永遠のラビリンス 7

いよいよ入れ替わった関係が人目にさらされます♪

大学にするか・・・

大学ならF3が登場。

会社なら西田さん!

どっちも面白そうで~

遊んでしまいそうです。(^_^;)

「堂々としろ」

応援されてるのか、けなされてるのかわからない自分の声がうしろから響く。

おっ・・・

背筋を伸ばしてお腹にクッと力を入れる。

腹部に置いた掌の感触は筋肉の引き締まった硬い感触。

柔らかい自分のお腹の感触が懐かしい。

道明寺ホールディングス入り口の自動ドアを通って天井から明るく光が差し込むエントランス。

立ち止まって頭を下げる社員。

ばばばれてない?

一歩足を進めるたびに背中に緊張が走る。

道明寺の私の後ろには私の道明寺が視線をきっと光らせているはずで・・・

その後ろには数人のSp。

相変らずの大名行列

「きゃー」

足もとの数歩前のところに散らばる書類。

床に膝をつく若い女性。

「すすすいません」

如何にも新人社員らしい初々しさ。

俯いた表情は見る間に真っ赤になってしまってる。

「大丈夫?」

肩膝ついてしゃがみこんで下げた視線と彼女の視線がぶつかった。

「だいじょうぶ・・・です・・・」

言葉尻は消え入りそうで視線を外して、散らばった書類を彼女は目で集めてる。

身体が動かなくなるのもしょうがないよね。

こんな人目のあるところで転んだら、そりゃ、恥ずかしいし私も立ち直れない言って思う。

手を伸ばせば拾える距離に転がるハイヒール。

「慣れるまでは大変だよね」

ハイヒールに慣れてない私も幾度となく転びそうになった経験があったと頭をよぎる。

拾い上げたハイヒールを彼女に履かせた。

「キャー」

どこからともなく上がった声。

あっ・・・履かせたのはまずかったか?

彼女動かないし、ハイヒールを履かせて立ちあがらせる必要があるって思った。

男の人が転んだ女性を助けるとしたらってこれかって考えて動いた結論。

道明寺なら目の前で他人が転んでも気にも留めないよね。

今の対応は西門さんか美作さんだぁぁぁぁぁ。

「じゃ、気を付けて」

動揺気味に立ち上がろうとした私の横で道明寺の私がいつのまに集めていたのか散らばった書類を彼女に渡していた。

「お前ならこうするんだろ」

私だけに聞こえる様な小さい声。

「ありがとうございます」

あたふたと彼女は何度も頭を下げながら会社の奥に向かう。

その彼女を取り囲むようにすぐに人の輪ができている。

あの集団はきっと今まで見たことのない態度の道明寺の話題で盛り上がってるはずだ。

ツンと澄ました冷ややかな横顔。

クールさと人を寄せ付けないオーラをまとってるはずの道明寺。

目の前で社員が転んでも一瞥しただけで素通りが道明寺だと思う。

大丈夫ですかと声をかけたくなるのは私の性格だ。

そのまんま道明寺で再現しちゃったよ。

たぶん・・・

行動はかみ合わなくても言葉も動作もなよなよはしてなかったと思う。

オカマの道明寺の噂は阻止できてるはずだ。

「なあ、自分で自分の敵を増やしてどうするんだ?」

エントランス全てを見渡した視線が私に戻る。

「えっ?」

「周りの女どもの好感度を上げてどうするんだ」

「俺っ・・・、じゃなかった。私か・・・」

ぶつぶつ言って言葉使いを直して「私に、向けられる嫉妬の視線って凄いんだ」

道明寺の私が言い直した。

その言葉使いが正しいはずなのに道明寺が私の中でしゃべってると思うと可笑しさがます。

「なにわらってるんだよ。じゃなった・・・なにわらってんの!」

道明寺が私らしい言葉を選んで言い変える度に笑顔になって困る。

「いくぞ」

道明寺らしい態度を作ってくるりと背を向けて前に歩き出す。

ダメだ・・・ッ

笑いを抑えられそうもなかった。

自分が開ける必要もなく開かれるドア。

先回りで開けてくれる社員に頭を下げそうになるのはグッと堪えた。

私は道明寺!道明寺!道明寺!

呪文のように頭の中で唱えてる。

「出社してからすぐのエントランスでは騒がしかったようですね」

「私は道明寺!」

執務室中央で出迎えていた西田さんに宣言してしまって固まる道明寺の私。

ギクッ!

