DNA で苦悩する 43

おはようございます。

このお話もあと少しで終了予定です。

とは言っても駿君の恋バナのお話はまだまだ続くんですけどね。

ソロソロ本格的な高校生活のお話を書きたいものだと・・・・

普通の高校生活は、つかつくが絡んでくると無理そうな気もするんですけどね。(*^_^*)

「何考えてるの?」

「別に・・・」

駿たちを美作さんが送ると言って3人が出て行ってから執務室に残った私と司。

今度の件を盾に駿を私の実家から呼び戻しそうな勢いはどこに行ったのか。

何かが匂う。

そんな思いの私の問いを司はにべもない言葉で返した。

そうですか、そう来るか!

別にっと言った顔は不敵な表情を浮かべて反り返る様に革張りの椅子に腰を下ろす。

それって、自分の思い通りに事が運んだって満足な時の司じゃないか!

「もしかして、最初から駿をCMに出すつもりだったの?」

「なんで、俺がそんなことをしなきゃいけない」

デスクの上に両肘をついてその上に乗せた顔はふてぶてしくつぶやく。

「なぁ、駿って道明寺の家を離れたいって思ってんのかな?」

「えっ?」

急に真顔になって私も見つめる真直ぐな瞳にドクンとなる。

駿は小さいころからなに不自由なく育って来た。

それでも司と違うのは私が普通の常識も教育してきたって事。

小さい駿に大人がへつらうのも、駿が偉いわけじゃなく道明寺の名前に敬意を示してるだけ。

人に感謝する気持ちも教えてきた。

おかげで屋敷の使用人さんたちにも「ありがとう」と感謝を忘れない子供に育ってる。

司なんていまだにしてもらうことが当たり前だと思ってるんだから。

「英徳を離れてみたいってあいつが言ってきた時から考えてるんだ」

「敷かれたレールが嫌になるときってあるからな」

「俺はお前と一緒に生きようって思った時に道明寺の家を捨てようと思ってたしな」

すっと伸びてきた指先が私の手のひらを掴んで甲をなぞる。

指から伝わる熱は相変らずの艶。

触れられるたびに熱くなってくるのは未だに健在で顔が熱くなる。

「結構重たいんだよ道明寺の御曹司って地位はなッ」

気弱い言葉をふてぶてしくつぶやくのは司らしい。

英徳では我儘にやりたい放題で悪の帝王みたく生徒だけでなく教師まで抑え込んでいた道明寺。

その行動の裏に見えていた孤独と淋しげな瞳。

道明寺ホールディングスの代表についてからは尚更孤独だったって思う。

目の見えない重圧と今でも戦ってるんだと分ってるから。

他人を支配する高圧的な鎧をまとって的確な指示で世界を飛び回る日々。

鎧がゆっくりとはがれて、不愛想な顔が優しく変わる瞬間が私を幸せにさせてくれる。

だから、私だけに見せる弱音が嬉しくてどうしようもなく愛しい。

一瞬で魅入られる微笑み。

もっといっぱい私以外にも見せてやればいいのに。

「甘く見られると足元をすくわれる」

20代の頃はよく言っていたよね。

今は穏やかな表情を見せても足元を救われることは無い実力を兼ね備えてる。

それどころか大人の魅力が零れすぎて女性を引き付ける引力は若い時より抜群には跳ね上がってる。

ヤッパリ、私以外に微笑まれると私の悩みが増えるような気もする。

今の方が昔の自分より嫉妬深くなってる気がしてきた。

なに笑ってんだ?

そんな視線で見つめて、くすっと浮かべた笑み。

くつくつと漏らした笑みは人差し指が軽く救う様に動く。

長いほっそりとした指。

顔もきれいだと指先まで綺麗だって思わせる優雅さ。

こぼれ出る気品は生まれの良さを十二分に納得させる。

「自分の知らない世界を見るってことも必要なんだろう?」

急に教授みたいな、かたっ苦しい表情で私を見上げてきた。

「分っていて、やってたんだ」

「舞が絡んでるとしても怒ってるのが大げさ過ぎるって思ってたんだよね」

「マジに怒んなきゃ、おまえが慌てねェだろう」

「ヘリまで迎えに飛ばすことがつくしに出来るとは思わなかったけどな」

ニコリともせず司が言い放つ。

その、ダメ社員に向ける様な蔑んだ視線。

結構きついんだからね。

「あきらがついてればなんの心配もいらないだろう」

ふ~ん。

そのさっぱりとした表情。

なんなのよっ!

私抜きで美作さんとはちゃっかり話を進めていたってことか。

契約書をチェックする!

