DNA で苦悩する 12

今日のDNAのお話はコーヒーブレイクタイム♪

駿君にはちょっとお休みしていただいて(^_^;)

そんなお話をお届け~~~~~。

*

「おい、見ろよ」

「なかなかの美人だよな」

「駿の好みって俺と一緒かも」

総二郎があきらに視線で人のざわめきから少し外れたカーテンの側を示す。

「まだ、早ェよ」

駿が隠れるようにホテルの従業員の腕を取るのが見えた。

すらりとした長身。

煌びやかな若い女性たちの中にいても輝きは人目を引く存在。

成長期の駿と並んでも見劣りしない。

抱きしめるのもキスするのも俺とつくしくらいの身長差の方がいいんだぞ。

「司が目覚めるのが遅かっただけじゃん」

総二郎の言葉に口に当てたグラスの中にゲホッと息を吹き出しそうになった。

それは媚を売るタイプの女がうっとうしかっただけのこと。

わざと相手にしなかっただけだ。

初めて好きになった女と一生一緒にいられるほど幸せなことはない。

道明寺司としてじゃなく家柄にも財産にもとらわれず俺を俺として好きになってくれた初めてのやつ。

俺を怖がらずに立ち向かってきたのもつくしが初めてで・・・。

キスも・・・

抱きあったのも・・・

100年先まで愛してるって思える相手で・・・

あ・・・

恋愛だけじゃなく、刃向ってきたのもはじめてはつくしか。

なぜか甘い記憶の中でもそこは削除できない鮮烈さがいまだに残る。

「司のはじめては全部牧野だもんな」

ニンマリとあきらがつぶやく。

「悪かったな!こいつも全部俺が初めて・・・だ・・・」

俺の横に立つつくしに睨まれて口をつぐむ。

もう一歩のところで向う脛をけられてた。

いまだに凶暴。

「初恋は俺だけどね」

柔らかい笑みを浮かべてつくしを見てる。

類っ!・・・。

てめっ!

視線が類と合わさってほんのりと頬を染めるつくし。

いまだにそんな反応するなッ。

「ムッとしない」

いまさらあきらの慰めは必要なし。

「こんなこと事くらいで誰がッ」

「十分にふて腐れてるって思うけど。いい加減にしてよね」

スルリと伸びてきた腕は俺の左腕に回される。

やんわりと腕に感じる柔らかな胸の感触。

それだけでわずかに上がっていた口角が下がる。

「牧野にはかなわないよな」

総二郎のニンマリとした声が聞こえた。

「司の扱い方は一品だね」

類までクスッと頬を緩めてる。

俺のことじゃなく話題は駿だったろうがぁーーー。

俺たちの側を通り過ぎようとする翼に気が付いた俺。

ちょうどいい。

ガシッと俺たちを無視して通り過ぎようとした翼を掴まえる。

誰が逃がすか。

このままこいつらに俺で遊ばれるのはごめんだ。

「駿はなにやってんだ?」

「ジュース飲んでたけど」

「そうじゃねェよ。珍しくことしてただろう?」

パーティーに来てる若い女性にも興味なさそうな態度の駿。

俺の高校時代の似たり寄ったり。

威嚇はしてねェけど。

そんな駿が自分から女性に話しかけるってほとんど見たことがない。

あくまでも道明寺家の一員としての枠からはみ出さないって態度を崩さない真面目さ。

「女の子引きずり込んで何やってんだ?」

「・・・引きずり込んでたわけじゃないと思うけど」

翼がわずかに俺から視線をずらした。

知ってる事を喋ろと目で威嚇。

「同級生なんだって言ってたけど」

シマッタって表情を翼が浮かべる。

翼はお気楽に見えてもこんなところ意外と口が堅い。

これ以上は、なにを聞かれても言わないからって意識が力を入れた唇から見て取れる。

「・・・高校の同級生なんだって言ってた」

さっきまで黙っていたつくしが感心するような表情を見せる。

駿に彼女が出来たらヤダとか嫉妬するとか言っていたやつと同一人物か?

「お前、嫌じゃねェの?」

「なにが?」

「なにって・・・駿に彼女」

「好きな子が出来ない方がおかしくない?」

まあそれはそうだが・・・。

「英徳のわがままお嬢様よりいいじゃない」

「高校生が真面目にバイトしてるってとこもね」

バイトといっても一流ホテルでバイトできるってことはそれなりの身分が保障されてるってことだ。

つくしの高校時代のバイトみたいに生活のためって言う理由じゃないと思う。

「これが舞だったら、司はキレるよな」

さっきからうまそうに料理をぱくついてる舞は未だに無邪気。

その心配は数年はない。

「いきなりなんだ?」

だからまだ余裕が俺にもある。

「駿や翼の場合は冷静でもね・・・」

「生れた時から舞は嫁にやらないって断言してるもんな」

「司、俺の息子の拓はお勧めだぞ」

「誰がやるか!」

ほら言った的な顔が俺の周りに並んだ。

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