イースターバニーの奮闘記

昨日いただいたコメントで復活祭にまつわるお話をとリクエストを頂きました。

日本ではなじみの薄いイースターですが、つかつくなら楽しめそうな気がします。

イースターは色を塗った卵を配るとしか知らない私です。(^_^;)

yoko 様

リクエストありがとうございました。

そちらは週末は賑やかなんでしょうね。

「たくっ、この時期はいつもだよな」

日本ではなじみの薄い復活祭。

英語圏内ではイースター休暇とかで今週末は株価も停滞気味になる。

取引先との仕事も停滞ぎみ。

コンコンとドアをノックして西田が部屋にやってきた。

書類の代わりに西田には似合わない籠を両手で抱えている。

籠の中には色とりどりの卵。

イースターエッグを代表にといただきました」

卵がそんなに食えるものか。

「卵じゃなくチョコレートにジェリービーンズで、できてるようですからお子様たちも喜ばれるのでは?」

子供達よりつくしの方が喜ぶんじゃねェか?

カラフルなホイルはいかにも子供や女性が喜びそうなデザイン。

「なぁ、西田」

「これだけじゃイースターって感じじゃないよな?」

不都合でも?と言いたげな西田を見上げる俺。

イースターバニーが卵を隠すんだったよな?」

屋敷の庭に卵を隠して子供達に探させる。

俺がただ隠すよりそっちの方が断然面白そうだろうがぁ。

「バニーですか・・・。代表が変装されるのですか?」

イースターバニーになるのは卵を持ってきたやつだろう。

西田!お前のウサギの変装、みんな驚いて喜ぶぞ。

「なんで、俺がウサギにならなきゃいけないんだッ」

デスクにドンと手をついて椅子から立ち上がって西田を睨み付ける。

「節分の鬼とかクリスマスのサンタクロースも、おやりになったではありませんか」

動じない表情で西田は事もなげに呟いた。

「あっ、以前の着ぐるみもお似合いでしたからウサギもきっとお似合いかと思いますよ」

鼻の先に付き付けた携帯の画面。

クマのキグルミの俺にまとわりつくチッコイのが3つ。

両手にぶら下がってるのが左右に一つずつ。

脚をチッコイ脚が挟んで俺の足の甲におしりを降ろして脚にしがみついてる駿。

脚から振り落とそうと動かしたらスゲー喜んでしがみついてた。

こんなことが遊びだと思う喜ぶ無邪気さは自然と頬が緩む。

俺の横で俺より喜んでたのはつくしだった。

「パパしてるじゃん」

何もしなくても俺はこいつらの親だろう。

そう思いながらつくしの笑顔が俺を嬉しくさせる。

家族の幸せの相乗作用は意外に簡単だって思う。

そんな写真いつ撮ったんだッ!

道明寺ホールデングス代表としての権威はその写真のどこにもない。

タダの親ばか。

「楽しそうじゃないですか」

携帯に手を伸ばした俺から西田がすかさず携帯をスーツの内ポケットにしまい込んだ。

「携帯を壊しても無駄ですから、データーはしっかりと別な所にも保管してまります」

その声を合図の様にドアが開いてSPの一人が入ってきた。

手に持っているピンクのフサフサ。

代表のサイズで作らせてあります。

いったいなんのためにこんなものを作った。

「ちょうど代表の予定が空いたので、今週末は月曜まで家族団らんで過ごせるかと思います」

「休暇はこの着ぐるみを着ることが交換条件ですから」

「なんで、そんな交換条件なんだ」

「最近子供達が父親の存在を忘れてるとつくし様がお嘆きでしたよ」

それは西田!お前が仕事を詰め過ぎたせいだろうがぁぁ。

ここしばらく子供達の寝顔しか見てねェンだぞ。

「写真をご家族に見せても喜ばれるかもしれませんね」

「楓さまとか椿様とか・・・」

姉貴の喜ぶ顔とおふくろの呆れた顔が目の前に浮かぶ。

見せられるかッ!

