思います。

減るもんじゃないし(笑)

出来れば結婚式のようなキスでお願いします。

ご主人なかなかですね。(笑)

晩御飯作ってくれるっていいな~。

我が家の旦那が作れるのはインスタントラーメンだけです。(/_;)