秘書西田の坊ちゃん観察日記  (Perfect dungeon 番外編4)

リクエストが多い西田さん楓さんサイドのお話。

確かに今回は特に楓さんが気になりますよね。

彼女に殴られる息子を見つめて何を思う・・・。

ここで川柳を一つ。

う~ん~。

川柳の才能はないみたいです。(^_^;)

この物語は『Perfect dungeon 34』の番外編となります

ホワイトデーの短編別館にUPしてます。

今日は2話Upしてま~すよ。

頑張ったご褒美に夕食つくらなくていいとかないかなぁ。

*

「西田・・・」

「なんでしょうか?」

目の前でつくし様に殴られて坊ちゃんが転がった。

呆然とした表情の坊ちゃんを視線で追いながら楓様がつぶやく。

「司に手を上げるなんて・・・」

息子を目の前で殴られたことに不満を漏らすような溺愛ぶりはなかったはずの会長。

どの様な感情をお持ちなのか、確かめるように表情を盗み見る視線をチラリと向けた。

我儘で反抗的な坊ちゃんに手を焼いていたことは隠しようがない事実。

SP5~6人で坊ちゃんを拉致したのは、一度や二度じゃ有りません。

グルグル巻きでさるぐつわまではめられた坊ちゃんは狂犬病の犬よりも凶暴で手が付けられなかった。

それが今は小柄な女性の拳の一撃で転がってしまってる。

くすっとこみ上げてきた笑みは、いい気味だとか蔑む感情ではなく微笑ましく思える笑み。

つくし様に対する愛着はこの上なく大きい。

「彼女にしかできないわよね」

会長の見守る穏やかな笑みがお二人を捉えてる。

あんなに反対されたことも忘れたように温かさが伝わる。

一番変わられたのはもしかしたら楓様なのかもしれません。

「さすが、牧野・・・」

「やったな」

「いい音」

ぼっちゃんのご親友3人の楽しげな声。

「司のお袋さんの前だぞ」

その言葉に苦笑気味に作った表情を楓様は私に向けた。

「感心はしないけど楽しくはあるわね」

私だけしか聞こえない柔らかみのある声が耳元に届く。

それはつくし様にかける信頼の様にも聞こえる。

「すいません」

勢いよくふりむいた身体は膝に頭がつく様に頭を下げて固まった。

坊ちゃんを殴ったことのお詫びがその母親である楓様に向けられる。

しまったと思ってるつくし様の素直過ぎる反応は心をくすぐる。

が・・・

その結果がぼっちゃんを憤慨させる要因にしかならないことを私は知ってます。

「謝る相手が違うだろうがぁ」

不機嫌と不満が交わる感情が怒鳴る様に響く。

雷電の稲光を背負うまではあと80%は足らない程度。

拗ねてるとしか言いようがない。

「父親になるって何よ!」

「この状況を考えればそれが良案だろうがぁ」

「私がいつ妊娠したと思ってるのッ!」

「何時って・・・」

ぼっちゃんに向きを変えたつくし様に私たちは忘れ去られた存在になった。

「違うからね!!」

「違うって・・・あいつじゃないのか?」

頭がこんがらがったって表情で視線が定まらない坊ちゃん。

坊ちゃんにつくし様の妊娠は相手の反応を見るためのウソだと告げないままに過ぎた時間。

自分の子じゃないと思ってる坊ちゃんを悩ませるのはちょっとした仕返し。

心の動揺は手に取る様に伝わって、もういいでしょうと勘違いを正すタイミングを逃がしてしまってた。

つくし様の心変わり、身近な誰か気持が移る。

若い恋人同士には良くあること。

相手は誰かと悩むと思ったら、敵対する相手がつくし様を襲った結果が妊娠したという発想。

私にもついて行けませんでした。

つくし様も坊ちゃん緒の変装したアルフ王子を敵だと勘違いするすれ違い。

表情が崩れそうになるのを何度持ち直させたことか。

見ていて飽きないお二人。

「お前らじゃねェよな」

ここで初めて坊ちゃんの興味がお仲間たちに移った。

普通なら最初に一番疑うべきつくし様に身近な男性たち。

ゆるぎない信頼感が邪魔してたことは想像しうる熱い友情がそこにはある。

「司がいなくなって慰めてるうちに、愛情が湧いて」

「ドラマの中ではよくある話しだよな」

坊ちゃんのいなくなった短期間でつくし様と関係を結ぶことは無理だと分かってるからこそ出来る態度。

「どいつだ!」

確かめるというよりはほとんど脅しに近い声。

ぼっちゃん・・・

本気で疑ってるんですか?

