DNA で苦悩する 41

後ろで邪魔なやつがウロウロする祝日の朝。

昼から部活あるかなぁ・・・運悪く今日は雨。

天気が悪いと陸上は練習休みになるんですよね。

最悪だ~。

「勉強は?」

「昨日終った」の返事にガクリです。

のんびり感たっぷりの我が家の娘。

PCの前に座るのも一苦労です。

ここに座りっぱなしだと子供にお母さん楽~と思われそうで(^_^;)

これでもしっかり家事はしてるんだからね!

分ってくれてるかなぁ・・・。

「君の父さん?あの監督が?」

人目を避けるように飛び込んだ部屋。

誰もいないのを確認してカチャリとおじさんは鍵をかける。

美作のおじさんの行動をぼーっと眺めていたわけじゃない。

予測の事態の対応には慣れてるはずの美作グループTOPの手腕を信じてるから従った。

「司の様に娘にはめちゃめちゃ弱い性格だと助かるんだけどな」

悪戯っぽいほほえみを僕に僕に向けられても困る。

ウンと返事するよりため息が漏れる。

父さんの舞に対する態度は「絶対嫁には出さん」の態度を幼児期から実践してる。

パパ達が抱くのも警戒してたんだから。

「離婚してるから苗字は違いますけど・・・」

ぽつりとこぼした鮎川の口元。

何かを秘めたような凛とした輝きは臆することなく表情から零れてる。

美作のおじさんを前にしても態度を変えない鮎川の芯の強さがはっきりと表れてる気がした。

クールなんだよな。

「もしかしたら、今回のことは私が原因にあるかもしれない」

「それって、なんで?」

「ほら、私をマンションまで送ってくれたことあったでしょ?」

「うん」

道明寺司の息子として呼ばれたパーティー会場。

そこでバイトをしていた鮎川が終るのを待ってマンションまで送った。

「あの時、パパが珍しくマンションに来ていたの」

「誰って聞かれたから高校の友達とだけは説明したんだけど・・・」

部屋に鮎川が入って窓から光りが見えるのを確かめるまでマンションを眺めていた。

手を振る鮎川に大きく手を振って返した僕。

あれを見られてたらうちの父さんならブチ切れそうだぞ。

鮎川の父さんはそうじゃないことを願う。

高校の同級だけの説明では僕の正体はまだばれてないはずだ。

どこを探しても僕と道明寺財閥のつながりは見つからない様にしてもらってるはずだから。

牧野家の孫、母親は弁護士、父親は会社員で海外に駐在中という程度のウソの情報が作られて配布中。

「それと、今回のことがどう関係あるの?」

「いつもの手なの!」

「・・・」

いつものってなに?

今一つわからないって表情で鮎川を見つめてしまった。

「彼氏が出来ると邪魔してくるの」

彼氏って・・・

鮎川の・・・?

前にも彼氏いたんだ・・・。

鮎川の彼氏のセリフに強いショックを受けている。

「どんな、奴!」

思いっきり嫉妬の混じった不機嫌さが声になる。

「どんなやつって・・・」

僕のキョトンとした表情が鮎川に移った。

僕の気持ちに気が付いたように「あっ」といったまま口をつぐむ。

「私じゃなくて姉だから」

鮎川にお姉さんがいるのは知っている。

言って赤くなる頬に僕も「あっ・・・」とつぶやいて口を閉じる。

ホッとして力が抜けおちる感覚。

「青春だなぁ」

すっかり忘れていた美作のおじさんの存在を思い出した。

「姉にBFができると、俳優になる気あるかとか持ちかけて、カメラテストとか、その気にさせて持ち上げて、

姉と別れることを条件に付けたりしてたんです。あの陰険親父」

だから知られたくなかったって鮎川がギュッと僕の袖口を掴んだ。

親で苦労してるのは僕だけじゃなかっただと苦笑する僕。

鮎川を守ってやりたくて抱きしめたくなる衝動。

胸の奥がくすぐったくてしょうがない。

「つまりは、付き合いをやめさせるために君のお父さんは餌をまくわけだ」

「駿、おまえのおばあ様より手が込んでるな」

お母さんと父さんをおばあ様が認めるまでは道明寺の力を最大限に使った画策をした話は知っている。

「そのエサで終るような恋なら本気じゃなかったってことだ」

何もかも傍で見たいはずの父さんの親友。

お前も頑張れよと投げかける美作のおじさんの視線。

すげー楽しそうに見えるんだけど。

「道明寺君にはそんなことしても何にもならないと思うんです」

それは僕の評価?それとも道明寺の息子を追い払うにはそれほど魅力のない今回のCMのモデルという点?

