If 23

いよいよ感動のあの名場面が~~~~~

感動的には書けるかは、やや疑問が残るところですが・・・

でもね。でもね。でもね。

これで終わりが見えてきた。

終りでテンションが上がる私って・・・

違うことで上げたい・・・(^_^;)

*

シャツを通して触れる息。

胸の中の温もりが幻じゃないって確かめたくて牧野を抱いていた腕に力を込める。

唇の柔らかい感触が喉元に触れた。

少し首を動かせば触れられる。

キスしたい。

それは自然と溢れた思いで邪心じゃない。

これくらい許せよな。

小さく呟いて、合わせた唇。

「んっ・・・」

牧野の唇から漏れた声に慌てて唇を外した。

なにを逃げてんのか。

初めてキスしたわけでもねェのに。

だが・・・

あの時のキスより熱い思いが震えてる気がした。

そろそろ起きろ。

締めつけるように牧野をもう一度抱きしめる。

首筋に触れる規則的な息遣いが、まだ夢の中の牧野を俺に示してる。

昨日も十分寝たんだろうがッ。

俺が眠れたの夜明け前だぞ。

何にもなしで夜を明かすことに慣れるつもりはないからな。

ここだけは未だにうまくいかない。

もし・・・

牧野が疲れてなければ昨晩はいい雰囲気だった。

牧野が足をつらなければやれていた。

熱を出さなきゃ、酔っぱらって寝なけりゃ、西田に邪魔されなければ・・・

今までのもしもを並べて見る。

ありねぇねょな。

悔しさより可笑しさが込みあげてきた。

それは強がりじゃなくて確信できる溢れる想い。

身体のつながりはまだなくても、心は一番深い根っこのところで、子供みたいに安心しきった寝顔を浮かべるこいつとしっかりつながってるはずだから。

誰にも切ることのできない赤い糸で・・・。

ムクッ・・・

衣擦れの音じゃなく枯草とシャツがかすれあう音がわずかに上がる。

腕の重みがとれたと同時に牧野が身体を起こして、慌てて足を正座して俺を見下ろす。

「ごめん・・・、安心しきって寝ちゃったみたいで・・・」

いまさら照れる仲じゃねえだろう。

ほんのりと頬を染める牧野に俺の胸の奥をくすぐる。

「おまえの寝顔を見ながら眠りにつくのも悪くねェ。慣れてるし。」

身体を起こして牧野と向き合った。

「だから、ごめん・・・」

嫌みで言ってんじゃねェよ。

ますます顔を赤らめる牧野を見ながら自然と笑みがこぼれた。

「なぁ、今日一日この島を探索しないか?」

「探索ならしたじゃん」

「いつもバラバラだったろう」

「久し振りだろデートすんの?」

「うん」

屈託のない嬉しそうな笑顔で牧野がうなずいた。

水辺で洗濯。

汚れたシャツを手でごしごしとすり合わせて洗うことを覚えた。

Tシャツをならんで洗っていた牧野が俺から数メートル離れてまたジャバジャバと水面を揺らす。

「何離れてんだよ」

「来ないでッ」

立ち上がった俺に鋭い声が飛んで来た。

「下着洗ってんの。見られたら恥ずかしいでしょう・・・」

ゆっくりと大腿部を上げてそっと地面に降ろす。

来るなって言われて素直に聞く俺じゃねよ。

牧野の下着ってのは興味があるし・・・。

それは表情に出すな!俺!

「これ以上近付いたら逃げるからね」

「俺から逃げられるわけねえだろうが」

バシャッ!

