St. Valentine's day (つくし 20 years)

以前 に書いた 『St. Valentine's Day 1(司 20years)』のお話。

この話分岐してしまったんですよね。

つくしも書いてみようと思い立ちUP。

『St. Valentine's Day 1(司 20years)』とは全くの別物です。

今回ちょこちょことこの記事を手直しをしてます。

読み返すたびに書き直すのは久しぶりだ~。

午前中に読んでもらってる方には申し訳ないです。(^_^;)

あっ!ブログ村の記事でこのお話が22時現在で1位です。

記事で1位を取るのは久しぶりでブログランキングで1位を取るよりうれしいッ。

この時間にブログを見てる私も珍しい・・・

*

「お前、俺に渡すもんあるだろう」

傲慢に上から目線で聞こえてきた声。

次に投げかけようとした言葉を呆れて飲み込んだ。

今までケンカして!

言いあって!

訳のわからない嫉妬で責められて!

友チョコを渡したぐらいで浮気って責めるなッ!

バレンタインで準備したチョコの箱がコートのポケットの中でぐしゃりと音をたてた。

道明寺のだけは・・・

特別に時間をかけて作った手作りのクッキーでかたどった道明寺の顔。

クルクルに髪の毛を描いたチョコ。

作るたびに少しづづおいしくなってるって我ながら思う。

クッキーを眺める道明寺の瞳は優しくなって・・・

クッキーを口に運んで照れくさそうに「うまい」って言ってくれる、道明寺の表情が見たくて・・・

私をうれしくさせてくれるから・・・。

だから、今年も一生懸命作ったのにッ!

友チョコを渡したのは花沢類に西門さんに美作さんの3人。

道明寺に会う前の数分前、同じ包み紙に同じ色のリボン。

シッカリ道明寺のチョコとは分けてるんだから。

「なに渡してんだッ」

3人ににこやかに明るく渡してるところで、道明寺が最終ダンジョンの凶悪なボスキャラの形相で出現。

「見ればわかるでしょ。いつもお世話になってますのチョコ・・・」

言い終わる前に道明寺が見えなくなった。

私の視線を遮る様に私の前に立つ西門さん。

「牧野にもらったチョコなら大事に食べなきゃな」

「ほかの女性からもらったチョコより貴重だよな」

西門さんの言葉におぶさる様に美作さんが言葉を上乗せさせる。

この二人は、モオッ!!!

何時もの道明寺をからかう態度に出た。

「ほかの子から受け取らないけど牧野からだと嬉しいよ」

虹色が雨上がりの青空にかかるようなすがすがしい花沢類の微笑み。

一瞬道明寺の不機嫌な表情を忘れそうになった。

「牧野、おまえなッ!なんで俺よりこいつらが先なんだ!」

「だって先に会ったから」

それ以外の理由があるか?

道明寺と会ったらその後は二人一緒に過ごすわけで、花沢類たちに今日中にチョコを渡す時間なんてできなくなるじゃないか。

最初に渡して後は道明寺と二人っきりで過ごす。

この方が理にかなってるって思う。

道明寺の不機嫌の理由は自分が先にもらえなかったことへの不満。

最近は大体の道明寺の思考の過程が分かってきてる。

なのにうまくあしらえなくてケンカになるんだよね。

「俺ら、巻き込まれるのごめんだから、後は勝手にやってくれ」

「ちょっ!」

道明寺の不機嫌を増長させたまま3人が消えた。

「帰る」

「帰るじゃねえだろう」

くるりと背中を向けた私の肩を道明寺の腕が掴んだ。

強引に身体の向きを180度戻される。

「むくれてる道明寺に用事はないから帰る」

ここから最初の「渡すもんがあるだろう」の言葉につながる。

あっ・・・

ポケットの中の手の握力を緩めても遅い。

何枚かは形が残ってるだろうか・・・。

「とに、道明寺といると疲れる」

「俺の方がどんだけ疲れると思ってんだ」

「つーか、これ以上イラつかせるな」

我儘と横柄さの顔にムカついてきた。

イラつくのは私の方だ。

「カップルが分れる理由の一つってなんだか知ってる?!」

道明寺の性格からすれば好かれるより嫌われる確率の方が絶対高い。

嫌われるより恐れられるがぴったしくる。

手のかかる、ややこしい性格なんだから!!!

