ドッカン !! 26
今回のお話は久しぶりに西田さん日記で~という考えも浮かびました。
でもやっぱりその前に司君目線が必要。
ということで続きからどうぞ♪
*「楽しそうですね」
最上階の執務室。
入室した途端に後ろから一定の距離を保ったままついて来る鉄仮面がつぶやいた。
少しはお前も楽しそうな表情を作れ。
そんな西田は見たくねぇ、つーか、想像できねェ。
「まあ・・・大目に見ますけど」
いつもなら嫌みに聞こえる言葉も気にならない。
西田の言うとおり俺はすこぶる機嫌がいい。
途中でつくしと一緒にエレベーターから降り様とした俺は、案の定、牧野に拒絶された。
エレベーターに押し込めるようにつくしの両手が俺の胸を抑え込む。
「そのままじゃ、お前、扉に挟まれるぞ」
今日のつくしは、危なっかしくてしょうがない。
俺がついてないとダメなんじゃないか?
そんな気分にさせられる。
腰から下はエレベーターの外、上半身はまだエレベータの中の一本の斜線が出来上がってる。
からかう様に腰を屈めてつくしの顔を上から覗き込んだ。
「うっ」と、口もとに力を入れて、つくしが、一瞬困った表情を浮かべる。
瞼を閉じて、俺の目の前で出来上がったしかめ面。
「うっ」
俺の目の前を遮る様に動く影。
今度は俺が、つくしと似たような声を漏らしてた。
いきなり目の前に迫った唇が、俺の唇に触れる感覚。
それも上唇のちょいと上。
・・・ずれてる。
不満といえばそれが少しの不満。
「これで勘弁」
床に靴底を付けて、俺を見上げる顔は、今にも木から落ちる柿の様に真っ赤に熟れている。
つくしの照れすぎた顔を隠す様に、エレベーターの扉が閉まって、狭い空間は俺を乗せたまま上昇し始める。
不意打ちでキスされた。
触れただけの軽いキス。
キスなんて呼べるものじゃない。
唇につくしの残した感触を探す様に親指で触れる。
甘ったるい感覚。
自然にほころんでくる口元。
このくらいのことで喜んでどうする。
ガキじゃねぇぞ。
強がっても・・・
くすぐったい思いが、胸の中で抜け道を探してる。
すぐにでも追いかけて行って、抱きしめて、思い切りキスしたい。
いまさら間に合わねェよな。
そのまま最上階の執務室に足を進めた。
少しぐらい顔が緩んでてもしょうがねェだろッ。
「そろそろ、仕事モードに切り替えてください」
言われなくても、西田の顔を見れば頬の緩みもなくなる。
「今日の予定は?」
いつも繰り返す会話で俺の会社での一日が始まる。
「10時から、会議で・・・・・・・・・」
ずらずらと1秒の無駄もなく埋め尽くされてるスケジュール。
さっきの甘さを思い出す隙間もない。
つーか、一緒のビルの中にいてもつくしと会う暇も・・・ねぇ。
「・・・・・・・となってます」
言い終えて西田の息がピタリと止まる。
それもいつもと変わりない日常。
「何時に終わる?」
「何時に終わりたいのですか?」
いつもなら20時とか、22時とか、返答が返されるはずが、違った。
「つくし様の終業予定は17時ですが・・・・・」
それは俺もつくしの時間に合わせて仕事を終ってもいいということなのか?
驚いていいのか・・・
喜んでいいのか・・・
西田・・・俺は今どんな表情を浮かべればいい?
まて・・・。
落ちつけ!!
ぬか喜びってこともこいつの場合はある。
うっかり信用したら後で後悔ってことも・・・何度となく経験させられた。
「後で、膨大な仕事が待ってるとかねェよな?」
俺はデスクに両手をついて椅子から腰を持ちあげた。
「ありません」
瞼をいったん閉じて真直ぐに俺の視線と合わせて、西田がはっきりとした声でつぶやく。
「来週から長期出張とか?」
西田の前に身を乗り出す俺。
「先週までで海外出張は終わらせてます」
西田は俺から離れる仕草を見せるように背を反らす。
頭一個分の距離が離れた。
「つくしと一緒に帰っていいってことだよな?」
「ご希望のままに」
無表情で口元だけが最小限に動く。
「会議までに目を通していただきたい書類です」
どこに準備してあったのかデスクの上に乗せられた書類の束、約10㎝。
これ・・・
1時間で目を通せる量じゃねーだろう。
『出来ますよね』的な威圧感を西田から感じる。
出来なければ・・・
その後に続く言葉は『つくし様と一緒には帰れません』に、違いない。
俺・・・西田にうまく操られてねェか?
久々の司と西田さんの絡み。
つくしと司の絡みより楽しんでる私がいます。♪
応援のプチもよろしくお願いします。
拍手コメント返礼
Gods&Death 様
衣替えお疲れ様です。
暑かったり寒かったりまだ不安定ですよね。
ドラクエって新しいやつですか?
私もドラクエは好きなんですが、新しいのか買ってないんですよね。
やりだすと何もしたくなくなりますからね。
それが怖い(^_^;)
西田さんの魂胆は坊ちゃんをいかに能率よく働かせるかというところでしょう(笑)
全ては道明寺財閥のため!
いえいえ、ぼっちゃんのしあわせのためにですよ♪
つくしちゃんもしっかり学習しています。