僕らはそれを我慢する 6

「ごめんなさい・・・」

「妊娠したみたいなの」

顔色を無くして震える唇。

秘書にそう告げられたのは、本社の最上階社長室。

秘密の小説の始まりはこんなところでしょうか?

この続きはご想像で♪

って・・・

小説の中で別な小説を考えるって、結構難しいんですよね。

今回は想像でお楽しみ下さい。

それじゃダメですか?(笑)

何時も数話同時行進の私は管理画面で『過去の記事の管理』をクリックしてどのくらいの間隔で書いてないかを確認します。

ただいま順調にUP出来てるのは、「ドッカン !!」「if」「DNA で苦悩する 」の3つでしょうか。

ときどきUPの「僕ら~」と「はぴまり」

最近すすんでないのが「春光の遥か」総ちゃん物語。

じつはこのお話しほぼストーリーは出来上がってるんです。

でも書いてない。忘れてるわけじゃないんですけどね。(^_^;)

話が終ったら続きを書こうって思ってるのに終わったらすぐまた別のつかつく物語にのめり込んでしまってます。

年を越しそうな予感。

茶道の家元の奥様が外国人でいろんな苦難を乗り越えて~って設定考えてたんですがすっかり外れちゃってます。

総ちゃんとジュリアは頭の片隅に覚えておいてくださいね。

まだこの二人がどうなるかは未定です。

*

「奥様がお見えです」

秘書にそう告げられたのは10分前。

書類にペンをはしらせながら部屋のドアがノックされるのを待つ。

文字を読むのも気が漫ろ。

チラリと書類から外した視線が一ノ瀬とぶつかった。

クスッと嬉しそうな一ノ瀬。

「落ちつきもなく女性を待つ社長も好きですよ」

一ノ瀬が言うと好きって言葉もかわいいって言われてるようなものだ。

中学の頃に戻ったような気分。

子供の頃から俺を知ってる一ノ瀬が秘書っていうのはここが難点。

忘れたころに子ども扱いされる。

しかし・・・

遅くないか?

直通でエレベーターに乗り込めばもう俺の目の前に葵がいてもおかしくない。

迷ったか?

んなわけあるか。

結婚式を挙げる前まで自分が勤めていた会社だ。

同僚につかまった?

これが一番妥当な解釈。

結婚式を挙げた南の島でお土産って色々選んでたもんな。

ブランド品じゃなく南の島の雰囲気そのままの店先に並んでるやつ。

「そんなガラクタどうするんだ?」

「お土産に決まってるでしょ。あとはチョコレートとかナッツとかね。人数が多いとお菓子がいいのよね」

お土産が日本円で一個数百円で済むものだと初めて知った。

その感覚は新鮮。

今ごろ葵が買ってきたお土産で盛り上がっているのだろうか?

俺とのことはどう話してるんだろう。

新婚生活は楽しいとか、幸せとか・・・

もう一度結婚式するかもしれないって話題は上がってねえよな?

バン!

ノックもなく大きな音をたてて開いたドア。

ズンズンと俺の目の前に迫る葵。

・・・怒ってる。

不機嫌な表情が俺の目の前で大きく一つ息を吐いた。

そして・・・

うるっとした瞳が俺を見つめる。

涙・・・

怒って、泣いてって・・・

感情変わり過ぎだろう。

「どうした?」

親指で今にも葵の目じりから零れ落ちそうな涙をすくった。

「これ読んだら、そんなに落ち着いてはいられないんだから」

拗ねたような声で胸元にクッと押し付けられたA4サイズの白い用紙。

横書きで並ぶ文章が見えた。

「なんだ?」

「前も、あったよね。オフィスラブとかなんとかって社員に読まれていた小説」

それは・・・

随分前の様な気がした。

実際は1年程度前の話。

葵と付き会いだした頃、突然PCに送信されたメール。

出来立ての今年最大のトピックス!スクープ!

最初の1章が赤い大文字で始まっていた。

『事件は会社近くの飲食店で起こった。

突然現れたのはわが社の社長 美作あきら氏。

告白の相手は 秘書嬢』

俺たちが付きあってるって会社中に知れ渡った。

そのメールの最後に書かれたアドレス。

クリックで現れた画面にはフェエクションのはずの素人の書いたはずのものがたり。

恋はここから生まれた・・・

結婚なんて不幸な契約にサインする気はさらさらない。

長身でスタイルのいい美人と気軽に一夜を楽しめたらそれでいい。

モデル並みの容姿でほほ笑んで女性を悩殺する若き経営者。

その相手は数知れず。

若社長が連れ歩いていた入れ替わる数多の美女の姿を見なくなったの半年前。

ある日の会社の昼下がり

すれ違いざまに触れ合う肩。

Tは持っていた書類を両手でギュッと抱きしめた。

触れ合ったというにはあまりにもわずかな接点。

それでもドクンと心臓が音を立てる。

「なに意識してる?」

彼女の反応を見抜いたようにMが耳元で小さく息を漏らす。

壁にTの華奢な体を押し付けるように抑え込んだ肩。

その横には部屋に通じるドア。

迷いなくMは腕をドアノブに延ばす。

ガチャッと開いたドアから誰もいない会議室へとTを押し込んだ。

「・・・仕事できなくなる」

抗うつもりでつぶやいた声は抵抗にならない甘えた声。』

モリーに落として葵には内緒で持っているこの小説。

デスクの引き出しの奥に隠してる。

スムーズに思いのままに秘書を翻弄する小説の中の俺が羨ましく感じたものだ。

葵を手に入られるまでどれだけ苦労したか・・・。

今はそれも懐かしい。

「アレ・・・見た」

小説のことを俺に確かめるように聞いた葵を覚えてる。

握りしめたこぶしを見つめたままの葵の消え入りそうな声。

可愛いとか、抱きしめたいとか、守りたいとか思っていた。

今、目の前の葵は身体の中にエネルギーを補填中の状況に思える。

恥ずかしさより怒りのバロメーターの方が強そうだ。

「週刊誌の妊娠を盾に結婚を迫ったって噂のもとはこれだったんだからねッ」

え?

なんで?

そうなった?

どこから社内限定の小説が漏れるんだ。

「別に気にするな」

なんて言えそうもない。

今は葵より小説の方が気になるって言ったら・・・。

泣くだろうな。

それでもやっぱり小説が気になって、葵から渡された用紙に視線を落とした。

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拍手コメント返礼

hanairo 様

一気読みで6話まで、有難うございます♪

嬉しいです!

御疲れ様でした。

続編はまた来週♪

・・・いや・・・今週中には・・・