その日の夕刻。

スーツ姿の西田の横でピンクの耳の長い着ぐるみ。

丸く切り抜いた頭の部分からしっかりと顔が出る。

「これを」

西田からつけられた丸っこい黒の鼻。

使用人には絶対庭に出るなと箝口令を引いた。

なのに、なんであいつ等がいるんだ。

ゲラゲラ遠慮なく笑い声をあげてる愛しい女。

じーっと指をくわえて見てる翼。

「パパ・・・?」

不思議そうな顔で駿に見られた。

舞はガシッとつくしの膝にしがみついてる。

その手には似たような毛並みのうさぎのぬいぐるみも握られていた。

「あいつらに見られたら卵を隠すことにならねぇんじゃねェのか」

ぼっそと西田に耳打ち。

「幼児が探すんですから大人が必死に隠してどうするんですか。それに御邸の庭は広い」

「楽しければいいんです!」

西田!

お前が一番楽しそうだ。

家族が絡むと、俺はどうも西田に遊ばれてる気がする。

「似合う」

笑顔を浮かべたままつくし俺の傍でからかう様につぶやいた。

こいつらの無邪気な笑顔に心の奥からクスぐったさがあふれ出て止めようがない。

「復活祭を祝うなんて司に出来るなんて思わなかった」

「あ?」

「だって、復活祭ってキリストの復活を祝うお祭りでしょ」

「神に祈らなくても、私の願うことならなんでも俺が叶えるって豪語するからな」

俺達の横で西田からイースターエッグをもらってる子供達。

隠すんじゃねェのかよ。

俺がウサギのキグルミを着てる意味がねえ。

「それより、こんなバカなことをやっちゃう司の方が好きだな」

そう言って、照れくさそうに笑みをつくしが浮かべた。

たわいない表情が・・・

たわいない仕草が・・・

馬鹿げた笑いを誘って穏やかな時間を作る。

俺も、お前らの為ならこんな馬鹿げた格好も苦にならない自分がすげー楽しい。

西田!

ほかの奴らには絶対内緒だからな。

携帯で写真を撮ってねェだろうな!

振り向いた先で片手に携帯を持って俺に向ける西田が見えた。

「パシャッ!」

パシャッじゃねッ!!!!!

その携帯、壊してやるからな。

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拍手コメント返礼

おかゆ

イースターは日本ではなじみが薄いですもんね。

初めて色のついた卵の存在を知った時はなんだ?って思いましたもの。(笑)

ここから、道明寺家でイースターが恒例になったりして。

こう 様

西田さんからパパ業も操縦されてる感じがするんですけどね。

ほのぼのパパ編好きなんです。

まめすけ 様

西田さんがだんだんおちゃめになってきて困ってます。(*^_^*)

F3がいたら賑やかでしょうね。

鹿児島に旅行とくれば温泉♪桜島

近いじゃないですか。

車で2時間緒距離♪

最近旅行してないなぁ・・・(/_;)

ぷりん様

電車の中でピンクのうさぎ~

キャーっ。ダイジョウブでした?

吹き出すとこまではなかった思いますが・・・(^_^;)

久々の家族のお話でした。

いの様

私もリクエストがなければ書けなかったですよ。

イースターってなんとなくしか分ってないですからね。

司も親になってますよね。

さすがに着ぐるみを着てくれるお父さんはそんなにいないと思いますけどね。(笑)

ままなめこ

久々の道明寺ファミリーの登場でした。

息子さん駿なんですね。

同じ名前だとオッ♪って思うことありますよね。

思春期の子供を見ると小さいころはあんなにかわいかったのにって思いますよね。

懐かしき日々を思いだしながら、そこに道明寺君ちだったらというエッセンスをプラスしてお話を考えてます。

次はどんなお話でいくかな~。