Perfect dungeon 26

このまますれ違ったままだったら・・・どうなる?

妊娠騒動でのお話は『From one's heart 』でも書いてますが、あの時とは状況が違いますからね。

司君の反応をどうするか・・・

そこが問題~(^_^;) 

番外編西田さん日記 も、Up中

*

くずれるように胸の中に落ちた身体。

やっと気が付いたか。

遅せーよ。

と思った俺の喜びは一瞬で崩れ去る。

グッと落ち込んでくる牧野を慌てて腕が押さえる。

完璧に体重を乗せられた重くなる腕の重み。

ガクリトと落ちた頭・・・。

これって俺に気が付いて抱きついたんじゃなく・・・。

気を失ってる?

「牧野!!」

床に片足を付いた俺は牧野の身体を膝の上に抱き上げて揺さぶった。

唇に頬を寄せて息を確かめる。

少し上気した頬。

唇のふっくらとした色合いにホッと胸をなでおろして見つめる。

唇が俺の名を呼んだ気がした。

つよく抱きしめすぎたか?

あのくらいで普通気を失うか?

「道明寺のバカ力!手加減なしなんだから」

目が覚めたら元気に毒ずくこいつが想像できる。

起きてなくても、声が聞けなくても、側で触れ合えるだけで心が潤う感覚。

俺を幸せな気分にさせる唯一無二の存在。

正体を隠して良くここまで持ったもんだよな。

この部屋に入って来た牧野を見て気持ちを抑えられずに抱きしめていた。

自分でも呆れるほどこいつに飢えている。

「どうかしましたか?」

異常な気配をすぐさま察知したように西田が扉を開ける。。

扉の前で聞き耳をたててたんじゃないかと勘繰りたくなるようなタイミング。

「疲れが出たのでしょう」

俺の腕の中の牧野を見ながら非難気な視線を西田が俺に向ける。

「俺のせいと言いたいのか?」

サングラスをかけたままじゃ西田を睨むのも迫力に欠ける。

「そうじゃなきゃ、なんですか?」

相変らずの食えない表情の西田の唇の動き。

顔のバーツの小さな変化にも無駄がないのは西田らしい。

・・・が、ムカつく。

「お前とおふくろの無理難題に牧野が疲労困憊になってしまった」

「そうだとしても根本は坊ちゃんの自作自演の結果ですから」

事もなげに俺が原因だとの結論を西田が俺の鼻先に突きつけられてしまってる。

「もともと元気な方ですから医務室で休まれたらそのうち目を覚ますでしょ」

俺を追い込んでる雰囲気は微塵も感じさせずに西田が話を牧野に戻した。

幸いつーか、誰ともすれちがわない廊下。

牧野の重みを感じてるだけでどうしようもなく心がはしゃぐ。

早く目を開けろ。

聞こえてないはずの牧野への声。

目が覚めた牧野の前で変装を解く俺。

正体をばらす前にさすがに鈍なお前も気が付いて俺の首に巻きつく華奢な両腕。

あと少しで離れ離れになる前の俺たちに戻る。

牧野をゆする様に両腕を動かして持ち上げた身体のバランスを調整する。

白いシーツの中で眠る牧野を飽きることなく眺めて過ぎる時間。

気が付いた様子に瞼を数度動かした牧野。

状態を診るために現れた女医が牧野の脈をとる。

女医の問いかけにゆっくりと答える牧野の声。

少しぼっとした表情が徐々に力を取り戻してる。

「妊娠の可能性はないわよね?」

有るわけねーだろう。

牧野の代わりに俺が答えそうになった。

牧野の反応が鈍いのは気を失って脳がまだ正常にいてないからなのだろうか。

この沈黙はなんだ?

牧野の視線がおずおずと動いて俺の後ろに立つ西田に注がれる。

戸惑ったままの表情が声を発することなく見る間に赤く変わった。

その変化は・・・どういうことだ?

妊・・・娠・・・?

