DNA で苦悩する 23

*

「好きだ」

告白した後で瞬きが多くなった鮎川と瞬きが出来なくなった僕。

戸惑いと照れくささが交差して心臓が口から飛び出そう。

何か言ってくれ!

声は喉の奥に張り付いたままゴクンと唾と一緒に飲み込んだ。

「あっ・・・ごめん・・・」

ほんのりと目の周りを赤らめて俯く鮎川。

ごめん・・・

その声がビブラートをかけて頭の中に鳴り響く。

謝られたってことは・・・

その後に続く言葉は否定形?

「ウソつくな、お前俺に惚れてるだろう」

そこまで僕は自意識過剰にはなれない。

告白したのも初めてで・・・

女の子からフラれたのも初めてで・・・

つーか。

断られる不安を抱えながらその可能性は考えてなかったんだよな。

自分で思ってるよりプライドは意外と高いらしい。

出来れば時間を巻き戻して舞と一緒に帰ればよかった。

僕は何もなかったように鮎川の見える教室で一緒に過ごすなんて出来そうもない。

高校1年の生活はまだ3分の1も終わってない。

「今は誰とも付き合う気がないの」

聞こえた声に思わず空を仰いだ。

「ねッ。聞いてる?」

「え?あっ・・・」

フラれて動揺しないやつはいないって思う。

鮎川はベンチに腰かけたまま僕の袖口をクイクイと引っ張って下から見上げてる。

不安そうな、泣きそうな表情。

泣きたいのは僕のほうだろう?

「ごめん、僕の方こそ唐突に言っちゃって、忘れていいから」

「忘れてって、どういうことよ」

鮎川にしては珍しく声を荒げる。

「付きあう気が無いやつに告白されても迷惑だよね」

「誰もそんなこと言ってない」

すくっと立ち上がった鮎川。

「聞いてなかったんだ」

呟いたまま赤らむ頬。

「えっ?だって誰とも付き合う気が無いって・・・」

そう言ったぞ。

そこまでは間違いなく聞いた。

そこから鮎川の聞いてなかったとつながる過程は因数分解より難しいって思う。

「今までは男の子に告白されても誰とも付き合う気が無いって断っていたから・・・」

「その返事しか準備できてなくて・・・」

「気になる男の子に告白されたの初めてだから、どう返事していいのかわかんなくて、ごめんって言ったの」

ほとんど最後の語尾は聞き取るのがやっとの音域。

「何言ってんだろ・・・私」

独り言のようにつぶやいた消え入りそうな声。

「気になるって・・・」

僕?

人差し指で自分を指してる僕はまだ半信半疑。

ここで違うって言われたらさっきよりどん底に落ち込む。

「二度も言わせないでよね」

ちょっと膨れた頬が「嬉しかった。ありがとう」って、微笑んだ。

これってOKだよな?

いまだに半信半疑。

「よろしくお願いします」

頭を90度下げて頭を下げて手を差し出した。

「それって何の真似?」

差し出した手のひらを鮎川が掴む。

「この前おばあちゃん達と一緒に見てたんだよね。TVでの集団お見合い」

「気に入った女性に告白する時こうやってたの」

「花束持ってないのは許してくれるかな?」

「そんな告白する高校生はいないと思うけどね」

楽しげな声に混じる笑み。

「駿君て、思ったより面白いんだね」

スルリと指先から抜け落ちた鮎川がそのまま駆け出す様に歩き出す。

「まってよ。送るから」

追いかけて並んだ肩。

つなげたい手を拒むように鮎川はカバンを胸に両手で抱え込む。

「ここ数日でいろんなこと有り過ぎた気がする」

「僕の両親に比べたら断然普通だと思うけど」

「なんなのそれ?」

両親の高校時代の話を聞く機会も聞かせる大人も多くてほぼ完ぺきに僕の頭の中に二人の出会いから結婚までインプットされてる。

それはあたかもドラマで見たような鮮やかさ。

「最初、僕の父さん、母さんをいじめてたんだ」

「それって、小学生が自分に興味を引きつけるためにやる、あれ?」

「そっ、それを高校生でやってたんだから」

父さんの単純なちょっかいの前に学生全体で母さんを虐めた赤札の存在。

そのころの父さんは僕から見ても嫌な独裁者だったって思う。

その父さんに一人で立ち向かった母さん。

愛を勝ち取ったのはいったいどっちなのだろう。

「会った時からこいつは俺に惚れてたんだ」

「ウソだよ、一番関わりたくなかった嫌な奴だったんだから」

「嫌だって思うのも好きってことだ」

「なに?その自信」

「そこに惚れてんだろ」

いい加減聞き飽きた、見飽きた二人の会話。

結婚15年を過ぎていまだにアツアツなのは普通じゃないって最近知った。

蒼んチの両親がべたべたしてるの見たことがない。

「自分ちの親がべたついてるの見たくもねェ」

蒼・・・。

それ・・・言えない。

僕らは小さいころからそれを見てるから当たり前の環境になってるみたいだ。

鮎川を送る帰り道、僕らは自分たちの話より父さんと母さんの付き合い始めたころの話で盛り上がった。

ばれたら・・・

母さんはしっかり怒るだろうな。

まっ、いいか。

今は幸せなんだから。

舞ちゃん蒼君はどうなってるのだろう・・・

そろそろ道明寺邸到着♪のはず・・・

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

ココちゃん 様

またまた情報有難うございます。

早速覗いてみます。

真央ちゃん新しい映画の撮影始まってるみたいですね。

今度のも面白そう。

ゆっちゃん様

二人のデート♪

今の高校生のデート事情誰か教えて~

おかゆ

駿君ひやかされてますよ~。

ヒューヒュー~♪

ここで一番の貧乏くじは蒼君かな(^_^;)

プンちゃんのママ 様

カウンターいつの間にか500万越してました♪

いつもありがとうございます。

記念何も考えてなかった・・・(^_^;)

胸キュンの恋愛♪

つかつくじゃ描けなかった普通の恋愛にデートさせてみたいなって思っちゃってます。