表情がこわばったままに過ぎる数秒の沈黙。

「それは分ってます」

何事にも動じない西田さんに軽く流された。

「おはようございます。今日はご一緒なのですね」

身体の向きを斜めに向けて道明寺の私に西田さんが声をかける。

何も言わずガン見の状態の私の道明寺。

道明寺に抵抗をみせた時の様な数年前の私を見てる気がする。

そんなに鋭く西田さんを睨んでどうするの!

本来の私じゃ絶対ありえない態度。

「お前に、協力してもらわなきゃいけないことができた」

バカデカい態度と眼光の鋭さはもう、私じゃなくなってる。

いきなり本題に入るの!?

ヤバくない?

すぐに西田さんが信じるとは思えない。

「なんの冗談ですか?」

西田さん変に思ってるじゃないか。

「代表、つくし様に何をさせたいのですか?」

道明寺の私から、私の道明寺に西田さんが呆れたような口調を向ける。

「冗談ではなくて・・・信じられないことが起こってしまって、大変なんです!」

私も道明寺の私に同調するしか手立てがない気がしてきた。

「つくしと代表が入れ替わったとかバカげた発想のお遊びは私の仕事じゃありませんから」

さっきまで道明寺になりきろうとしていた私はもういなくなっている。

こうなったら西田さんに是が非でも信じてもらわなきゃ。

「私が道明寺の悪ふざけにつきあうと思うってるんですか!」

観察する様な目つきで西田さんの視線が私の道明寺と道明寺の私に向けられる。

道明寺の私は横柄な態度で総務室中央のデスクに座ってパソコンを操作する。

「このパソコンを立ち上あげるパスワードは本人しか知らないはずだよな」

「DOUMYOUJITUKUSI」

デスクに座る私の道明寺を見つめながら西田さんがゆっくりと一文字づづ呟く。

DOU・・・

それって、どうみょうじ・・つくし!

「なんで知ってんだ!」

「スペルの数と代表の発想を組み合わせれば想像はつきますから」

「そのパスワードを代表がつくし様に漏らすとは確かに考えにくいですね」

顎を指先でなぞる西田さんが少し考え込むそぶりを見せてそうつぶやいた。

道明寺つくし!!

わゎぁぁぁぁ。

気恥ずかしさこの上ない。

何バカなパスワードを付けてるんだ。

そのパスワードが西田さんにばれてるって事、自体が超がつくほどハズイ。

私が道明寺になってるうちに絶対変えてやる。

「なんで、入れ替わってしまったんですか?」

「知るわけねえだろう」

「私としてはつくし様の方がお仕えやすい気もしますが・・・」

「こいつに、俺の代わりが務まると思ってるのか!」

「私にそのフォローができないとでも?」

西田さんと道明寺の私のやり取りが私の道明寺の前で続く。

西田さんにとって見た目は道明寺でも私でも問題なしなのか?

この驚きのなさはなんなのだろう。

「しばらくはつくし様を後学のために代表の秘書をしていただくということにしましょう」

ヤッパリ・・・そうなりますよね。

道明寺の私が嬉しそうににんまりとなってる。

本来の私は絶対、道明寺の秘書を喜んで引き受けないんだからね!

もろ手を上げて喜ぶんじゃねえよ。

道明寺の口調で声には出さずに呟いてみた。

はぁ・・・

道明寺の秘書。

今はそれが一番無難かぁ・・・。

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拍手コメント返礼

いの 様

拙宅の西田さんは万能秘書として進化続けてる気がします。

西田さんがいなきゃこの話は成り立たないかもしれません。(笑)

>つくしちゃんの内面で、司君の外見で、気配り目配りされたら、女性はイチコロでしょうね。

つくしちゃん自分で恋敵を増やしてそうだ~。

あずきまめ 様

西田さんが信じてくれた時点で第一段階は突破ってことかな。

元に戻らなかったらどうなる?

その事まで西田さんはシュミレーションしてそうなんですけど(^_^;)

ことり様

常に司の行動は把握してるからこそ今回のことも信じたんでしょけど、少しは焦ってよ~と言いたくなったのは私だけかしら?

いや~、内心は焦ってるんですよね西田さん?

「今までが、今までですから」 by 西田

ここからどんな試練が待ち構えているのか!

想像したら楽しくてしょうがありません。