Perfect dungeon 10

アラビアのロレンス。はたまたハーレクインのシーク。

どちらでも似合いそうな司君を想像してます。

そして日本にマリクとやってくる司君。

どんな再会をつくしと果たすのか!

気になるのはそこですよね。

どんな対面になる?

つくしに泣かせて抱きつかせる!

怒ったつくしに蹴りを入れらる司!

どっちがご希望でしょうか?

どっちでいこうかなと思案中

*

「つくしさんにも手伝ってもらいたいのだけど」

肘をデスクについ交互に組まれた左右の指先。

隠された口もと。

瞳はまっすぐに有無を言わせない強さを秘めて私を見つめる。

さっきの私は良く大声を上げられたものだ。

私が手伝えることってなに?

背中にピンと緊張が走る。

「司のことが外に漏れないようにする事も大事ですが、万一のためにつくしさんには司の婚約者としてふるまってもらいたいの」

「誰にも、足もとをすくわれないようにするために」

まったくお母様の意図とするところが分らない。

不安なままに説明を仰ぐように花沢類を見つめてた。

「牧野が司の婚約者としてにこやかに公にふるまえば、司が出張先に姿を現さなくても誰も不審に思われないって事じゃないのかな?」

「時間が稼げるってことか?」

花沢類の言葉に納得したような表情を美作さんが浮かべた。

頑張るしかないよな。

司が帰ってくるのを信じて。

道明寺が無事だってみんなが信じてる無言の声が心に響く。

信じてるのに泣きたくなる。

お母様が言う様に私は自分の役割を演じられるのだろか?

不安な気持ちを隠して笑顔で過ごすなんてことにどれだけたえてられるのだろう。

分かんないよ。

「泣いてるの似合わねェぞ」

「笑えよ」

道明寺の声が聞こえた気がした。

だからって、数日後のすぐに夜のパーティーに出席て・・・

いきなりすぎる。

お母様の横に着飾られた私。

頭の先から爪の先まで細かく扱われて変身させられた。

ストレートの髪は軽く毛先をカールされアップ。

露出した耳には輝くダイヤのイヤリング。

耳が重い。

首元に輝くネックレスもひんやりとした石の冷たさ。

道明寺が私の隣りにいたら絶対に着せないであろう背中のあいたミントグーリンのドレス。

年令より幼なく見られる私が大人っぽく窓ガラスに映し出されてる。

ここまで豪華にされるのが道明寺の婚約者としての役割なのだろうか?

緊急事態じゃなきゃ絶対断る。

道明寺のためだって思うからこわばりそうな頬に無理して笑顔を作ってる。

流れる優雅な音楽も外には漏れないような広大な屋敷。

道明寺フォールディングスが提携を結ぼうとしてるのは中東のある王室。

提携相手の大物が来日したってことで招待されたのがその大使館。

豪華な屋敷は道明寺の屋敷で見慣れているがさすがは大使館だって思える広大さ。

会場に案内される前にお母様と離れてスッカリと迷ってしまった。

金持ちの屋敷ってなんで無駄に広いんだッ。

「パーティーは、プールサイドでやっているが」

突然聞こえた男性の声にドア口で足を止めた。

開きかけた部屋のドアからわずかに漏れる薄い明りが足元を照らす。

それ以外は光のない薄暗い廊下。

ドアノブをきつく握って閉めながら彷徨う視線。

冷たくて、威圧的で、少しぶっきらぼうな口調。

うそ・・・

この声・・・

どう・・・みょうじ・・・?

こんなところに道明寺がいるわけがないのに、会いたい思いが幻聴まで聞かせてるのか。

違っていたら無駄に落ち込むのに、幻でもいいからもう一度声を聞いて確かめたい。

「プールサイドまで案内してもらえますか?」

ごくりと飲み込んだ唾液が喉に張り付いてうまく声が出ない気がした。

「私が案内します」

腰を折って頭を下げたのはダークスーツを身にまとった道明寺の声とは全く違う落ち着きのある低い声。

私の聞きたい声の主は数メートル先でマントを翻して背中を向けて顔が見えない。

長身の細身でコツコツと規則的に鳴らす靴音。

背中から感じるオーラは、なにものも寄せ付けない威厳を放つ。

並ぶように横から現れた人影が私に声をかけたはずの相手の肩に手を置く。

「あの二人は誰ですか?」

「我が国の王子です」

私にちらりと向けられた視線。

窓辺から差し込む月光が優しい微笑みを映し出す。

日本人じゃない彫りの深い風貌。

褐色の肌に見惚れるには十分すぎる品のある整った顔立ち。

王子ということはあの二人は兄弟なのかな?

それなら顔が見えなくても道明寺であるはずがない。

道明寺じゃなかった。

道明寺と似てるってそう思った自分にも呆れるが、王子様に声をかけてしまったって失態はマイナスにならないだろうか。

声も、後ろ姿の雰囲気が、道明寺にそっくりって出来過ぎでしょ!

私を襲ったこの喪失感はどこに持っていけばいいのだろう。

最初からこの場所で会えるはずもない相手にどれだけ希望を持っていたのか。

行方不明の飛行機に無事を願うより可能性が高いって思えたんだもの。

それでもあきらめきれないみたいに、二人の姿を目が追ってしまっていた。

もう一度、一度だけでいいから声が聴きたい。

お楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

aimi 様

何時も蹴りを入れて怒るつくしが、泣きながら抱きついてきたら司君はどんな反応を見せるのでしょう。

考えただけでキュンとなっちゃいそうですね。

実写版が見たい感じがする~~~~~~~ッ。

そこまでに行くのはまだまだですけどね。