Perfect dungeon 35

最近なにか足らない・・・。

ブドウ糖不足だぁ~。

一番切望してるのは司君でしょうけどね。

禁断症状まではまだ時間ありますよね?ねっ!ねっ!ねっ!

誰に確かめてるんだろう・・・(^_^;)

*

幻じゃないと確かめたくて抱き寄せた身体。

胸の中で強張る身体が硬さを増す。

吐く息がシャツの布地をかすめるだけで感じる温もり。

牧野から伝わる熱が、自分の細胞の隅々までを活性化させてエネルギーの蓋を開けて解放する。

こいつじゃなきゃ味合えない高揚感。

妊娠は嘘だって早く言えばいいのに。

責める気持ちは全然なくて単純すぎるほど安堵の気持ちとうれしさがまじりあう感情。

お前が俺の前からいなくなることを考えればどんなことでも、たいした事じゃないって身につまされたから。

俺がいなくなったとき、牧野もそんな思いをしたのだろうか?

思いは一緒だよな?

きっと・・・。

切なさと愛しさが心の奥で共鳴して、もっと強く牧野を感じたくて体中の細胞が目覚める。

愛してる。

どんな言葉で綴っても表せない感情。

一秒も離れたくないって気持ちがどうすればこいつに伝えられるのだろう。

「自分の子供を牧野が妊娠したって思わなかったってことは・・・」

「お前たちってまだだったんだ・・・」

「牧野の妊娠をよく信じたよな」

視線の先で総二郎とあきらのからかうような表情。

俺の腕の中で牧野がビクッと身体を動かす。

逃げるなと肌の密着度を増す為に腕に入れる力。

牧野の胸の弾力が押しつぶされて接着する柔らかさ。

いま・・は・・・まだ・・・そこに集中するべきじゃない!

耐えろ!!

意識を逸らせ!

「だったら文句あるのか」

これ以上なんか言ったら殺すぞ!の、感情つきの声もなんとなく凄みが薄い。

「ジェットを爆発させて消息不明になるウソよりは許せるよね」

背後から聞こえた類の静かな声。

牧野が見たら真っ赤になる微笑みを浮かべてる気がして、背中に回していた腕を牧野が頭を上げられない様に後頭部に移動させる。

「司を許すにはまだ早いんじゃないかな」

俺の背中を通り越して牧野に話しかけるように類がつぶやく。

「牧野、このままの状態だと会議室でテーブルの上に押し倒されかねないぞ」

「初めての経験が会社の会議室ってかわいそうだ」

総二郎とあきらまで牧野になに言い聞かせてんだ!

ここからは俺たち遠慮するからとか言って気を利かせるのが友の態度だろうがぁ!

ムンズと牧野の腕の力が100倍は跳ね上がった。

「離せ!」

えっ?

露わな怒涛の不愛想な表情が腕の中から首をもたげる。

「離してっていってるのッ!」

俺を下から睨み付けながら、顔色が怒りで激高の赤に変わる。

身体を俺に預けて生まれかけた甘い雰囲気が、今は牧野のどこにも見当たらなくなってしまった。

此奴らに負けてたまるか。

闘争心はいつもの俺様の部分を刺激する。

「俺以外とそんなこと出来なんだよな?」

内心は牧野の拒絶を気にしてる。

だからなおさら低めの声が喉を振るわせる。

「えっ?」

「そんなことの意味を教えてくれたら離してやるよ」

横柄な態度のままに牧野の顎をグッと指先で上に押し上げた。

「・・・っ」

牧野の吊り上っていた眉がワンコが尾っぽをおしりの間に丸め込むように下に降りた。

何か言いかけた唇はわなわなと震えたまま言葉にならないでいる。

「やっぱり、ここで押倒す気だ」

「俺ら邪魔かな?」

「帰るか?」

冗談じみた声も全く気にならない。

そこまで飢えちゃいねェし。

つーか、お前らの前で牧野の肌をさらす様なことできるわけねェし。

「最小限下着を取るだけにしとけよ」

「誰か入ってきたらすぐに止められるから」

「この会議室にカギはついてるか?」

まだ押し倒してもいないのに、牧野を押し倒してるような錯覚を植え付けんじぇねぇぞ。

「牧野が嫌がることは司はしないと思うけどね」

ドタバタと俺の腕の中で暴れこんでいた牧野の動きが類の声でピタリと止まる。

「嫌だからね」

「こんなとこじゃッ」

ハァハァと荒れた息の中から絞り出す声。

キッと力を入れた瞳がわずかに潤んで俺を見つめる。

「こいつらの言うこと信じるな、こんなところでお前を抱くつもりがあるわけねぇだろう!」

勢いで牧野から離した腕はまっすぐに総二郎とあきらに類を指さす。

すかさず一歩後退した牧野があたふたとした表情に変わった。

「今日は、司も牧野も大胆だな」

「久し振りの再会にしては色気ねェよな」

「司と、牧野だからこんなもんでしょ」

こいつら・・・

俺を煽ってんじゃねェぞ!!