無理ですよ!

考えれば解かること!

つくし様のことで冷静になれと言う方が無理だった・・・。

「司・・・冗談!」

「牧野が俺たちの好みじゃないことは知ってるだろう」

焦るご親友に迫る坊ちゃん。

命の灯が消えるまではあと数メートルの迫力。

「道明寺以外とそんなこと出来るわけないでしょ!」

沸々と湧き上がる怒りが沸点に達したようなつくし様の声。

意外に大胆な発言。

その意味を発言したつくし様も聞いたぼっちゃんも理解できてるのだろうか。

「西田・・・

あの二人は、いつもこうなの・・・」

わずかに震える唇。

さすがの楓様の表情に気恥ずかしさが浮かぶのが見えた。

大人ですし・・・

婚約されてますし・・・

今の若者としては遅い方で・・・

言葉にならない言い訳。

楓様の見せた反応に私の方が落ち着かなくなってしまってる。

楓様が聞きたいのは『そんなこと』の意味じゃない。

冷静さを取り戻す様に一つ息を吐く。

「ネコとトラのじゃれあいみたいなものですから、ほっといてたほうが楽です」

「社員には見せられないわね」

呆れた表情が一瞬だけ小さく笑う。

苦笑気味に笑った口元の上で穏やかに色を浮かべる瞳。

司様に向ける慈しみを感じる視線。

今回の事で痛めた心を隠す強さ。

それが剥がれた瞬間が、ため息とともに零れ落ちた。

「仕事に戻ります」

コツコツと規則的に床を打つ靴音。

会議室からでてドアが閉まった瞬間に止まった。

堪えていた笑いを逃がす様に会長がクスクスと笑い声をあげた。

「西田、このことは内緒よ」

私に向ける朗らかな笑み。

今回の件はこれでかたずいた。

そんな気になっていた。

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

やなぎ 様

気が付くの早すぎです(笑)

私の仕掛けに直ぐに反応を見せてくれるとどれだけ読み込んでくれてるのだろうとうれしくなるんですよね。

うっ!これはもっと進歩しなければ!!

西田さんの一言はもちろん本編につながっていく予定です♪

いの 様

つくしちゃんの影響は絶大ですよね。

道明寺家に吹き込む新しい風♪

楓さんは頭を抱えながらも楽しめるお方だと私は信じてます!

Gods&Death 様

西田さんから楓さんを見たら変わったって感じるでしょうね。

でも西田さんもつくしちゃん影響は受けてますから~。

ソフィ様

そんなに笑ってもらえるなんて~

息子さんへの言い訳はどうしました?

そっちが気になったりして(^_^;)

私は娘に「キモい」と言われてるので最近は娘の前じゃ絶対記事が書けないんです(/_;)

b-moka

久し振りにお名前を発見してテンションあがりました。

お元気でしたか?

西田さんもわざと真相を教えないなんて、司が知ったら・・・

以前の司じゃ無理でしょうけど今はつくしちゃんがいますものね。

つくしちゃんの影響は着々と周りに広がってますが、本人は気が付いてないだろうなぁ。

あずきまめ様

一家に一台、いや、一家に一人は欲しい西田さん♪

道明寺家だから可能♪

一般家庭なら宝の持ち腐れになる可能性が大!

ドラマの出演者に転換♪

ご同行がいるのはやっぱりうれしいですね。

キツメの表情が時々思いだしてクッスと笑う。

側で楓さんを見た部下の反応が気になってしまってます。

まめすけ様

楽しげに笑う楓さんを見た日には西田さんも表情を崩さないでいるのは大変でしょうね。

きっと心の中は動揺がいっぱい♪

わずかな西田さんの変化に気が付いた楓さんも動揺してたりして・・・(^_^;)

西田さん予測不能は責められませんよね。

司が凄すぎるだけです! ← いいきる!

言われてみて気が付きました。

確かに西田さんのお話は読み手側の視点ですね。

だから人気があるのかと納得。

かえまま様

隠れ楓さんファンでいらっしゃいましたか。

加賀の楓さん好きなんですよね。

特に映画の司を抱きしめるシーンとか。

あそこで楓さんも変わったんだなぁってアピールがすごいとおもちゃうわけです。

以前の楓さんなら絶対司を抱きしめるなんて暴挙でしょうからね。

楓さんがらみの話頑張ります♪