ドッカン !! 36

おはようございます。

昨日は子どもにせがまれてお昼からポップサーカスを見に行きました。

司なら自分の屋敷の庭に呼んで子供達を喜ばせるんだろうけど。

ステージから飛び出した子犬に卒倒する司を見て見たいとか・・・

サーカスを見ながらもネタを探してる私・・・

なにやってんだろう。

今回のお話はサーカスを見ながら考えていたネタとは関係ありませんが続きからお楽しみください。

濡れてる・・・。

うつぶせのままの肌に、ひんやりとしたシーツの肌触り。

温もりを探す様に腕を伸ばした。

シーツの上をすんなりと両腕が移動して顔の横まで戻る。

邪魔するものがなんもない喪失感。

ベッドは広々と手足を延ばして、緊張を解いてリラックスして自由にできる身体の数少ない安らぎの空間。

誰が言ったんだっけ?

俺は脚の間に細い短めの足を挟んで胸の中に和らかい息遣いを感じながらギュッと身体を小さくしたい。

それが・・・

シーツの波を一人漂う。

もう・・・起きてやがる。

浴室から濡れたままシーツに包まって乱れた痕はつくしの身体の上じゃなくシーツの湿り気の残骸。

もう少し目覚めるまで少しの時間に柔らかな身体を抱き締めて温もりを感じながら細胞が動き出す瞬間を待つ。

一時の幸福な時間を勝手に俺から奪うな!

頭だけを浮かして窓から差し込む太陽の光の眩しさから避けるように部屋の中を目を細めながら見渡す。

薄情な奴は同じフロアーのテーブルの上で本の山に囲まれて頭を抱えてるのが見えた。

「この場合は、この物証じゃだめなのよね・・・」

「こっちの凶器じゃ・・・」

右手を握りしめて振り下ろす動作と独り言。

俺が近付いても気が付く気配なし。

薄めの水色のセーターにスキニーパンツ。

ラフな感じの服装には似合わない殺気だった渋めの表情。

テーブルの上に乱雑に置かれた紙。

刑事ドラマでよく見る現場検証の血なまぐさい写真。

朝っぱらから見る代物じゃねェぞ。

「おい」

「あっ起きた?おはよう」

つくしの頭の中にまだ俺は入り込んでない様に等閑な返事。

朝方のベッドの中で抱きしめる甘い感覚を俺から奪っただけじゃなく無視してんじゃねェよ。

子供の様にむくれた感情を持て余してる。

「お前良く俺を無視できるな。さっきまで俺にしがみついて甘えてたのと偉い違いだ」

「だからでしょう!」

「もう、いろいろやること多いんだから。私は今勉強中なの・・・ッ」

ムッとした感情で俺に食いついた牧野。

その表情が見る間に赤くなってわなわな震えだす。

「服を着ろ―――ッ」

「俺、浴室から裸のままだぞ。お前も似たようなものだったろうが」

風呂の中でじゃれあって・・・

つーか触りまくって、抱きしめあって熱に浮かされた。

ベットに連れて行ってって・・・甘えてきたのはこいつで・・・

脱ぎ捨てたスーツをふんずけながら抱きかかえて二人でベッドに倒れ込んだ。

その朝に目覚めた俺の横で寝息を立てるつくし。

いないってどういう了見だ!

「ベットの横に服、置いてたでしょう!」

「そんなの気がつくか!」

傍にあるのは服に包まれた保温より体温の温もりを身に付けたいって願望があるんだ。

「もう・・・お願いだから服着てよ」

「別にこのままベッドにもう一度・・・イテッ!」

最期まで言わせずに足の脛をガシッと蹴られた。

「あのね、私は研修中なのこの実務研修が終わったらまた修習所に戻って後期の研修が待ってるんだから」

脛を蹴られた痛みが一瞬で引いた。

「お前、今なんて言った?」

「だから研修中だからって」

「その先」

「その先?」

なに聞かれてるのか分からないキョトンとなった表情で返すオウム返しの返答。

じれったい。

「だから、修習所に戻るとかどうとかだ!」

「ああ、実務研修が終わったらもう一度この屋敷から研修所に戻るって言ったこと?」

「お前、意外と呑気だな」

「呑気って・・・最初から分かっていたことだから」

「俺は聞いてねェぞ」

今までいつでもそばいられる状況がまた週に1日か2日しか会えなくなって・・・

今の甘さと側で感じる幸せを味合わせて、それが当たり前になって慣らされてしまってる。

それなのにまた別居って・・・

納得できるか!

そう思っても、俺の思う様にさせない頑固さが目の前のこいつにはある。

「それはあと1か月も先のことだから、今から怒んないでよね」

「怒ってねェよ。不愉快なだけだ」

「どッちも一緒だと思うけど」

クスッと困ったように苦笑する。

伸びてきた指先が髪の乱れを直すように俺の前髪を触れた。

「さすがにもう乾いてるね」

笑顔のまま覗き込んで優しい瞳が俺だけを見つめる。

逃げる様な態度を見せながら俺を誘い込む艶。

その魅力に自覚がないのが唯一の欠点だっていい加減気がつけ。

そのまま椅子からつくしが立ち上がってスタスタと数歩歩く。

「ハイ」

ベットの側から持ってきた服を俺のの手に握らせた。

「それを着たら、一緒にご飯を食べよう、起きるの待ってたんだから」

そう言って照れくさそうに見せる純な微笑み。

「あ~お腹すいたよ」

「ンッ」

頭の上かすっぽりかぶせられたシャツ。

シャツから顔をした俺の目のまで「手がかかる」って文句言いながら嬉しそうに、楽しげな屈託ない笑顔。

こそばゆい感情が俺の口元も緩めてる。

このまま一緒に朝食を摂る気にさせられていた。

大人しく言うことをこの俺が聞いてしまってる。

こいつ・・・

俺の扱い方がうまくなってる気がする。

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

ひつじ 様

そうなんですよね。

長く続ければ続けるほど発想は放出されてしまって(^_^;)

ネタ探しにアンテナ増大中です。

はっきり言って私の一日はこの二次に支配されてる気がします。

楽しんでるんですけどね。

こちらこそこれからもよろしくお願いします。