ドッカン !! 38

家出♪ 家出♪ 家出をしたつくしちゃん♪

追いかけて連れ戻せるのか司君♪

なぜか楽しくなってる私。

鼻歌混じりになるのはなぜだろう・・・

私と同じ気持ちになってる方は挙手をお願いしま~す .

『実家に帰らせていただきます』

ファツクスから送られてきたと西田がデスクの上にスルリと差し出した。

「なんだこれ」

俺に関係あるのかよ。

ただ一行殴り書きで書かれたサインペンの文字。

サインも何もなし。

俺にこんなもんを送ってくるやつは誰もいないはずだ。

「つくし様の直筆だと思いますが・・・」

はっ?

紙を取って食い入る様に眺めた。

それも西田の顔と紙を交互に見つめて・・・。

意味がわかんねえェッ!

「どういう意味だ?」

「普通、夫婦喧嘩のはてに怒って、もう別れてやる!という気持ちで家を飛び出す時の捨て台詞です」

「良かったですよ、離婚届は送られてませんから」

全然よくねェだろうがぁぁぁぁぁ。

一人で落ち着き払ってんじゃねェよ。

「別にケンカも何もしてねえぞ」

俺の言葉に小さく短めに西田がため息を漏らす。

「後期の司法修習の件だと思いますが」

「ヘリで通えって提案しただけだぞ」

「あれは提案じゃなく強要です」

「ヘリで通えると言ったのはお前だろうがぁ」

「私は代表に聞かれたから言ったまでのこと、後は勝手に代表がつくし様に・・・」

こうなるって最初から分かってました的な澄ました表情を西田が見せる。

「何とかしろ」

「何とかしろと言われましても、夫婦喧嘩は犬も食わぬと申しまして、当人同士で対処された方がよろしかと思います」

珍しく関わりを持ちませんと俺を突き放す態度を西田が見せる。

相変らず何を考えてるか分からないやつだ。

何時も何かしら先回りして手を打ってるんじゃねえのか?

クソッ。

たまには感情を表情で示せ!

「もう、おまえには頼まねェよ」

ムカッとしたまま声を喉の奥から絞り出した。

「夕方からのスケジュールは白紙しておきましたので心置きなくどうぞ」

そういうところは抜け目なく用意周到。

「気にするな。勝手に出ていくならほっとけばいい。仕事を抜ける必要はない」

言えるかッ!

余裕の笑顔を見せられるほど俺はつくしの行動を予測できないでいる。

「帰らない」

言い出したら・・・

やべぇぞ。

あいつはてこでも動かなくなる強情さ持ってるもんな。

俺にたてつく一番厄介なやつ。

言いなりになる女じゃねェし・・・。

そこにも惚れてるから俺も厄介。

目の前で頭を下げる西田の上をくしゃくしゃに丸めたファツクスの用紙が通り過ぎてポチャと床に転がる。

俺の投げた紙にわざと自分から当たる位の配慮くらいしろ!

ムカつく勢いのままに椅子にドンと腰を下ろした。

のんびりしてる場合じゃなかった。

「おいッ!」

つくしの居るはずの事務所のドアを跳ね上げるように開ける。

目の前でビクッと背中をびくつかせたのは甲斐。

「どうしたんですか?」

頬が引きつらせて強張る表情。

怒鳴り散らす一歩手前で良く見んだよ、その表情を浮かべるやつ。

「お前、知ってんだろう?」

「なにをですか?」

甲斐の頬が俺の目の前でヒクつく。

「つくしはどこだ?」

「仕事で玲子さんと外回りですよ」

甲斐の言葉を聞いて携帯を取り出してボタンを押した。

???

つながったと同時に聞こえてきた着信音。

近くで聞こえてきた。

それはつくしのデスク。

あいつ隠れてるのか?

思わずガバッとデスクの下を覗き込む。

いない・・・

頭の上から聞こえる音。

開けた引き出しの中で俺の携帯と同期してつくしの携帯が振動でブルってた。

あいつ・・・

わざと置いて行ったな!

「甲斐」

「ハイ」

一気に甲斐が椅子から直立に立ち上がって固まった。

「松山と一緒って言ったよな?」

「そんなこと・・・言いましたっけ・・・」

睨んだ俺の視線から外れるように甲斐の視線が斜め上に動く。

「携帯番号教えろ」

甲斐が返事をする前にポケットから勝手に探って携帯を奪う。

「ププライバシーの侵害ですよ」

弁護士にしてはちゃちな事を言う。

これも本来なら軽犯罪だろうが。

強盗になんのか?

玲子さんと表示されたボタンを押す。

「甲斐君、なに?」

聞こえた声。

「そこにつくしがいるよな?」

「あっ・・・」っと聞こえたまま反応が消えた。

「いるんだろ、出せ」

携帯を目の前に怒鳴る様に腹の底から声が出る。

「つくしちゃん・・・代表からだけど・・・」

「もう、ばれたんですか!」

二人のやり取りが小さく携帯から漏れて聞こえる。

「どこにいるんだ!」

「探すな!」

つくしの声が聞こえて切れた携帯。

もう一度ボタンを押しても無機質な再生の声だけが響く。

「おかけになった番号は・・・」

あいつ・・・電源切りやがった!

バキッ!!

「あっ・・・それ・・・俺の携帯・・・」

真っ二つに折れた携帯を甲斐に投げ渡した。

この物語の番外編西田さんの観察日記もUpしてます。

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拍手コメント返礼

匿名様

ぶんぶん振り回しての挙手ありがとうございます。

悪魔のしっぽまでブルブルと♪

それは思い切り司君に頑張ってもらわないといけませんね(笑)

rui様

きゃーーーー

お久しぶりにお名前を拝見できてうれしぢッ。

挙手ありがとうございます♪

ドS倶楽部健在ですね。(笑)

かえまま様

これだけけ西田さんが絡んでくると日記見たくなりますよね。

最近書いてなかったしな・・・(^_^;)

おかゆ

司君を応援してるのか・・・遊んでるのか・・・

その割合が難しいですよね(笑)

アーティーチョーク 様

これ以上登場人物が出てくるとややこしくなりそうで~(笑)

シンプルにまとめてしまいたいの~~~~。

つくしの行き先はどこに行ってもきっと司の野生の感で見つかりそうな気がします。

甲斐君の携帯どうなったんでしょうね。

久々に甲斐君の日記がかきたくなっちゃいましたよ。