ドッカン !! 34

ただいまこのお話の落としどころを模索中。

100万回と違ったところを探さなきゃーーーーー。

どうする?

と・・・、もがいております。

私の頭の中の引き出しもからっぽで~~~。

こんな時は新しいお話に逃げたくなるんですよね。

それだけはまだやめよう!

「つかえねェな・・・」

独り言みたいにつぶやいた声。

西田には聞こえていたみたいで、訝しげな表情を100分の1秒だけ俺に向けた。

「うまくいったと思いますが・・・」

そうじゃねぇよ。

仕事のことじゃない!

言いかけた声をそのまま飲み込んで口を閉ざす。

こんな時間まで仕事を入れたお前がつかえねェって言ってるんだ!!!

空の上から見下ろす街の明かり。

輝きはいつにもまして艶やかで・・・。

あいつが見たら喜ぶぞ。

そう思うとかすかに口もに笑みが浮かぶ。

頭の中で浮かべた笑顔に一抹の寂しさ。

本当なら今ごろソファーで並んで座って、もたれ掛かるあいつの髪に指を滑らせて、絡めて。

しょうもないことに微笑み合って喜んで。

ベッドに寝転がって、腕の中に抱きしめて、温もりを感じてるはずで。

見えない何処かでいくつかのカップルが楽しんでるんじゃないかと、知らない相手にまで嫉妬してる金曜日の夜。

会合が終って神戸を出たのは10時過ぎ。

ヘリが地上に降りる頃は屋敷のライトも就床を示す様に必要以外は明かりを落としてる。

ご主人様のお帰りを迎えるにしちゃ寂しいつーか。質素。

だだっ広い芝生の上に丸く着陸を示すセメントの上をヘリのライトだけが明るく照らす。

「週末の仕事はキャンセルしてますから」

目の前の西田を驚きで凝視。

ここから先はなんも予定なし?仕事なし?自由?

西田に食いつきそうになるのを自制。

「土日は暇だってことか?」

「月曜日の朝お迎えに上がります」

西田!

つかえないって言ったことは取り消す。

ヘリを降りて遠くにポツンと見える部屋の明かり。

それは俺たちの部屋で・・・

つくしが自分の居場所を俺に入らせてるみたいで胸の奥が温かくなる。

俺の帰りを待ってるんだよな。

照らしてる部屋の明かりが身体を包み込んでいくようで、いいもんだって初めて思えた。

走りそうになる脚を抑え込んで步く。

息を切らして部屋に行ったら会いたかったってバレバレで・・・。

数時間別れただけで会いたいって思う気持ちがただ漏れで・・・。

もう離れられそうにないって細胞が叫んでる。

カチャッ

ゆっくりと開いたドア。

「おかえり」

声が聞こえた途端に胸の中に閉じ込めた。

「苦しいッ」

「今は黙って抱き締めさせろ」

文句を言いながらも俺の背中に回された腕。

その手の平がギュッと背中を掴んで・・・。

お前も俺に会いたかったんだろ?

つくしの本心が指先から胸の奥に流れ込んできてる。

「おかえり」

もう一度呟いて俺を見上げる漆黒の瞳。

映りこんだ俺はどうしようもなくうれしげな笑みを作ってる。

「食事は?それともお風呂にする?」

「いい湯加減だし、今日は入浴剤もばっちりのバラの香り付き」

こんな出迎えされたことない。

「確かに飢えてるな」

「食事摂ってないの?」

「じゃあ、今すぐ食事の準備」

じゃねぇよ。

獲物は目の前できょろきょろと落ち着きのないやつ。

え?

お?

「ぎゃーーーッ」

キョトンとした顔が俺の肩に担ぎあげられて声を上げた。

「まずは風呂でゆっくり温まってからだ」

「チョッ、私はお風呂入ったから」

ピタッと一瞬止まった動き。

そして俺から逃げるように肩をぬるい力が必死で押す。

両脚をしっかり俺の身体に抑え込んでるんだから逃げようがない。

そのまま進んだ浴室で、浴槽からバシャッと上がる飛沫。

「ひどい・・・」

頭から服のままずぶ濡れのつくしが口を尖らせる。

「これで、同じだろ」

スーツのままで飛び込んで同じようにずぶ濡れで顔を見合わせる。

「スーツが台無しになる」

膨れ面がしょうがないと諦めてクスッと笑った。

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