DNA で苦悩する 40

このお話もとうとう40話に突入してしまいました。(^_^;)

もうちょっとお話が進んだら一度最終話として続編に続けるつもりでいます。

駿君の高校生活。

つかつくにはなかった高校生活を満喫できるお話にしたいんですけどね。

我儘もあるしな~

あっちは舞台が英徳ですからねェ・・・。

こうしてブログのカテゴリーが増えていく~~~。

ヘリが迎えに来ると指定された場所は道明寺財閥に関連するビルの屋上。

待ってましたとばかりに居並ぶ大人たちが腰を折って出迎えた。

出迎えの中に混じる支社長の顔はなんとなく見覚えがある。

高校生の僕を出迎えるには大げさすぎる。

エントランスを行きかう社員のなんだ?と言いたげな表情。

どれだけの人間が僕のことを分ってるのだろう。

道明寺の家の重さをヒシヒシと肩に感じる瞬間。

こっそりと頼んでくれよ!

母さん!

見られてる視線が道明寺の御曹司という鎧を僕にまとわせて気が抜けなくなる。

仰々しすぎる出迎えに鮎川の足が一瞬止まった。

鮎川が緊張するようにクッと息を飲むのを僕はそばで感じとれた。

一般的な人間の反応だって思う。

誰だってこんな出迎えを受けるって思わないよな。

案内人一人がいれば済む事。

自分一人でも屋上までは行けるって思う。

「ごめん」

「謝ることじゃないと思うけど」

緊張を隠す様に小さく笑った鮎川の強がりがちょっぴり僕の胸の奥をくすぐる。

謝りたかったわけじゃなく、緊張を解きほぐすつもりで鮎川に向けた視線。

クッキリとした二重瞼の奥で、知的に輝く瞳の中に映りこむ僕。

その輝きは何事にも臆さない強さがある。

鮎川は僕の助けを借りることなく、どうするべきかを自分で答えを見つけ出せる強さがある。

まるで私のことは気にしないでって言われてる気がした。

乗り込んだヘリが騒音をたててゆっくりと飛び立つ。

操縦席の後ろの席に鮎川と二人で並んで座った瞬間に耳につくヘリの音もなんだか別世界で聞こえてるように遠くに感じる。

身体に伝わる振動が激しくなるたびに鮎川の指先が力を入れて膝の上で手の平を握りしめたのが分かる。

そしてビルを離れて上昇した数分後にふわっと力を抜いて指先が弛緩した。

「震えちゃった」

おどけるようにいって手を開いて僕に見せる仕草。

白くなった指先と手のひらに残る爪の痕。

そっと触れた鮎川の手のひらの冷たさ。

温めるようにその手のひらを僕の指先が包み込む。

さっきまでの凛とした強さがウソみたいに、鮎川の表情が和らぐように僕だけに向けられる。

抱きしめたい衝動を誤魔化す様に鮎川の手の平をギュッと握ったまま視線はヘリの窓から外を眺めてた。

どこまでも広がってる空の青さを見つめながら鮎川のことばかり考えてる自分がどうしようもなく思えて照れくさい。

手の平の中でビクンとした鮎川の指の動きがそのまま僕の手を握り返す。

いつの間に絡んで握り合った指先。

鮎川の体温と僕の体温がまじりあって温もりを伝えあう。

ますます顔が向けられなくなって、言葉が見つからずに口を閉ざす。

長いようで短く感じた飛行時間は道明寺本社ビルの屋上のHの文字が見えて終わりを告げた。

「牧野は司と話し合ってるからその前に俺から駿に事前に話しておきたくて待っていた」

僕らを屋上で待っていてくれたのは美作のおじさん。

「水族館に行ってるって牧野が言っていたからもしかしてって思ったら、ヤッパリそうか」

相変らずのさわやかな笑顔を惜しげもなく鮎川に向ける父さんの親友。

あきパパって呼んでいたころから変わらない親近感を漂わせる気さくさ。

「折角のデートを邪魔して悪かったね」

「いえ・・・」

さすがの鮎川も俯いて耳が真っ赤になるのが見えた。

「駿、やるな」

僕に覆いかぶさるように肩に腕をまわした美作のおじさんがわざとらしく覆いかぶさる。

「出来たら別な日にしてほしかったね」

「生意気な口調は親父そっくりだな」

事件が起きてるにしてはやけに楽しげなんじゃねぇの?