んなこと、あるわけないだろう。

「・・・妊・・娠・・・してるのか・・・?」

確かめずにはいられない震える声。

西田から視線を移す様に首をもたげた牧野。

色付いた頬が顔全体に広がる。

フッとため息を付く調子に応じて首がわずかに下に動く。

今、牧野は俺の質問にうなずいたのか?

「なんと言っていいか・・・」

言葉が見つからず倒れそうになる身体を支えるようにベットのパイプを掴んだ。

「大丈夫ですか」

ここで今一番落ちついてる西田の声。

良くこんな時に落ちついてられるよな。

牧野が妊娠だぞ!

「大丈夫だ」

答えながら顔の色を失いそうな俺。

酸素不足に陥りそうな身体を必死で立て直してベッドから離れるように数歩歩いた。

目の前のソファーの背もたれを両手がガシッと掴む。

考えをまとめろ。

牧野が妊娠!

んなわけねえだろう。

コツコツと近付く足音が俺の背中から影を作る。

「坊ちゃん?」

「西田、キスだけで子供が出来るって有ると思うか?」

われながらばかげた質問を西田に投げかけてしまってた。

「坊ちゃんの場合だったら何が起こっても私は驚きませんが・・・」

慰めになってねェだろうがぁぁぁぁぁ。

俺の子供じゃなければ牧野の中の赤ん坊は誰のだ?

あいつの周りの男って俺以外は類に総二郎にあきらしかいねし・・・。

あいつの誰かが牧野ってあり得るわけねェし、誰だっーーーッ!

一番疑わしいのは俺じゃないのか?

だからキスだけしかしてねェーーーて。

「あっ!!!!」

カーテンの向こう側から上がった牧野の声。

なんだ!!!

その声に誘われるように牧野の前に戻る。

牧野がこわばった表情を俺に向けて見つめてた。

お楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

やなぎ 様

>まだ引っ張るんですかぁぁぁぁ(笑)

引っ張ってます?← 自覚ない人?

というのは冗談ですが、決してヘビの生ころがしが趣味ではありませんので~

と言いつつ次回でつかつくのすれ違いが終わる可能性は20%。

もうしばらく頑張りましょう! ← 何をがんばらせるの~~~~~。

あずきまめ 様

>PCの前で一人笑い泣き?泣き笑い?

人に見られたら・・・やばいですよね。

PCの前でニヤついてる私は家族に呆れられてますけどね。

楽しんでもらえてうれしいです。

Gods&Death様

二人が鈍だと周りがヤキモキ♪

せずに楽しんでますけどね。

西田さんはすぐにばらすほど司に優しくないような気がします。

まめすけ 様

絶妙なすれ違いをもう少し見たくないですか?

私の頭の中は完全に遊んでますの状態です。(笑)

きっと西田さんは利用できるところはしっかり利用してくるでしょうね。

周りの反応と仕掛けがこれからの見所ですよ。← たぶん・・・(^_^;)私が思ってるだけだったりして・・・。

類の子!!

これが一番司にはショックだろうなぁ・・・。

プンちゃんのママ 様

この展開を喜んでもらっってうれしいです。

いよいよ王子の正体が!!!というところでのどんでん返し。

この意外性を面白く思ってもらえたら最高にうれしいです。

この物語のタイトル、パーフェクトダンジョンは仕掛けがいっぱいですから~。

司君は攻略できるのか!

ボスキャラは西田さんだったりして~

Pwの件までコメントいただき恐縮です。

今までに返信したPwは3000を超えてます。

いろんな方がいるわけですが大半は不慣れなだけでと思える方も多いと思っているので、短めの文章もそこまでは気にしてないんですよね。

個人に対して思ってるわけじゃなく、こんなところを気にしてもらえたら快くメールが返信できますとのメッセージだと感じてもらえれば嬉しいです。

今後ともよろしくお願いしますね。

コスモス 様

毎日UPしたい気持は有るのですが、なんせ書いてるお話が多いもので(^_^;)

花男DVD見直すとみんな若いですよね。

月日の流れを感じてしまいます。

今の年齢のF4が揃わないかなぁ~