牧野が両手ですくい上げた水が俺の顔面を襲う。

「てめっ」

単純な水のかけあいに楽しげな声が飛び交う。

森の中を追いかけっこして・・・。

鳥の声を音楽にくるくると手を取り合って踊りあった。

シャンプーで互いの髪を洗いあう。

身体の洗いあうのは拒絶されたのが俺として不満。

まださすがに無理か・・・。

夕日の沈みかけた海岸。

海に潜って魚や貝を捕ることも出来るまでになった。

食料確保以外の目的で海で泳ぐのはこの島に来て初めての気がした。

俺の脱いだシャツの横に牧野が座って見つめてるのは俺で・・・

「溺れないでよね」

海から顔を上げるたびに俺を探してる牧野が、ホッとした笑みをこぼす。

こんな穏やかな時の流れを二人で過ごすのは初めてだ。

いつも忙しすぎるぐらいせわしくて、うるさくて、バタバタと過ごしてしまっていた。

慌てしすぎて、牧野を置き去りに一人で突っ走り過ぎていたって今ならわかる。

「ねぇ、ここに来て、どれくらいたったかな?」

白い砂浜に座ったまま俺に聞こえるように牧野が大きく声を上げた。

「1か月くらいか?」

「もっと経ってるでしょ」

その声は悲観的じゃなく今の状況を受けいれて落ち着いてる。

「もう、どれくらいいたか、わかんねぇな」

「日本は、もうすぐ春かなぁ」

「つーか、牧野、卒業式!」

「あっ!」

俺に言われて気が付いたような大声を牧野が上げた。

「すっかり忘れてた。どっちみち、テストも受けてないから、卒業は無理か・・・」

「ちくしょう」

悔しさ満載で海面を叩く。

「卒業式の日に結婚式しようと思ったのにすぎちまったか、もしかして。クソッ!」

水しぶきが上がる奥に見えた牧野は悔しがる俺を嬉しそうに見つめてる。

バカだとか、呑気だとか思ってそうな顔で見んじゃねェよ。

そんな牧野を見て俺も喜んでる。

「ね、ここにいて思うんだけど」

「えっ?」

立ち会って牧野はゆっくりと砂浜を歩く。

俺の付けた足跡の上をなぞる様に一回り小さな足跡をつけていく。

「つらいこと、悲しいことは、二人で分け合って半分になって、楽しい事とかうれしいことは、二人で喜んで二倍になるね」

「そうかもな」

牧野のほころんだ顔が俺を見つめる。

「この島暮らしも、ほんと悪くねェかもしんねェよな。牧野とずっと向き合ってられるし、誰にも邪魔されねえ」

「そう言えば、道明寺の夢ってさ」

嬉しげに俺の声を聞いていた牧野が真顔になって声を張り上げた。

「あっ?」

「道明寺の夢って、なに?」

それはジェットで眠らされる前に牧野が俺に投げかけた質問。

あのまま答えずじまい。

「俺の夢は・・・」

牧野の真剣さに負けない俺の思い。

「もう・・・かなった」

右腕を水平に上げて人差し指はまっすぐに牧野を示す。

「えっ・・・・?」

戸惑いの瞳は俺をじっと見据えたまま。

その瞳の中にもっと映りこむように海の中から浜辺に上がって牧野の前に足を進める。

「愛してる」

「もう絶対、離さない」

両腕で牧野を包み込むように背中に回した。

俺の夢は牧野で・・・ずっと一緒に生きてくこと。

それはプロポーズした時から叶ってるってことだろう?

何言われたのか戸惑っていた牧野の顔が少しずつ俺を受け入れていくよう和らいでいく。

離したくない思いと溢れる愛しさ。

無くさない様に牧野の背中を掌が包み込んでいく。

牧野のすべてを愛しむように片手を牧野の頭に回した。

指先に触れる髪の毛の1本まで大事だって思う。

牧野の腕が俺の思いを受け入れるように少しずつ俺の背中に手が回されていく。

背中に感じる牧野の手のひらから肌に染み入る温もり。

俺以外は、なにもいらないって、牧野の思いに触れてるみたいな感覚が俺を包む。

俺もお前以外はなんにも欲しくない。

もう何も言わなくていい。

言葉では伝わらない確かな思いがあふれてる気がした。

互いの存在を確かめるように・・・

愛しさを感じるままに・・・

俺たちは二人・・・

時間の流れるままに・・・

抱きしめあっていた。

・・・どこで終ろう。

押し倒す雰囲気には流れなかったな(^_^;)

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

ヒロ 様

原作の名シーンをうまく映画に取り入れてるなって思いますよね。

クマにつくしが追いかけられる設定だけはあり得ないでしょうけどね。(笑)

もっと他になかったの~~~~~。

さすがに私もクマは考え付かないなぁ~。

お楽しみいただけてうれしいです。

ゆげ 様

途中を飛ばして23を読んだら・・・

内容全然???になってませんか?(笑)

最初がこうで・・・どうして映画? 的な感じですよね。

シッカリ読んでIfの意味につなげてくださいませ~

なるほどと納得していただけるはずです♪