今度の事件に巻き込んで悪かったって思っていた罪悪感は完全に吹き飛んでしまった。

「さっさと消えろ!」

大声で叫んだ時同時に開いた扉。

「なにを騒いでるんですか?」

ついさっき消えたはずのお袋と西田・・・

二人にしては多い影が見えた。

「やぁ!、アルフ」

「へっ?」

左右に別れたお袋と西田の前を通って能天気な笑顔の長身の男。

「マルク・・・」

「なんでお前がいるんだ?」

「そんな言い方は淋しないいな。仮にも兄弟の縁を結んだ関係だろう?」

落ちついた響きは一国の皇太子の威厳を強く押しつける強さがある。

「司、俺達の関係はキレてないはずだ」

ここぞという時は人間性が人の好さを無くして尊大さで押し付けてくる上に立つ人間のオーラを見せつける。

対応する相手で人格を変える柔軟さ。

見習えと以前に言ったのはそいつの横に立つ能面秘書。

「王国との仕事の最終的な打ち合わせに王子自らわざわざ訪問されたんですよ」

仰々しく西田が王子に頭を上げて俺にちらりと視線向ける。

まるで大人な対応を信じてますと言いたげな視線。

しらーとした表情の中の感情を俺に読ませる態度。

やりたくねぇのに誘導されてしまってる。

帰ってきたと思ったら有無も言わせず仕事かよ。

牧野とごゆっくりなんて気遣いねェのかよ。

西田の奴は、今回の件で相談しなかったことを、そうとう拗ねてんじぇねえぇだろうな。

牧野の妊娠のことで驚かされたことで俺への罰は十分だろうがぁぁぁぁ。

愚痴しか言えないのが情けない。

「司、あなたがお相手をしないと失礼ですよ」

お袋の声を合図に両脇に配置を変えるSP。

完全に牧野から離脱させられてる状況。

「えっ?おっ?」

もう少し牧野との余韻を楽しめる時間はねぇのか?

「俺に触るな!」

物欲しげに見つめそうな気分を隠す様にSPを睨み付ける。

「ヘラに何も言わずに司がいなくなったら悲しむからなぁ」

意味しんなマルクのニンマリにドキリと反応を見せる俺。

側から突き刺さる牧野の視線。

ヘラって誰よ!

俺を問いただす様な不機嫌な牧野が顔をフンと俺から背けた。

誤解すんな!

言い訳をする暇もなく、半ば強引にどっぷりとSPに取り囲まれて会議場から連れ去れてしまった。

司君頑張れ!と応援隊のプチッよろしくお願いします

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拍手コメント返礼

あずきまめ様

私の頭の中も、Perfect dungeon祭り開催中です。

最終話まで一気に書き上げるつもりでいます。

最期は総出演でお届け。

王子と王女にはスピンオフ物語を書きたい気分なんですよね。

おかゆ

仲直りまであと少しかな?

王子と王女次第としたら・・・ややこしくなっりそうですけど(^_^;)

まめすけ様

禁断症状が爆発したらつくしちゃん受け止められるかしら?← いらぬ心配

おっ~このまま♪と思わせて♪

F3もいますからねそれに加えヘラちゃん再登場の爆弾投下。

ヘラって神話に出てくる女神の名前なんですけど、気がつきませんでした?

ゼウスの正妻のヘラは、結婚と母性、家庭生活を司る女神です。

ゼウスが惚れ込んで結婚したんですが、 いつもゼウスの浮気に振り回されて、浮気相手やその子どもに いろんな困難を与えるので、ちょっとヒステリックで怖い奥さんのイメージなんですよね。

司とつくしの間をかき回してもらおうかなぁとの思いのネーミングでした。

最初に予定してたほど回さないままに終わりそうなのでここでボン!と投入です。

すぐに甘々はねぇ~。

いや~、仕返しはもう十分かな(笑)

いの様

ひと波乱させたいのはやまやまですが別な機会に王子と王女とのドタバタをお届けしたいと思ってます。

そろそろ(完)の文字を入れたいので~(^_^;)

コスモス 様

お仕事お疲れ様です♪

苦難も楽しめるのはつかつくの醍醐味♪

これを言ったら司に殴られそうですけど(^_^;)

このお話を読んで1日が終る。

ドキンとするうれしいコメントありがたいです。

本当にうれしすぎますよ♪

ありがとうございます。