駿には一人で対処しろ!

なんて、言っていたくせにしっかり万事周りは固めておいて駿を送り込むわけなんだ。

「何か、言いたそうだな」

「別に」

今度は私がにべもなく答える。

「ふてくされるんじゃねぇよ」

ジロリと睨んだままフンと視線を逸らす。

素直に駿に好きなことやれって言えばいいだけでしょう。

手の込んだことしないでも駿は今の生活を楽しんでいる見たいなんだから。

駿に彼女か・・・

なんとなくさびしい気もするけどママは応援する。

「あっ、あれか、駿が彼女連れてきて気に食わないとか」

「お袋もお前とのことをすげー邪魔にしたからな」

お母様が反対したのは私が道明寺と釣り合わなかったことが気に食わなかっただけじゃないか!

私が怒ってるのはそんなことじゃない。

ホントに観点がずれてるんだから。

さっきの父親らしい聡明さをさすがと見直した時点に戻りたい。

「道明寺って過保護だよね」

ムカッとしてるときは未だに司より道明寺に呼び名が変わる。

それに反応するように司の眉がわずかにピクついた。

「俺を一番過保護にさせるのはお前にだって知ってるか?」

急に甘ったるい表情を浮かべて司の腕が私を引き寄せる。

身体を半回転させられて膝の上に乗せられてしまった。

この状況をどうする!

甘ったるい熱が肌に触れて、ムズッとした感覚が身体の中心から生れる。

ひゃっ!

私の浮き上がった腰を戻す様にシッカリと司に背中ごと抱きしめられてしまっていた。

「機嫌直せ」

耳元に触れる司の唇。

「直った、直ったから!」

夢中で司の膝から飛び降りるように跳ねる。

「ブッ」

吹き出した声。

楽しげな表情を浮かべて口元が微笑んでる。

必要以上にエロんだから、からかうなッ。

言えそうもない言葉を浮かべた頭をブルッとふるって、私は真っ赤になってしまっていた。

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拍手コメント返礼

ことり様

みんなの歌はまだ聞いてないんですよね。

なんせ国営テレビ滅多に見ないもので・・・(^_^;)

噂だけはきいてるんですけどね。

今回は司パパを前面に打ち出してみました。

司の父親像を想像するとあれこれ妄想が終んないんですけどね。(笑)

ここ数日の気温差ありますよね。

分厚い服は整理したばっかりで先日は本当に寒くて焦りました。

アーティーチョーク 様

お知らせありがとうございます。

この後のCM出演はどうなるのか!

実はまだいろいろ模索中で~す。

撮影まで行き着くのか!

その間に何か起こるかも・・・。

まめすけ様

こんなややこしい旦那の性格を把握するのは10年以上はかかるかな。

夫婦の味が出てきてるつかつくを書きたかったんですよね。

確かにこの重圧を息子に科せるのかどうか司君悩んじゃってるのかな。

翼君はのほほんとしてそうな気がしますが、駿君は真面目に長男の自覚が有る設定なので、その重圧が普通だと思ってたりするとかありかな。

先ほどメールをもらってるの気が付きました。

なにかな~と思っちゃいましたよ。

へへへ、メール返信しましたけど、カテゴリー追加に気が付いたんですね。

「いくつもの嘘を重ねても」

新作のお話は別館の方で記載していたんです。

アメブロ限定で記事をちょこっとUPしたのでカテゴリーだけ本館はUPしてます。

近日公開予定です。

やなぎ 様

もしあの意地悪が嫉妬もあったとしたら、桁違いですよね。

こわっ・・・

駿君たちをもう一歩進ませる!

キャハッ♪

つかつくの時の様につくしの身代わりにぼこぼことやられた司を思い出します。

あのドラマの場面に匹敵する出来事はなんだろう?

グッッと来そうなことが思いつくといいんですけどね。

おかゆ

40代の司って絶対かっこよくなってますよね。

世間一般のおっさんとは違うだろうし(笑)

今回は珍しく父親らしい司でお届けしました。

いの様

大人の色気と落ち着き。

確かな自信で容姿も抜群でお金もあって、モテないはずがない。

想像するだけでも楽しめちゃいます。

>駿君と鮎川さんの関係を応援しながらもちょっと寂しいつくしちゃんが見てみたいです。

司君の様に嫉妬丸出しはないでしょうね。

文章にするには私で足りるでしょうか?

なんせ、私には娘しかいないからなぁ。

息子に対する嫉妬の気持ちってまた違いますよね。

>男同士の話をする司君と駿君も見てみたいです。

私も見たい♪

って、リクエストされてるのは私だ~~~~~。