道明寺より僕自身を鮎川に評価してほしいと思うのは贅沢なのだろうか。

「なにがあっても君をあきらめるつもりはないから」

「ひゅー」

鮎川の返事の代わりに聞こえた美作のおじさんの口笛。

「司の息子にしちゃ上出来」

腕組みをしたままクスッと美作のおじさんが笑みを浮かべる。

「ということは、舞はおまけみたいなもんだな」

「目的が僕ならそうなるね」

「で、おまえはどうするんだ?」

「売られたケンカは買う」

「やっぱ、司の息子だわ」

ケラケラと満面の笑みを浮かべ肩に腕をまわされた。

そう言われてもうれしくないから。

「あっ、このことは司には内緒な」

舞がCMに出なければ確かに最大の難問はクリアーできる。

わざわざ鮎川と監督が親子だと説明する必要はない。

「監督と同じような手を、司が使わないとは限らないからな」

「相手の喜びそうなアメを与えてあきらめさせる手段」

「その手があったかと、喜びそうじゃないか」

鞭にアメが加わると人間は弱い物だということは解かる。

確かに父さんが両方から攻めれば舞に彼氏が出来る確率は限りなくゼロに近い気がする。

「舞の彼氏って佑じゃないと無理なんじゃないの?」

「司と親戚になるのは勘弁してほしい」

冗談とも本気とも取れないあやふやな表情を美作のおじさんが浮かべた。

お楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

まめすけ 様

UP待ちありがとうございます。!(^^)!

どうやってケンカをかうのか!

駿君じゃケンカにならなかったりして・・・。

あっ、まだ駿君の正体は鮎川パパにはばれてない設定です。

いの様

娘を大事にしすぎる共通点で意気投合とかないかなぁ(笑)

ここにつくしが絡んで楽しくなるかな?

まっつ 様

応援ありがとうございます♪

Gods&Death様

一番強いのどうあがいても司君?

この勝負はどうなる?

今のところ私もまだ予定してないんですよね。(笑)

どんな勝負になるんだろ(^_^;)

体調回復されて安心しました。

やなぎ 様

雨は昼過ぎにはあがったんですが風が強かったですね。

いろんな人出来過ぎて収拾がつかなく鳴ったらどうしましょ~。

tomo 様

確かに舞の彼氏問題の方が気になりますよね。

この物語ではまだ数年先なんですけどね。

あきら君と司が親戚。

嫌がらなくても親戚以上の付き合いしてるって思うんですけどね。

おかゆ

ホッコリムードに司が加わるとにぎやかになるでしょうね。

つくしが加わっても同じかな(笑)

あきら&葵の佑出産までのストーリーも気になりますよね。

こうなるとあの二人の話もまだまだ続きそうですね。

頑張りますよ~。

シッカリそれまでついてきてもらえるでしょうか?

あずきまめ 様

可愛い娘を守るために!

相通じるものがありますよね。

司の場合「俺の息子が気に食わないなんてどういうことだ!」

これでケンカになったりして・・・(^_^;)

いえいえ、うちの娘は出されたもの以外の学習は全くしなくて・・・

これでいいのか中学生と思うほどいまだに就床9時でござります。

再来年は受験生になるんですけど大丈夫だろうかと心配してます。

アーティーチョーク 様

この後の対決は!

翔五郎さんと司はまだ睨みあってないはずなのにその構図が浮かび上がってしまってます。

舞ちゃんはどうなるんでしょう。

今のところまだ英徳で知らずに勉強に励んでるところかな。

自分の知らないところで話が進んでる設定になっております。

あさみ 様

司に対等に付き合えるのはあきら君だけでしょうね。

ヤッパリ舞ちゃんには佑君しかいないのかなぁ~。

超貧乏な男の子とか登場させたら・・・山田太郎物語の太郎君ってどうなんだろう(^_^;)