真面目にしてって睨んだ僕に、楽しげにおじさんは声を上げて笑った。

「すまん」

その声も笑ってる。

「君も一緒に」

鮎川を気遣う素振りを見せて3人で並んで歩いて屋上を後にした。

おじさんの説明は結局あの写真が原因で仕事の依頼が来た。

断るにして僕たちが会ってから断るしかないという結論。

父さんは予想通り、子供達を世間にさらせるかって怒り心頭中。

それはたぶん舞だけのことで、僕と翼のことは当てはまらないはずだ。

雑誌の件は最初から無鉄砲な舞が乗り気だったことなのに、そのとばっちりは最大限に僕にふりかかる。

やってられないよ。

それが本音。

櫻井翔五郎って監督知ってるよな?」

「あの、映画監督ですか?」

強張った声を発したのは意外にも鮎川。

「さすがに若い女の子でも知ってるんだ」

鮎川に視線を向けながら美作のおじさんが巨匠の貫録を確認したと言いたげな表情を浮かべる。

「今度その監督で道明寺ホールディングスの関連会社のCMを撮ることになってる。

そのCM撮影で駿と舞を起用したいと事務所に連絡が入ったのが昨日」

「監督にCM撮りのアポを取るのも大変で、これを断ればCM自体も無くなる可能性が大と広告会社も泣きついて来たらしい」

それだけの理由で美作のおじさんが動いたとなれば、父さんだって簡単にはうやむやにできないことだって僕でもわかる。

「司は、そんなもんこっちから断ってやるって息巻いてる」

尻拭いをする身にもなれと言いたげな美作のおじさんの声。

強引すぎる父さんの態度も想像できる。

「そして、ここまでやってきた部下の気持ちも考えろって牧野が説得してるわけだ」

今ごろ執務室で父さんと母さんの睨みあいの真っ最中ってことか・・・。

その二人から僕の迎えを口実に逃げて来たんじゃないよね?

美作のおじさんに同情するよ。

「ちょっと、話があるんだけど・・・」

僕らの話を黙って聞いていた鮎川が僕のシャツを掴んで足を止めた。

「5分、3分でいいから時間をくれないかな」

ギュッと唇を噛んで、怖いくらいに真剣な表情。

意味が分からずに美作のおじさんと顔を合わす。

「その監督・・・私の父です!」

鮎川の思いがけない告白に鮎川を二人で凝視してしまった。

お楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

ソフィ様

ドキドキのコメントありがとうございます。

これはいける!と思ってお父さんを映画監督にして見ました。

お母さんの設定はどうしようと思ってるところです。

こちらこそこれからも応援よろしくです♪

ことり様

ご期待に応えることが出来たでしょうか?

名字の違い~

そこにも着眼されました?

鋭いなぁ~

あずきまめ 様

今回は「びっくりした」の感想が多くて(^_^;)

ここにきて鮎川さんのお父さんが登場とは思わないですよね。

ここからですよ~。

あっ・・・このお話はいったん区切ると宣言した先からこれだ・・・(^_^;)

haru-haru 様

『鮎川さんにはなにかあると・・』

今回この感想も多かったです。

ですよね。

ここで!

って、感じですよね。

予想外の鮎川さんの告白に駿君もあきら君も驚いてるだろうなぁ。 ← 他人事

楽しんでいただけるようで私もひと波乱、ふた波乱に向けて突っ走ります♪

アーティーチョーク様

いつもいつもここからの発展のお話コメントたのしませてもらってます♪

司君だってCM出演しちゃってるからダメだって言ってもねダメですよね。

CMはどうなるのか!!

駿&菜花で出演したら・・・

なんてことは考えていませんよ~ 

だって話が終らなくなるんですもん ← 早く最終話にしたい私。^_^;

ココア様

不意打でPCの前で声を上げた!

飲み物飲んでなくて良かったです。<(_ _)>

舞ちゃんがまだ登場してませんが・・・

どうなるのかいろいろ考えすぎて話がまとまらない私です。

いの様

きっと、ここでは司よりもつくしの応援隊が必死で「代表を説き伏せてください!」と声をからしてる事でしょう。

それでも舞ちゃんのCM出演は阻止しそうですよね。

「しょうがないから駿で我慢しろ!」

「出ない!」

言いあいは司とつくしから司と駿君に移ったりして・・・。

まめすけ様

ドキッとときめくような純な恋愛をジュニアで書きたいんです。

意地っ張りな舞と佑の、「我儘な…」とはまた違った別な角度でピュアな恋バナ。

二つのじゃなかった3つの恋をどうなっていくのか追いたい気分もあります。

どこまで続く?

鮎川さんの告白に「えーっ」の一人突っ込み。

想像したら私は「ブッー」と笑を吐き出してしまってました。

>前方注意してたら後ろから突き飛ばされた…くらいの衝撃でした。

表現力に爆笑~♪

いや~その反応がうれしッ♪

旬な読んだ直後の感想コメントにニンマリです。

その反応を見たさに日々ストーリーを考えています。

湧き上がる疑問が解決できるように精進します!

次の流れが予測出来てたらうれしいな。

ワクワクしてるのはなぜだろう・・・。