「そんなもん今さらだろう」

あーーーッ

人を馬鹿にしたようなドヤ顔になった。

鼻で笑うなッ。

「俺とお前の違いは最初からわかってただろ、生活の不一致」

確かに生まれも育ちも雲泥の差のある私たち。

財布の中に硬貨しかなかった日々を過ごした私と、お札の束に囲まれて硬貨を見たことがないような生活の道明寺。

だからって、それじゃない!

違う!

性格の不一致だーーーーーッ!

自信満々に言って満足気な表情を浮かべて道明寺がニンマリとなる。

ムカッとしていた気持ちの数本が毛抜きで抜かれていくような気分。

もう・・・

本当に・・・

バカなんだから。

情けない思いに目じりが下がりそう。

生活も性格も全然違う二人だけど分かり合えることはたくさんある。

これまでも、これからも。

クールで冷静でカリスマ性は抜群で、その上に人を魅了する容姿。

傲慢で横暴で、自信過剰の俺様で迫るくせにちょっと抜けてるとこがある道明寺。

一途に向けられる愛情はどうしようもなく私を束縛しようとして特大の我儘を見せる。

それでも、ヤッパリ道明寺が好きなんだって気持ちは変わりようがない。

「お前、俺と別れるつもりか?」

吊り上った眉が力なく垂れて眉間に寄って私を見つめる。

動揺した道明寺の表情は、私に甘えてくる子犬みたいで弱い。

「道明寺が怒るからチョコの箱に八つ当たりしたじゃない」

ポケットから取り出した箱は少し中心がよれてリボンがよじれてしまってた。

「こんな、汚い箱のバレンタインのチョコを俺に渡すのお前くらいのもんだよな」

「要らなきゃいい」

ひっこめかけたの手首をギュッと道明寺の指が掴む。

「これは、俺のだ」

片方の手で箱をとり上がられた。

「やらない」

飛びあがってチョコを取り返そうとする私。

長身は背伸びをして手を空に高く付き上げる。

私との身長差どのくらいあると思ってんのよ!

優しくない。

届くはずのない高さの箱を追って息が上がる。

体力の限界で道明寺の胸にすがる様に落ちた。

「来年は、俺以外にバランタインのチョコやるんじゃねェぞ」

道明寺の腕が背中に回ってわずかに道明寺が丸まって私を抱きしめる。

耳元で聞こえた声は甘く甘えるように私をくすぐった。

バランじゃなくてバレンだから。

本当にしょうがない。

別れるのかって戸惑ったままの声が耳に残る。

少しはドキリとした?

意地でも離さないって、強く強く抱きしめられてしまってる。

なんとか動かせる両腕を道明寺の背中にまわしてみた。

私を抱く道明寺の力が揺らいで優しくなった。

・・・

・・・・

・・・・・・・

そんな・・・

道明寺が・・・  スキ・・・

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拍手コメント返礼

やなぎ様

手作りに目を輝かせるのは娘で、手伝わされました。

誰にやるのかと思ったら自分用・・・

上げたい男の子はいないみたいでした。

考えたら手作りチョコを私も上げたことないなぁ(^_^;)

まめすけ様

なんだかんだと言いあっても結局チョコより甘いですよね。(笑)

途中で喧嘩別れさせてまうか!と思いながらお話を仕上げました。 ← 司に意地悪したくなる症候群。

リクは密かに温めておきますね♪

おかゆ

司君に面と向かって言ってあげなきゃ♪

無理でしょうけど・・・。