パズルゲーム 5

ひさびさに類君が絡んでくるお話。

テンションが上がるんですよね。

ここからどうなる?

「借りてきたネコ」

「いつもの牧野でいいから」

コッチが照れくさくなるようなほほえみを浮かべてテーブルを挟んで花沢類がソファーに座る。

ノックの後で開くドア。

先ほどの秘書の女性がコーヒーを運んで目の前に置く。

チラリと私に向けられた視線に好意の色は全く見えない。

観察する遠慮ない視線。

こんな視線には慣れてる。

私の方が上!的な優位な笑み。

F4と一緒にいたら嫌でも慣らされる。

「この子コーヒーはダメだからジュースに変えて」

ヒャーッ

道明寺とはまた違った冷たい声。

興味がないものには全く無表情の低音域。

道明寺の場合はギクッとなるが、花沢類の場合はピタリっと他人をシャットアウトして自分に寄せ付けない冷たさがある。

「コーヒでも大丈夫だから」

コーヒーの苦さが楽しめるほどコーヒーの味に慣れてない私。

それに気が付いてくれてる花沢類の気遣い。

私がニガッってコーヒーを飲んで顔を顰めても道明寺の場合は「ガキだな」って笑うだけ。

今でも私のことを気にかけてくれる優しさを見せる花沢類。

心の中が温かくなるのはしょうがないって思う。

「大人ぶらなくてもいいから」

花沢類はあくまでも私を高校生として扱うつもりだ。

「背伸びしたがる年頃だもんなぁ」

ポンポンと頭の頭上を花沢類の手のひらが置かれる。

高校生よりもっと年下を扱うような態度。

思わず首を引っ込めて頭の上に花沢類の手のひらの重みを感じてる。

どんな反応すればいいのよっ!

「わかりました。すぐにお持ちします」

目の前のコーヒーをトレーに戻す指先がブルブルと震えて頬をヒクヒクさせてる彼女が見えた。

コツコツと大きくひびくハイヒールの音は完璧に感情を外野に放出してる。

「あの秘書の人って・・・花沢類のこと好きなんじゃないの?」

「牧野でも気が付くんだ」

上半身をまえにつきだして指先を組んでテーブルに花沢類が肘を付いた。

私の目線の位置で花沢類の視線とぶつかる。

「親族が手を回して秘書になったんだけど、どうやら俺の相手らしい」

「俺が知ってるとは気が付いてないみたいだけどね」

悪戯っぽくクスッと花沢類の口元が緩む。

「あきらの結婚相手が秘書だったろう。だから今度は俺にもって、安易だと思わない?」

美作さんと葵さんの結婚へのいきさつは社長と秘書というだけのものじゃない。

あの時も私は美作さんが付きあっていた女性と別れるために恋人の役をやった。

F4に振り回されるのは私の運命なのだろうか。

「だったら、普通に恋人役で高校生の設定なんていらないんじゃない?」

22歳の社会人1年目で何の問題もないって思う。

「高校生なら大学卒業するまで結婚を待つと理由が付けられるでしょ。

あと数年は結婚の話を持ち出せなくさせることが出来る」

確かにそう言う設定ができなくもない。

ということは私は数年花沢類のウソに付きあうってことか?

眉を寄せるしわが深くなる。

それって絶対無理。

隠す相手が道明寺だけで済まなくなる。

あいつが帰ってくれば否応なしに公の場所に道明寺夫妻で登場の機会は多くなるわけで・・・

ウソがばれる確率は大幅に上がる。

「心配しないで、あの秘書を追い払えばいいだけだから」

私の考えを見通す知的な輝きを見せる瞳。

心配いらないと言われてる安心感がほんのりと私を包み込む。

花沢類が私と道明寺がぎくしゃくする様な行動をとるはずはないんだよね。

花沢類はあの秘書を追い払いたいだけなんだ。

初日の今日だけでも効果は有ったって私にもわかる。

無言で挑戦状をたたきつけられるような目つき。

コーヒーの代わりに運ばれたジュースに毒が盛られてる気がした。

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拍手コメント返礼

まめすけ 様

どうして類の相手が秘書?

ヒントは最初のお話に実は書いていたんですよ~。

「あきらに頼まれた時は引き受けたんだよね?」この、類君のセリフです。

これで気が付いた方はいないでしょうけど(^_^;)

類君の冷たさは司以上にダメージが大きい気がしてます。

音ちゃん 様

初コメありがとうございます。

他人には冷たくつくしちゃんだけには優しい類クン。

好物なの良くわかります。(笑)

だから司も気が気じゃないとなる。

司ファミリーのお話もぼちぼちと更新していきますのでお見逃しなく。